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おじいさんの想い

『公正証書遺言』というものがあります。
自分で書いて自分で保管しておくのが「自筆証書遺言」。これに対し、公正証書遺言とは、公証人役場というところで、公証人や証人のもと、内容を確認して作成する遺言のことです。
公正証書遺言は、公証人役場で大切に保管されるので、紛失したり内容を書き換えられたりする危険がありません。

では、どのような方々がこの公正証書遺言を依頼されるかというと、遺言者が亡くなった後、遺産を巡ってトラブルが起こる可能性がある、あるいは、すでに生前からトラブルが起こっている、という方が公正証書遺言を作成する割合がやはり多いようです。

先日、公正証書遺言を作成したおじいさん。
もう90歳に届こうという年齢ですが、実に矍鑠(かくしゃく)としていらっしゃる方でした。
終始にこやかに私たちとお話をされていましたが、財産を巡って息子たちの間に争いがおきそうなのだと、とても心を痛めているご様子。

公正証書遺言は、一般的には遺産の分割についての具体的な記載のみというケースが多く、個人の心情的な文章を入れることはあまりありません。
ですが、このおじいさんの希望で、財産分与の記載のほかに、「本旨外要件」というかたちで文章を追加することになりました。
詳細を記載することはできませんが、このような内容です。

「...子供たちおかげで幸せな人生でした。みんな仲良く健康で過ごすように。さようなら」

おじいさんの息子さんたちは、遺言を作ったことを知りません。
将来この遺言を見たとき、おじいさんの優しい想いが、息子さんたちにちゃんと伝わればなぁ...と、願わずにいられません。


(2008年05月01日)

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