北海道も夏本番。
爽やかなはずの北海道も、暑い日が続くことがあります。
道外から避暑に来たはずの人が、「なんだ、本州と同じじゃないか...」と不満を洩らすこともしばしば。
北海道はクーラーがない場所も多いので、余計そう感じるのでしょう。
さすがに中心部のオフィスビルは、エアコンが行き届いているようですが...
10数年ほど前、僕がまだ広告の仕事をしていた時のこと。
担当していた某電話会社の北海道支社(当時)は、古いビルを買い取って支社ビルとして使用していました。
ビルにはクーラーがなく、僕が日参していた広報室など、南向きの部屋の人たちは夏場は暑くて大変な思いをしていました。
窓を全開にしても暑くてたまりません。みんな上着を脱いでネクタイをはずし、仕事をしながらウチワをぱたぱた。
クールビズのさきがけみたいな風景です。
広報誌の定期会議に出席するために広報室を訪れた、蒸し暑いある日。
担当のTさんが僕を見つけると「ワタナベさん、今日はいつもの会議室空いてないからさ、別の場所で会議することになったから。地下だから涼しいよ。いつもは使わない場所なんだけど...」
Tさんはなぜか、最後の言葉で目をそらしました。
いつもの会議メンバー4人で地下2階へ。
案内されたのは、薄暗い廊下の奥にある何の表示もない部屋。
不自然に細長い部屋には、会議テーブルとロッカーがいくつか置いてあるだけの殺風景な場所です。
でもさすがに地下室だけあって、広報室とは比べ物にならないほどの涼しさ。
隣に座ったTさんに「ああ、この部屋は随分涼しいですね~。快適ですね」というと
少し困ったように「...ああ、うん。そうだね...」と返してきます。
そのとき気がついたのです。
このビルにクーラーがないのは、建物が古いからだけではないと。
かつて移転した総合病院を買取ったのです。元病院だからクーラーがなかったのです。
そして僕たちが今居るこの地下室は、どうやらかつての「霊安室」なのだと...。
気がついたとたん、涼しいを通り越して背中の辺りがゾクゾクしてきました。
気のせいだと解かっていても、他の人たちも同じ思いなのでしょう。
その日の会議が終わるのが、なんとまあ早かったこと...。
会議が終わって外に出ると、まるでスコールのような雨。
大粒の雨が、元病院のビルを冷やしていました。
ひどく暑かったある日の出来事でした。
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