なるほど情報ウェブマガジン【週刊コラナビ北海道】毎週木曜日更新

週刊コラナビトップ > 褒められもせず苦にもされず

褒められもせず苦にもされず

渡邊光一プロフィール

渡邊光一

渡邊光一 行政書士
HP http://www.ko-wata150508.com/

1960年札幌生まれ。
北海学園大学法学部卒

卒業後、印刷会社、広告代理店でクリエーター企画営業を学ぶ。
お気楽な勤め人生活を全うするはずが、会社が無くなってしまったので、平成15年、渡邊光一行政書士事務所開業。
法人設立など、役所に提出する堅い書類を作成するのみならず、IT企業・クリエーターの著作権保護、契約書作成など知的財産業務に特化する。

コトバ師として、糸井重里・宮沢賢治、両氏をトリビュート。
「雨ニモマケズ」が、どんな文章よりも力強くシンプルに、人を幸せにする言霊だと信じてやまない。
なお、いつもススキノ方面に居ると思われているようだが基本的には帰宅部なのである。

第69回 感謝

いつも小職のコラムを読んでいただきましてありがとうございます。
仕事関係のネタが多いため、決して「おもしろい」コラムではないと思うのですが、バックナンバーも含め、本当にたくさんの方々に訪問していただきました。
思わぬ方から、「コラナビ、読んでるよ」と声をかけていただくこともあり、うれしい驚きです。

今年の秋以降、経済は大混乱となりました。本当の影響がでるのは来年の春くらいから、とも言われています。支店経済の北海道はより厳しい状況が予想されます。
そんな経済状況の中で生き残るために「知的資産」という言葉が、大きなキーワードになるでしょう。
お金や設備だけではなく、「社長の経営方針」や「従業員のクオリティ」や「優良な顧客や人脈をどれだけ獲得しているか」などなど、目に見えない価値をキチンと再確認しましょう、そして周囲にアピールしていきましょう、というのが知的資産経営の基本です。
中央にくらべ、資本力に乏しい北海道の中小企業こそ、この「知的資産の棚卸」が必要になります。
すでに、このコラムで2回ほど書かせていただきましたが、来年にかけて、この「知的資産経営」についてもう少し掲載したいと思います。

かつて行政書士は「代書屋さん」と言われていた時代がありました。
誰かに代わって書類を書く。確かにこの業務の基本中の基本です。しかし、士業といえどもスキルをあげていかなければ生き残れない時代です。
微力ながら社会の力になることができるよう学び、このコラムで発信してゆきます。どうぞよろしくお願いします。

皆様よいお年をお迎えください。   2008年12月25日

第68回 知的資産の「可視化」とは

前回お伝えしたように、知的資産経営とは「自社の有する知的資産を、どのように維持、管理、強化、改善してゆくかを再認識し、自社の強みとして生かしてゆくか」という考え方です。このような知的資産経営は、大企業のような特別な強みを持った企業ではなく、限られた経営資源しか持たない小規模の企業こそ実践すべき経営といえます。

企業の価値判断は、多くは財務諸表などの数字的なものに限られます。しかし、企業の価値を計るモノサシはそれだけではありません。
例えば、とある製造業の企業に卓越した技術者Aさんがいるとします。
Aさんが自社製品の開発や改良にどのようにかかわり、過去において実績をあげてきたか。
Aさんの実績(製品)が市場においてどう評価されてきたか。
Aさんがスキルを身につけることができた社内環境とはどのようなものか。
など、企業の強みといえる「資産」です。
さらに、Aさんのスキルを企業がどのようにデータベース化して、残しているか。あるいはスキルを他の社員に継承するためにどのような方法をとっているか。
それらをまとめることにより、企業の強みを明確にした「知的資産」となります。
 
本来は目に見えない価値や技術を可視化するために報告書にまとめたものが「知的資産経営報告」です。
この知的資産経営報告をステークホルダー(取引先、金融機関、従業員、株主、地域社会など)に開示することで自社をアピールし、事業の拡大に繋げることが報告書作成の狙いです。

報告書による情報の開示内容は、企業によって様々ですので、特定の書式があるわけではありませんが、標準的な4つのステップに分けることができます。
最初のポイントは、自社の強みを認識する=知的資産の棚卸から始まります。

