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僕のはじまり ⑥

僕のはじまり ⑥

「トホホな夜」

今だから言えることとか、
今だから話せることとか、
“今なら、ガッツリ文句を言ってやる!”とか あるよね。

オイラは若い頃は、何も考えず「不条理」を「不条理」と
感じることもなくただ「何か変だな?」程度に思っていた人間だ。
論理的な思考を試みようともせず自己のパラダイムの中で、それは
それでよしとしてきた。

つまり、一言で言えば「面倒臭がり」なだけだったかもしれない。

社会人になったとはいえ、少し前まではコンパに明け暮れる不真面目な
学生だった訳だし、サラリーマン(社会人)と一言で括ってみたところで千差万別な
有り様の殆んどは知らないのだ。

会社はテレビで爽やかなCMを流し、企業イメージの向上に一所懸命だった。
しかし、オイラの最初の会社は「軍隊的」なチームカラーだった。
「売って来い!」すべてはこの一言。
それでも、「サラリーマンの営業ってこういうものなんだろうな」と自己納得。
「俺の言うとおりにしろ!」と上司が言えば、それに従うものなんだろうなと。
いつもこころの何処かでほんの少し「???」と思いながら。


ある日、お得意様の親族が亡くなられた。
遠い町での葬儀。
新人の私は都合で行けない係長の替わりに呼び出されてその町へ向かった。
翌日の葬儀に間に合うように前の日に移動をしたのだ。

(この時点で、夜遅くに“お前が俺の代わりに行けっ!”という命令に
「???」をあまり感じてもいなかった)

夜遅くに疲れた体で海の近くの旅館に到着した。
空腹の私はコンビにもない町のひなびた居酒屋に入った。
魚とつまみとビールとお酒を楽しみ、遅くに旅館へ戻った。

翌朝、会社へ定時連絡の電話を入れる。
(ポケベルも携帯もない時代だからね)

「お前、昨日の夜、何処へ行ってた!」怒鳴る係長。
「連絡したいことがあったから旅館へ電話したら出掛けたって言うじゃないか!」

「食事に行っていました」
「まさか、酒を飲みに行ったんじゃないだろうな」
「いえ、食堂です!(本当は居酒屋ですが)」

「お前に連絡が付かなくて腹くそ悪いぞ!」
「すみません…」

 「???」なんで、オイラ、謝っているんだ?
 夜の9時過ぎのプライベートな時間を好きに使ったオイラは
 なぜ、謝っているんだ? 何に対して謝っているんだ?

「すみません、係長、どうして夜に出掛けて、怒られなくてはならないのですか?」
「うるさい、お前は会社の出張で移動しているんだ」
「業務終了後も係長の指示で生活しなければならないということですか?」

「・・・・・」


 ちょっとづつ、自己主張がはじまりかけたオイラでした。
 オイラと係長のバトルのはじまり。


(2007年12月06日)

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