随分前に雑誌で読んだコラムの話。
この話を人に伝えようと思う度に自分の鼻の奥がツンとなる。
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ふたり暮らしの老夫婦がいた。
ご主人が「癌」に侵された。
余命少ない事実を伴侶である老女に伝える事は余りに酷だった。
高齢のふたりがいつもと変わらない日常を過ごせるように
医師はあえてこの夫婦に「癌」の告知をしなかった。
暫らく後に老人は静かに命の呼吸を止めた。
老人の死後、妻は初めて死因が「癌」である事を知らされた。
穏やかな表情で老婆は医師に語った
「先生、主人がお世話になりました。
安心して召された事だと思います。
癌だったんですね。
さっき、聞かされました。
でも・・・
もう少し早くにわたしがそれを知っていたならば・・・
わたしは 毎日、主人の布団に添い寝して
わたしは 毎日、主人を抱きしめていたかった。
連れ添った永い永い年月の思い出話を・・・
ふたりが出会った頃の話から・・・
毎日、毎日
何時間でも、何時間でも
お父さんに話してあげたかった・・・」
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