ぼくのはじまり 29
それは言わない約束でしょ!
会社は違えど、同じ製薬会社業界。
同じホテルに数社の製薬会社の営業マンが宿泊。
釧路では古い古いビジネスホテルを定宿にしていた。
(ホントに古いのです)
朝に昼に夜に顔を合わせる人たち。
そうだなあ、大きなメーカーさんは1社で3人とかいたから総勢、
15人くらいの製薬会社営業マンがいたのだなあ。
大手メーカーさんは釧路市の担当者として何人かで釧路エリアを受け持っていた。
だから、札幌で会議とかない限り、ほとんど月曜日の午後(それまで移動)から金曜日の夕刻までその地に居るわけです。
私のような弱小メーカーは営業マンが少ないので一人で帯広エリア・釧路エリア、根室エリアまで担当していたのです。
移動範囲や走行距離は驚くほど。
たいがいの場合、私が釧路に居なければ何となく「正太郎は?」
「帯広にでも行ってるんじゃないの?」となり帯広に居なければ
「釧路にでも行ったんじゃないの?」と予測されるわけ。
ここで、便利なのは...(時効だからね。)
行方不明になっても誰にも怪しまれない!
いやっほ~!!
だからといって...仕事中に...
釣り竿を持って河原に降りて行ったり
ゴルフ練習場へスイングをチェックしに行ったり
公園の駐車場でシートを倒して二日酔いの体を回復させたり
噂の湯治場へ行ったり
ビリヤードの腕を上げたりはしていません...!
私達の朝は医薬品の卸へ行くことからはじまります。
卸のセールスさんと自社の薬の売れ行きや情報交換へ行くのです。
幾つかある卸さんを回って実績を確認したりもするのです。
朝の卸には大勢の製薬会社の営業マンがワサワサと集まります。
まあ、ひとつの儀式みたいなもんだな。
ある日の朝
...はじまりは前の日の夜...私はしこたまお酒を飲んだ...
(楽しかったからね)
翌朝は起きられなかったのだ。(寝たのも朝方だったような)
酷い二日酔いでね。自業自得だった。(今ごろ反省中)
同じホテルの皆は元気よく、そして爽やかに朝の卸へ行ったようだ。
そんな事は露知らず。
とある卸であるセールスさんが同じホテルに泊まっている某大手製薬会社の課長さんへ聞いたそうで。
「今日〇〇製薬の柳田さんは?ホテル、泊まっていなかったですか?
釧路じゃないのかな。 話があったんだけどなあ。帯広に行ってるのかな。」
「いや、車があったから釧路に来てるんじゃないかなあ。
それならホテルに電話して聞いてあげるよ」という話があったそうな。
(余計な事をををを!)
セ-ルスさんの席からおんぼろホテルへ電話をしたそうな。
携帯なんてないからね。
ホテルも身内みたいなもんでしたから。
その課長さん、「正太郎はいないの?」と尋ねたらしい。
フロントの返答にその課長は大勢の人がいる中で!
セールスさん達がいっぱいいる中で!
他の薬屋さんたちがワサワサいる中で!
「え~っ!!!
正太郎、まだ寝てるって~!!!」
あとで聞いた話によると卸の中がざわめいたらしいよ。
あちらこちらで笑い声もあがったらしいよ。
課長、それは言わない約束でしょ。
(まあ、約束もしていないけれどね)
後日談だが、そのあといろんな会社の営業マンから
「〇〇さん、それは言っちゃあ、いけないよォ~」といたく
責められたらしい。
こんなこと白状しちゃっていいのかなァ...
20年前のことでした。
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