第67回 「知的資産」経営という考え方

近年、日本経済の景気の悪化やグローバル化を背景に「知的資産」というキーワードを目にするようになりました。
「知的財産」という言葉はこれまでにもありましたが、「知的資産」はさらに包括的に企業の実力・競争力等を測る材料となるものです。
厳しさを増す経済情勢の中で中小企業が生き残るために「知的資産」経営という考え方が、今後ますます重要になってきます。

では、「知的財産」と「知的資産」はどのような違いがあるのでしょうか。
「知的財産」の定義は諸説ありますが、知的財産基本法によると、
『「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの、商標、商号その他事業に有用な技術上または営業上の情報をいう』とあります。
これに対し、「知的資産」とは、知的財産を一部に含みながらさらに、「経営理念、組織力、人材、顧客とのネットワーク、技術、組織力」など、財務諸表には表れてこない「目に見えにくい経営資源の総称」を指しています。

つまり、知的資産は、従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産でありながら、企業のおける競争力の源泉となるものなのです。
知的資産とは企業価値を生み出す無形の資源であるため、いかに有効に活用するかが経営の鍵となります。自社の知的資産を「維持、管理、強化、改善」し、価値を実現していくことが「知的資産経営」です。
知的資産とはいわば自社の強みです。その強みを活用し業績の向上に結びつけることが、知的資産経営の大きな定義です。

次回は、見えないものを明確にする「知的資産報告書」についてです。

第66回 「新公益法人制度」が始まります④

一般非営利法人の設立には、まず「定款」を作成しなければなりません。定款とは、法人の規則を定めたものです。従来の財団法人では、この規則を「寄附行為」と呼んでいましたが、今回の改正で定款に変更になりました。

一般非営利法人の定款は、株式会社等の定款と同様「公証人の認証」を受けなければその効力が発生しません。
定款はその後の事業運営を決定するものですから、それぞれの法人の実情に応じて事前に充分に検討する必要があります。

定款の記載事項は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種があります。
このうち「絶対的記載事項」とは、定款に必ず規定しなければならない事項です。
その項目は以下です。

(一般社団法人の場合)
① 目的
② 名称
③ 主たる事務所の所在地
④ 事業年度
⑤ 公告の方法
⑥ 設立時社員の氏名又は名称及び住所
⑦ 社員の資格の得喪に関する規定

(一般財団法人の場合)
①から⑤まで一般社団法人と同じ
⑥ 設立に際し設立者が拠出する財産及びその価額
⑦ 設立時会計監査人の選任に関する事項
⑧ 設立時の評議員、理事、監事の選任に関する事項

また、「相対的記載事項」とは、定款に記載しなければ効力を生じない事項を、「任意的記載事項」とは、上記の記載事項以外で一般法等に違反しないものをいいます。

第65回 「新公益法人制度」が始まります③

前回からのつづきです。
本年12月1日以降、一般非営利法人の設立が登記手続きのみで行うことができるようになります。
一般非営利法人は、「一般社団法人」と「一般財団法人」に大別されます。
ともに、剰余金の分配を目的としない法人であり、事業に制限などはありません。
社団法人は人(社員)の集まりとしての法人、財団法人は設立者(寄付者)が提供した財産に基づく法人です。
これまでの公益法人とは違い、行政庁が法人の運営について監督することはありませんから、自主的な運営が可能です。但し、その必要な機関については定められています。

(一般社団法人)
設立に際し、社員になろうとする者が2名以上必要です(尚、この場合の「社員」とは、一般的な被雇用者の意味での社員とは異なります)。社員が、設立手続を行います。
機関については、社員総会と理事が必要です。そのほか理事会、監事、会計監査人を任意で置くことができます。
(一般財団法人)
一般財団法人は評議員と呼ばれるものが設立手続を行います。設立に際し拠出する財産の価額は300万円以上と定められています。
機関については評議会、評議員会、理事、理事会、監事が必須です。会計監査人が任意となります。

なお、一般社団・財団法人ともに、設立後公益法人の申請を行うのであれば、公益法人設立の際の社員又は評議員の必要人数について予定しておかなければなりません。
この点、注意が必要です。

