「当社の商品○○○は、元本保証がないということは、ご存知ですね?」
ブルーのスーツを着こなした証券レディー、札幌花子さん(仮名)が、目の前のおばあさんに、ややイラつき気味で問いかけています。
ここは北海道証券(仮称)の応接室。僕のとなりにいるおばあさんは、先日ご主人を亡くされ、その相続手続としてこの証券会社にやってきました。
おばあさんから相続業務依頼を受けていた僕は、おばあさんがご高齢であることから「出来るだけこちらで手続を代行したい。手続き内容の確認だけでも事前に行いたい」と証券会社に伝えたのですが、札幌花子さんはとにかく本人を連れて来てくださいの一点張りです。
そこで介助人の娘さんに同行いただいて、ようやく店舗まで足を運んだのです。
「当社の商品○○○は、元本保証がないことをご存知ですね?」
札幌花子さんがまた同じセリフをいいました。資産運用は生前ご主人がなさっていたので、いきなり訊かれてもおばあさんにはよくわかりません。
「ガンポンホショー?」
見かねて僕がコトバを継ぎます。
「おばあさん。銀行にお金を預けるとそのお金は減ることはないでしょう?でも、証券会社だと、減ってしまうということもあるんです。そのことを知っていますか?」
「ああ、そのことですか。もちろん解かってますよ」
札幌花子さんの説明はその後もマニュアル喋り。資産の運用をするのならそんなことくらい知っていて当然と言わんばかりです。その都度、娘さんと僕がコトバをやわらかく咀嚼します。
2時間ほどかけて、ようやく手続一式が終了。
札幌花子さんはあまり心がこもっていない声で「ありがとうございます。何かありましたらお電話いたします」と〆の言葉。
すかさず娘さんが「連絡は長男へ入れてもらえますか?母は耳が少し遠いので電話はやめてくださいと以前から何度も伝えてますよね?」
花子さん「...ですが、ご本人の資産のことですので...」
娘さん「長男が代理ではだめなんですか?」
花子さん「代理人の選任となると家庭裁判所に...」
さすがに横から僕が口を挟みます。
渡邊「家庭裁判所?ちょっと待ってください!聴力の問題であって、意思能力の判断ではないですよね? だったら、用件を郵送にしてもらうか、そうでなければ札幌花子さん、あなたが自宅に来てもらえばすむ話じゃないですか?」
花子さん「......まあ、そうなんですが...」
高齢化社会を迎えて、お年寄りにどのように対応するかはとても需要なことです。少なくともこの証券会社は落第のようですね。
金融機関の名誉のために申し上げますが、札幌花子さんと真逆の担当者もいます。
M信託銀行の窓口担当Kさんは見事でした。
相続人の年齢を配慮して、僕がおばあさんから委任状をもらうことで殆どの手続を代理人として行うことができました。もちろんおばあさんにわざわざ窓口に来てもらう必要はありません。ご本人やご家族に記入してもらう書類の指示も完璧なものでした。
Kさんの窓口対応も丁寧で柔らか。プロの仕事とはこういうことを言うのだなと、Kさんの対応を見ていて実感したのです。
ちなみにM信託銀行の待合には、「耳がご不自由な方はお知らせください。こちらで筆談をさせていただきます」と書いたプレートがちゃんと置かれています。
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会社自体、相続のノウハウがしっかりしていないのかもしれませんが、花子さん個人の応対能力も低いですよネ。
株が下がるとは、まさにこのこと?!
そうですねえ。
会社というより花子さんに問題アリだったような気が…。