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人を好きでいるということ

随分前に雑誌で読んだコラムの話。
この話を人に伝えようと思う度に自分の鼻の奥がツンとなる。

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ふたり暮らしの老夫婦がいた。
ご主人が「癌」に侵された。
余命少ない事実を伴侶である老女に伝える事は余りに酷だった。

高齢のふたりがいつもと変わらない日常を過ごせるように
医師はあえてこの夫婦に「癌」の告知をしなかった。

暫らく後に老人は静かに命の呼吸を止めた。
老人の死後、妻は初めて死因が「癌」である事を知らされた。

穏やかな表情で老婆は医師に語った

「先生、主人がお世話になりました。
 安心して召された事だと思います。

 癌だったんですね。
 さっき、聞かされました。
 
 でも・・・

 もう少し早くにわたしがそれを知っていたならば・・・

 わたしは 毎日、主人の布団に添い寝して
 わたしは 毎日、主人を抱きしめていたかった。

 連れ添った永い永い年月の思い出話を・・・

 ふたりが出会った頃の話から・・・

  毎日、毎日 

    何時間でも、何時間でも

        お父さんに話してあげたかった・・・」


 人を好きでいるということ


(2007年08月06日)

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