次回は定款の記載事項についてです。

第64回 「新公益法人制度」が始まります②

新しい公益法人制度は、言わば2段構えの制度です。
剰余金の分配を目的としない社団及び財団は、前回お話したように、まず「一般非営利法人」として設立し、登記によって法人格を取得します。
この一般非営利法人のうち、公益事業を行うことを主な目的とする法人は、認定の申請をすることにより(必要な要件等を満たした場合)公益認定法人となることができます。
公益認定を受けると、税制上の優遇措置が受けられるなどのメリットがあります。

では、公益認定法人になるための必要な条件のうち、主なものは次です。
①公益目的事業を行うことを目的としていること
②公益目的事業に係わる収入が、その実施に要する適正な費用を超えないこと
③公益目的事業比率が50/100以上の見込みであること
④遊休財産額が一定額を超えないこと
⑤法人の機関設定が要件を満たしていること(理事会の設置など)

公益法人認定の申請には、上記について事前によく確認する必要があります。一般非営利法人設立の段階から、公益法人設立認定の要件について、充分に検討しておく必要があるでしょう。

なお、これまでの公益法人(旧民法34条法人)については、解散もしくは新制度へ移行することになります。旧公益法人は平成20年12月1日をもって自動的に「特例民法法人」となり、その後5年間そのまま存続することが可能です。
この5年の間に、解散するか、公益認定法人又は一般非営利法人へ移行しなければなりません。

次回は、一般非営利法人設立について、もう少し具体的にお話します。

第63回 「新公益法人制度」が始まります①

本年12月1日より、公益法人に関する新しい法律が施行され、従来の公益法人の仕組みと考え方が大きく変わります。
公益法人とは、例えば「社団法人」や「財産法人」などのことを言います。
これまでの公益法人とは、その設立のためには
① 公益に関する事業を行うこと
② 営利を目的としないこと
③ 主務官庁の許可を得ること
という要件を満たすことが必要でした。
但し、時代とともに個人の価値観が多様化し、社会にニーズに充分に対応できなくなってきました。また、「公益性の判断基準が不明確」だったために、営利法人と似ている法人や共益的な法人が多数設立されてしまいました。
さらに、行政からの委託による補助金や天下りの受け皿になっているなど、様々な批判を受けていました。税金の無駄使いということですね。
そこで、新たな非営利法人制度が必要となり、公益法人制度が大改革されることになったのです。

平成20年12月1日から施行される新公益法人制度は「認定法」で公益法人を定義しています。新しい要件は
① 公益目的事業を目的とすること
② 認定法に定める公益認定基準を満たすこと
③ 行政庁の公益認定を受けること。
となりました。
これまでの公益法人設立は実質的にはとてもハードルが高いものでしたが、これからや一般の人でも設立することが可能となるのです。

新たな非営利法人制度の枠組みの大きな特徴は、法人の設立と公益性の判断を分離したということです。
まず、一般公益法人(社団法人や財団法人)を登記によって設立します。
その後、都道府県知事の公益認定を受けることによって公益法人となります。

一般公益法人から公益認定までの流れについては次回お話いたします。

第62回 小室さんと森さん

音楽ビジネス関連の2つの騒動が、ワイドショーを騒がせています。
小室氏逮捕の事件、そして、「おふくろさん」解禁騒動。
どちらもマスコミではワイドショー扱いなので、事の詳細までは解らないのですが「著作権」という点から気になったことがあります。

① <小室氏事件> 著作権の登録
『小室氏は、自らの楽曲を文化庁に登録していた』との報道があります。
著作権を登録するということは一般には馴染みがないのですが「著作者の権利関係を明確にする」目的のため、著作者や著作権の譲渡などを文化庁に登録する制度があります。

新聞報道では『小室氏のヒット曲のうち26曲を譲渡登録していた』とのことです。
「著作権譲渡登録」の主な目的は、二重譲渡の際に権利を明らかにすること。
例えば、二重譲渡によって2枚の譲渡契約書があるとします。通常、どちらが早く契約をしたかが問題になりますが、「著作権譲渡登録」をしておくと、契約の締結に早さに関わらず、法律上は登録名義人が著作権者として扱われることになるのです。

小室氏、又はそのブレーンは、この登録制度を知っていたのでしょう。
ちなみに「著作権譲渡登録」をする際は、売った人と買った人との『譲渡証明』が必要になりますが、今回の事件の場合、売った人は小室氏であり、買った人は小室氏が役員をしていた会社なわけですから、譲渡証明など簡単に作れてしまうわけですね。

