ぼくのはじまり 16
-だから、嫌だって言ったのに-
帯広市の総合病院。
20年前。
夕方、医局訪問をしていた私。
この病院は大きな総合医局が2つあった。
第2医局で、うろちょろしていると(こう表現しているがキチンと仕事もしてるのよ)、循環器内科の部長がいた。
目と目が合った ...
「おお、正太郎、いいところに居たなあ。」
不思議なことに不埒で適当な私であったが、いろいろな医療機関で "下の名前" で呼ばれることが多かった。
中堅以下の弱小国内メーカーのMRの私だったがそれなりの先生達は
私のことを 「正太郎!」 と呼んでくれることが多かった。
若手や少し年上の先生は「正ちゃん」などと呼んでくれていた。
目が合ったのは私に良くしてくれていた部長だ。
「これからさ、○○ホテルで△△製薬の勉強会があるんだ。
悪いけど、正太郎の車でホテルまで送ってくれないか?」
まずい! かなりまずい!
送ること事体はさほど問題は無いが、問題は営業車。
グッチャグチャ。
基本的に綺麗好きなぼくだけどたまたまこの時はね...
「いやあ、先生、ぼくの車、ひどい状態なんですよ」
「ああ、俺なら全然、構わないから...。」って部長、タクシーで行ってくださいよぉ。
「あっ!先生、ぼくらもそろそろ向かいたんですけど」
若手医師2名登場。
あちゃあ~。 万事休す。
「正太郎に送ってもらおうぜ。」
「あ、ラッキーですね。」
「じゃあ、一足先に駐車場へ行って、準備します~(急げ)」 冷や汗。
「いやあ、俺達ももう行くから、いっしょに行こう。」
----- 病院の駐車場-------
「ほんとに汚いんですよ」
「うわあ、ほんとだああ」
あらゆる荷物をかきわけて乗り込み、出発。
ほんの10分程度の移動距離。
「あっ!先生、ここにビリヤードのキューがあります!」
「なにい~」
「ここに、ゴルフのパターが転がっています!」
「なにい~」
「おお、ルアーがたくさん箱に入ってるぞ!」
「だってここに川釣りの長靴が隠してあります」
「漫画の本もたくさんありますよ!」
「お前は、仕事をしてるのか!」
だから嫌だっていったのに...
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