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ぼくのはじまり 33

ぼくのはじまり 33

 眠っているとメモが...


20年前。
当時の私の営業車は確かマツダファミリアのバンだったと記憶している。
気になったのでネットで検索すると間違いない。 これこれ、この形。 

250px-Mazda_323_front_20080220[1].jpg

たいていの製薬会社の営業車はこの時代でも通常の乗用車。
私の会社は一般薬(大衆薬)がメインだったので製品の運搬などにも利用できるようにと"バン"タイプの営業車を与えられていたのだった。
私たちは"医療用医薬品(病院とかクリニックで処方する薬)"部門だが右にならえですべての営業車がこのタイプだった時代がある。


つまりは、製薬会社の営業車の中でも「ちょっと目立つ」のだった。
いや異質だったと言ったほうがいいかも知れない。
う~ん、違うなあ。"わかりやすい" と言おうか。

「柳田さん、昨日、○○町立病院にいたでしょう。」とか
「この前、あの峠に止まっていたでしょ。」とか
「先日、お見かけしましたよ。」とか...。

時に「いやあ、柳田さん、この間、女の子を乗せてあの陸橋を超えて走っていたでしょ。ふふ。」なんていうこともあったが、絶対にそれは私ではない!


町から町への営業活動。
人間だもの 眠くなることもしばしばあるのさ。
どこまでもまっすぐな道をひたすら走っていると睡魔が襲うこともある。

ある日、あまりの睡魔に耐え切れず道路の駐車帯に車を止め、おもむろにシートを倒して短い時間、目を閉じた。
そのまま深い眠りに落ちて行ってしまったことは言うまでもない。
「15分だけ目をつぶろう...」と思っていたが、結果1時間以上、眠ってしまったようだ。

「おっと、まずいまずい」と起きだしてシートを立て直すとフロントガラスのワイパーに何か紙が数枚挟み込まれていた。
何の悪戯かと思い外へ出てそのメモを手に取ると...

「正太郎さん、ぐっすりとお眠りですね。 ○○製薬 ××××」というメモ。
ほかに「通り過ぎてから何をしているかと見に来たら爆睡中でした。起こさずにいきますね。○○製薬 ××××」
中には自分の名刺の裏に「いつまで寝ているんだ!早く仕事へ行け!○○製薬 ××××」というものも挟まっていた。


しまったあ。 他の製薬会社の人たちに見られていたようだ!
「なぜ?」
あとから聞いた話だが
「だって柳田さんの車は"バン"だし、後ろの窓の所にいつも赤い傘を挟めているでしょ?誰が見ても分かる人にはすぐにわかるんですよオ~」と。


 翌日から赤い傘を黒い傘に変えたのでした。
 (嘘です)


 そんな思い出。


(2009年05月28日)

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