② <おふくろさん騒動> 著作者人格権
名曲『おふくろさん』を、森進一氏が勝手に歌詞を変えて歌ったということで、作詞者である故川内氏が激怒したという騒動。
ところで、なぜ作詞者が激怒したことで森進一氏が歌を歌えなくなるのか、不思議ではありませんか?
師弟関係のしがらみということもあるでしょうが、著作権上の争いでもあるのです。

『著作権』には一般的に言われる「著作権=財産権」と別に、「著作者人格権」というものがあります。この著作者人格権とは、「著作物を勝手に変更されない権利」のこと。
「財産権としての著作権」は、上記の小室氏の様に、売ったり買ったりすることができますが、「著作者人格権」は売買もできません。相続の対象にもなりません。
故川内氏は、この著作者人格権を侵害されたので、もう森進一には歌わせない!と主張していたわけですね。
川内氏は亡くなられましたので、原則としてこの権利は消滅しています。
(財産権としての著作権は死後50年まで保護されます)

ちなみに、小室氏の事件とも関連がありますが、著作権譲渡の契約をする場合、通常『著作者人格権を行使しません』という一文を入れるのが一般的です。これを「人格権不行使特約」といいます。
但し、「売ったり買ったり出来ないものを、行使しないと言うのは有効なのか?という異論もあるようです。


第61回 ECO住宅は高価?いいえ、補助金があります

ここ数年「地球温暖化」をキーワードに、CO2の排出削減を目的としたエコロジーが盛んとなってきました。
個人的には、星の寿命規模で考えた場合「本当に温暖化しているのか?」と思いますし、温暖化しているとして「原因は温室効果ガスCO2である」と決め付けられていることに懐疑的です。反論している学者も多くいるようです。

しかし結果として、モノを大切にするという姿勢や化石燃料の消費を減らそうという世間の流れになっていることは良いことだと思っています。

エコロジー事業に対して、行政より様々な助成がなされていますが、北海道の個人住宅建設についても上限200万円の補助金を受けることができる制度があります。
北方型住宅先導的モデル事業推進協議会による「北方型住宅ECOモデル事業」と呼ばれるもので、省エネで暖かく長く済み続けることができる頑丈な家に対して、補助を行うものです。

住宅を建てる際、省エネ設備を付加すると建設コストが上がってしまうと考えられていますが、上記の補助を受けることができるとその心配も解消されます。
寒冷地北海道では、暖房コストを下げることが環境とお財布になにより優しいと言えます。
住宅建設をお考えの方は、検討されてみてはいかがでしょうか。

補助の要件としては
①建て主と契約する工務店、ハウスメーカー等が、「北方型住宅先導的モデル事業推進協議会」に属していること。
②建設する住宅が北方型住宅ECOモデル事業の提案内容を全てみたすこと
③技術の普及啓発のため、現場見学会(1日以上)、完成見学会(1週間以上)を開催し、住宅を公開できるものであること。
④その他
などがあります。
詳しくは下記「北海道」のHP、又は当事務所までお問い合わせ下さい。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksd/ECOMODEL

第60回 それが商品ですので...。

以前からお付き合いのあるクライアントから、法務の依頼がありました。
将来の業務の都合上、有限会社を株式会社に変更したいという依頼です。
何度か打ち合わせをし、変更のメリットデメリットも理解いただいたので、新定款や書類作成を開始。
司法書士と登記の準備も済ませ、あとは書類に印鑑押印をいただくだけという段階になって、クライアントの都合で急遽中止になりました。

依頼を受けた案件が中止になることは決して珍しいことではありません。
今回のクライアントの場合、既に書類は出来上がっているので、お見積額の中から一定の割合の額をご請求することになります。
クライアントも了解していただきました。

その数日後、クライアントの社長から電話がありました。
「ワタナベさん、この前中止にした件だけど。作ってもらった書類のコピーをいただけませんかね?参考にしたいので...」
「書類のコピーですか?
社長、申し訳ありませんがお渡しすることはできません。
すでにお渡ししている書類はそちらで参考になさって破棄していただくとしても、他はこちらで破棄させていただくことになります。
書類を作るノウハウが僕たちの商品ですので、ご理解ください」
「ああ...。そうですよねえ。わかりました」
 
