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ぼくのはじまり 28

ぼくのはじまり 28

 -ウチ、ラブホテルですよ-

私が会社に入った24年前。
うら若き血気盛んな若者であったのだ。

入社したての新人のころの担当地区は札幌から日帰りで移動できる
近隣の町々だったのさ。

毎日、自宅に帰れるのは有難いけれど、中途半端に遠いので朝が早くて、
夜は「さあ帰ろう」と思ってから車で1時間とか2時間近く走らなければ
ならないこともよくあった。

そんなとき、夜遅くて、朝の早い仕事があり、どうしても宿泊しなければ
ならないことになった。

数年後には1週間、すべてホテル暮らしの生活になるのだが、この時は
小さな冒険のようでとても楽しく思えたのさ。
わくわくもんだったね。

泊まる町は「夕張市」。
そう、昔も今も有名な町だよね。

私は張り切って夕張の街に泊まることを楽しみにしていた。
「ホテルをとらなくちゃ」

昔のことだからね。
パソコンなんて無い時代だからね。
インターネットなんて「何?」の頃だからね

会社で内勤しながら電話帳を持ってきた。

 夕張... ホテル... ページをめくりながら探しました。

「おっ!数件、ホテルがあるじゃん。よし、順番に電話していこう!」


電話のベルが鳴っている
「はい。○○ホテルでございます。」
「ああ、こんにちは!」(明るい声で)
「はあ。」
「明後日なんですけど、部屋、空いてますか?」
「ええ、大丈夫だと思います。特に予約も入っていないですし・・・。」

「え~っと、予約したいのですが」
「え?予約します?」
「はい。」
「予約しなくても大丈夫だと思いますけれど...。」

「え?そうなんですか?でも、一応。予約します。」
「はい...。」(かなり不思議そうに)

「え~っと、大人一人なんですが。」
「え?お一人なんですか?」
「はい。そうです。」

「○○製薬の柳田と言います。」
「はあ。」
「あ、そうそう、夕食と朝食を付けてください!」


少し経って
「あのう、柳田さま...ウチ、ラブホテルなんですけど...」


  きゃあ~


(2009年03月12日)

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