グーグルストリートビューというサービスがあります。主要な都市の道路を、あたかも車で通りを走っているようにネット上の画像で見ることができます。使い用によっては便利なナビゲーションサービスですが、勝手に撮影した実写映像をネットで公開しているわけですから、プライバシーを侵害するおそれがあると、異議を訴える自治体もあります。
札幌の映像もネットで公開されています。メインの通りだけでなく、住宅街やかなりの裏通りまで撮影をしていて驚きます。望んでもいないのに公開されている民家の住民などは不快に思う人もいるでしょう。
グーグルストリートビューもグーグル社が制作した「著作物」です。
著作物とは『思想または感情を創作的に表現したもの』(著作権法第2条の①)のことを指しますが、メインのストリート映像そのものには「思想」も「感情」も感じられず、情報にすぎません。防犯ビデオの映像と同じような性質のものと言えます。
グーグル社は「すべての情報を整理する」ことが目的の会社ですから、余計な感情表現を入れないことが、むしろ創作物のミッションに合致しているのでしょう。
好き嫌いは別にして、グーグル社でしか考えもつかないような新しい映像ソフトだと思います。
個人的には、もっと狭いエリアでもかまわないので「表現力」のある映像ソフトがあっても良いのではないかと思います。例えば、商店街を通り抜ける映像があるとします。商店街には当然の如く人々の営みがあり、日々変わる風景があります。映像制作者(ディレクター)目線で商店街を撮ると、全く違う映像表現になるでしょうし、観ていて楽しい「著作物」になるでしょう。
そしてその映像の積み重ねが、「歴史」や「資料」になります。さながら映像のタイムカプセルのようなものかもしれません。箱モノに莫大な金を使う時代は終わったのですから、映像文化の創出にシフトしてゆくと、新しい様々なニーズが生まれるでしょう。
映像をとりまく環境の進歩がそれを可能にしています。フィルムからデジタルへ。劣化しにくいことはもちろん、すでに現在のハイビジョンの4倍綺麗な映像を撮ることが可能だそうです。
そして、それをネットや有線で配信できるということ。従来のマス媒体とは比べられないほど安価に手軽に公開することができます。
映像は「記録」だけではなく「記憶に残る」ことが大切。記憶に残る「表現力」によって、価値を生み出す時代が到来しています。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第81回 新たな映像ソフトの時代へ②
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