社長は決して悪気があったわけではなく、いずれ株式会社にするときの参考にしたいという軽い気持ちだったのでしょう。
でも、私たちには「たかが書類、されど書類」なものですから...。

第59回 知的財産と行政書士②

前回のコラムで、検索ロボットの結果は知名度のバロメーターのひとつであると書きました。ここで付け加えなければならないのは、検索ロボットの結果は「ニーズ」と合致しているわけではありません。
つまり、「会社設立 札幌」と検索して多数表示されるHPは、「会社設立商店街」の中で店を開けている数のようなもので、その商店街に人がたくさん歩いているかどうかはまた別です。
あたりまえですよね。

「著作権 札幌」で検索しても同業者のHPが出てこない。そこにはニーズがないと錯覚しがちですが、実は「著作権商店街」には多くの人がいます。つまりニーズはあるのですが、開いている店の数が少ないというだけです。

さらに言えば、どんな商売であれ「ニーズ」を作り出す努力をしています。
士業の傾向として、旧態然とした既存の業務に大挙して押し寄せるばかりで、知的財産権のような「新しい業務」に取り組む姿勢がまだまだ足りません。これは反省すべきと思っています。
多くの企業や業種が生き残りをかけて変容してゆく中で、対応してゆく柔軟な姿勢をもたなければなりません。それは士業が生き残る道でもあるからです。
前回「知的財産業務の能力担保が急務である」と書きましたが、クライアントのためであると同時に、士業サバイバルを鏡に映した姿だと思っています。

第58回 知的財産業務と行政書士

定期的に参加させていただいている行政書士仲間の勉強会で、知的財産実務について発表することになり、その資料を準備しています。
実務に沿った勉強会なので、これまでの知的財産権に係わる申請や契約書作成などの事例の中で、比較的レアなものを用意する予定です。

行政書士は、著作権についての相談やコンピュータソフトのプログラム著作権登録などの業務を行っています。しかし残念なことに、行政書士がこれらの業務を行っていることについて、まだまだ知られていないのが実情です。

知名度のバロメーターのひとつとして、検索ロボットによる検索があります。
例えば、「会社設立 札幌」でグーグル検索をすると、行政書士のHPが何ページにもわたって表示されます。「相続 札幌」で検索しても同様です。
ところが「著作権 札幌」で検索しても、私のHPがようやく2ページ目に出てくるくらいで、あまり目立っていません。これは私たちの宣伝不足にも原因がありますが...。

現在札幌は知的財産について「空白地帯」になっています。お客さんが「どこに相談してよいのかわからない」のです。そのようなお客さんが人づてに、あるいは他の士業者から紹介いただいて、私の事務所に相談に来られます。
お話を伺った上で、私に出来る業務範囲でしたらもちろん受けさせていただきますし、特許や商標に係わることでしたら、提携している弁理士さんにリレーしています。
例えば、電気工事で建設業許可を取っているお客さんは、その技術を生かして新しい電熱パネルヒータを開発し、「商標」と「実用新案」の申請を検討中です。
けっして大きな会社ではありませんが、生き残りをかけて企業は必死です。

公共事業に依存していた北海道経済の構造が変わりつつある今、行政書士も知的財産に関するコンサルタント能力を担保することが急務となっています。

第57回 どちらの「確信犯」?

中山元大臣が失言三連発で、就任直後の辞任。
国交省では、大臣の辞任によってまたも停滞する業務が多数あるでしょう。
政治の空白は経済の空白でもあります。行政書士は建設業クライアントが多数いますが、不況で苦しんでいる建設業にとって、経済の停滞はまさに死活問題です。

公人としてなぜあのような発言をしたのか理解に苦しみます。
マスコミでは「確信犯」的は発言と評されていましたが、元大臣発言の場合、どちらの「確信犯」の意味でマスコミが使っていたのか、判りませんでした。
一般的に「確信犯」とは「悪いとわかっていながら行うこと(人)」のことを言いますが、これは誤用です。
「間違っているのは周囲のほうで、自分は正しいことをしている」と確信しているのが「確信犯」の意味。
元大臣発言は、失言というよりは本音の発言であることが見え隠れしています。
その意味で、本当の「確信犯」発言だったのかもしれません。
どのような主義信条をお持ちになろうと勝手ですが、あまりにお粗末な顛末でした。

