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褒められもせず苦にもされず

第62回 小室さんと森さん

音楽ビジネス関連の2つの騒動が、ワイドショーを騒がせています。
小室氏逮捕の事件、そして、「おふくろさん」解禁騒動。
どちらもマスコミではワイドショー扱いなので、事の詳細までは解らないのですが「著作権」という点から気になったことがあります。

① <小室氏事件> 著作権の登録
『小室氏は、自らの楽曲を文化庁に登録していた』との報道があります。
著作権を登録するということは一般には馴染みがないのですが「著作者の権利関係を明確にする」目的のため、著作者や著作権の譲渡などを文化庁に登録する制度があります。

新聞報道では『小室氏のヒット曲のうち26曲を譲渡登録していた』とのことです。
「著作権譲渡登録」の主な目的は、二重譲渡の際に権利を明らかにすること。
例えば、二重譲渡によって2枚の譲渡契約書があるとします。通常、どちらが早く契約をしたかが問題になりますが、「著作権譲渡登録」をしておくと、契約の締結に早さに関わらず、法律上は登録名義人が著作権者として扱われることになるのです。

小室氏、又はそのブレーンは、この登録制度を知っていたのでしょう。
ちなみに「著作権譲渡登録」をする際は、売った人と買った人との『譲渡証明』が必要になりますが、今回の事件の場合、売った人は小室氏であり、買った人は小室氏が役員をしていた会社なわけですから、譲渡証明など簡単に作れてしまうわけですね。

② <おふくろさん騒動> 著作者人格権
名曲『おふくろさん』を、森進一氏が勝手に歌詞を変えて歌ったということで、作詞者である故川内氏が激怒したという騒動。
ところで、なぜ作詞者が激怒したことで森進一氏が歌を歌えなくなるのか、不思議ではありませんか?
師弟関係のしがらみということもあるでしょうが、著作権上の争いでもあるのです。

『著作権』には一般的に言われる「著作権=財産権」と別に、「著作者人格権」というものがあります。この著作者人格権とは、「著作物を勝手に変更されない権利」のこと。
「財産権としての著作権」は、上記の小室氏の様に、売ったり買ったりすることができますが、「著作者人格権」は売買もできません。相続の対象にもなりません。
故川内氏は、この著作者人格権を侵害されたので、もう森進一には歌わせない!と主張していたわけですね。
川内氏は亡くなられましたので、原則としてこの権利は消滅しています。
(財産権としての著作権は死後50年まで保護されます)

ちなみに、小室氏の事件とも関連がありますが、著作権譲渡の契約をする場合、通常『著作者人格権を行使しません』という一文を入れるのが一般的です。これを「人格権不行使特約」といいます。
但し、「売ったり買ったり出来ないものを、行使しないと言うのは有効なのか?という異論もあるようです。



(2008年11月06日)

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