第56回 士業と身分証明

札幌のオフィス街を歩いていると、社員証を首から提げて歩いている人とよくすれ違うようになりました。
以前は大会社の社員が殆どだったと思いますが、最近は企業秘密を守るという意識の高まりからか、会社の大小に関わらず身分証明書を明示しているようです。
初めて打ち合わせるクライアントが社員証を下げていると、名刺を頂くだけよりも安心感があるような気がします。

逆に言えばこれは僕たち士業にも当てはまることで、身分を明らかにすることは士業にとっても大切なことです。
僕も最近、初めて会うクライアントと面談する際、あるいは役所等を訪れる際には、行政書士バッヂ(徽章)の他に、行政書士証票をフォルダーに入れて首から提げています。
襟にバッヂを付けていれば相手が行政書士だとわかるだろう、などと勝手に思い込みがちですが、バッヂの種類など一般にはわからないのが普通です。身分証を提げているほうがすぐにこちらの業種をわかってもらえます。

行政書士の身分証明は、日本行政書士会連合会が発行している「行政書士証票」、北海道行政書士会が発行している「会員証」があり、どちらも顔写真付きの身分証明書です。
襟につける金バッジ(徽章)はコスモスをデザインしたものです。
新人と思われたくないからと、バッジをわざと色あせるように加工する士業者もいると聞いていますが、僕はむしろバッジを大切に扱っています。
初めて行政書士バッジを着けたときの喜びを忘れたくないと思っていますし、何より、新人かどうかなど仕事振りでクライアントからはすぐにわかってしまいます。バッヂの色で判断されるわけではありません。

クライアントに安心して業務を任せていただくこと。士業者も進んで身分証明書を明示すことはその第一歩だと思います。

第55回 「ガンポンホショー?」

「当社の商品○○○は、元本保証がないということは、ご存知ですね?」
ブルーのスーツを着こなした証券レディー、札幌花子さん(仮名)が、目の前のおばあさんに、ややイラつき気味で問いかけています。
ここは北海道証券(仮称)の応接室。僕のとなりにいるおばあさんは、先日ご主人を亡くされ、その相続手続としてこの証券会社にやってきました。
おばあさんから相続業務依頼を受けていた僕は、おばあさんがご高齢であることから「出来るだけこちらで手続を代行したい。手続き内容の確認だけでも事前に行いたい」と証券会社に伝えたのですが、札幌花子さんはとにかく本人を連れて来てくださいの一点張りです。
そこで介助人の娘さんに同行いただいて、ようやく店舗まで足を運んだのです。

「当社の商品○○○は、元本保証がないことをご存知ですね?」
札幌花子さんがまた同じセリフをいいました。資産運用は生前ご主人がなさっていたので、いきなり訊かれてもおばあさんにはよくわかりません。
「ガンポンホショー?」
見かねて僕がコトバを継ぎます。
「おばあさん。銀行にお金を預けるとそのお金は減ることはないでしょう?でも、証券会社だと、減ってしまうということもあるんです。そのことを知っていますか?」
「ああ、そのことですか。もちろん解かってますよ」

札幌花子さんの説明はその後もマニュアル喋り。資産の運用をするのならそんなことくらい知っていて当然と言わんばかりです。その都度、娘さんと僕がコトバをやわらかく咀嚼します。

2時間ほどかけて、ようやく手続一式が終了。
札幌花子さんはあまり心がこもっていない声で「ありがとうございます。何かありましたらお電話いたします」と〆の言葉。
すかさず娘さんが「連絡は長男へ入れてもらえますか?母は耳が少し遠いので電話はやめてくださいと以前から何度も伝えてますよね?」
花子さん「...ですが、ご本人の資産のことですので...」
娘さん「長男が代理ではだめなんですか?」
花子さん「代理人の選任となると家庭裁判所に...」

さすがに横から僕が口を挟みます。

渡邊「家庭裁判所?ちょっと待ってください!聴力の問題であって、意思能力の判断ではないですよね? だったら、用件を郵送にしてもらうか、そうでなければ札幌花子さん、あなたが自宅に来てもらえばすむ話じゃないですか?」
花子さん「......まあ、そうなんですが...」

高齢化社会を迎えて、お年寄りにどのように対応するかはとても需要なことです。少なくともこの証券会社は落第のようですね。

金融機関の名誉のために申し上げますが、札幌花子さんと真逆の担当者もいます。
M信託銀行の窓口担当Kさんは見事でした。
相続人の年齢を配慮して、僕がおばあさんから委任状をもらうことで殆どの手続を代理人として行うことができました。もちろんおばあさんにわざわざ窓口に来てもらう必要はありません。ご本人やご家族に記入してもらう書類の指示も完璧なものでした。
Kさんの窓口対応も丁寧で柔らか。プロの仕事とはこういうことを言うのだなと、Kさんの対応を見ていて実感したのです。

ちなみにM信託銀行の待合には、「耳がご不自由な方はお知らせください。こちらで筆談をさせていただきます」と書いたプレートがちゃんと置かれています。

第54回 ホームページも定期更新を

知人にご紹介いただいた見込み客などの会社を最初に訪問する前に、僕は必ずネットで検索するようにしています。
今は殆どの会社がHPを持っているので、少しでも情報を得ておきたいからです。

様々なHPを拝見していて思うことは、トップページに住所を表示していない会社が意外と多いこと。
社名を検索して同じ名前の会社がいくつも出てくるのですが、トップページに住所が記載されていないので、探している会社なのかどうか、すぐには判断がつかないのです。
以前このコラムでも書きましたが、商標と商号の問題も絡んできますので(第50回参照)会社所在地情報は、トップに持ってくるべきでしょうね。

かく言う僕もHPを持っていますが、開業以来あまり変えていない手作り感あふれる(つまり古臭い)HPのままです。同業の皆さんはとても素敵なHPを作っているので、リニューアルしなければなあと思ってはいるのですが...。

HPのデザインについて専門の方に聞いたことがあるのですが、やはりトップページに必要な情報をうまく配置することが大切だとのこと。
訪問者が探している情報にたどり着くまでが面倒はHPは敬遠されるからです。
長いスクロールの、ブログ形態のHPも散見します。確かに他のページに飛ぶ必要はありませんが、僕は個人的にはこちらのほうが煩わしくて好きではありません。
また、ページがあるHPの方が、検索ロボットにヒットしやすいということもありますので、一概にどちらが良いとは言えないようです。

僕もHPはついつい放置しがちですが、名刺がわりにもなる情報ツールですので、定期的に更新することが必要なのでしょうね。

第53回 「コピペ」と脳力

先日、いわゆる「コピペ」と脳の関係を検証していたNHKの番組があり、興味深く見ました。
コピペを、著作権問題という観点からではなく脳の働きとの関連をテーマとしていたのが切り口として面白いと感じます。

例えば、学生が論文を書く際に、ネット上で配信されている情報をコピペして切り貼りし、さも自分が書いたような文章に仕立てて提出しているというもの。
それなりに編集能力が必要だと言えなくもないですが、脳の活性化にはあまり繋がらないようです。
また、読書感想文をいくつもネット上で公開し、著作権フリーで提供している人も紹介されていました。小中学生などが、これをコピペし感想文として提出できるので、とても感謝されているとのこと。
コピペは止められない流れとはいえ、こうなるともう苦笑いしかありません。

古い話しになりますが、僕が学生時代のとき、ちょうどコピー機が普及しはじめていました。試験の前になると、コピー機のある商店の前は長蛇の列。
あの頃も、「安易に人のノートをコピーするなんて...」と社会的に批判があったように思います。
但し、ノートをコピーしただけでは何も完結しませんので、コピペとでは文章に対する積極性が大きく違うものでした。

僕たち書士の仕事でもコピペは他人事ではなく、様々な「書式集」が発売されています。中にはCDとして販売されているものもあり、コピペによってそれなりに体裁を取り繕うこともできます。
しかし、当然のことながらそれで業務ができるほど甘い商売ではありません。コピペ慣れしてきた人は、書士に限らず、文章を生業としていくことは難しいでしょう。

既存の文章の切り貼りではなく、自分の言葉で表現することは、ストレス発散に似た浄化作用があると感じているので、その「脳力」を鍛えることは楽しいことだと思うのですが...。

Watanabe

第52回 火中の栗

半年ほど前、知人の紹介でご相談にいらしたおじいさん。公正証書遺言作成を希望しています。
おじいさんには4人のお子さんがいて、既に皆独立しています。
数年前に伴侶にも先立たれ、現在は古い一軒家に1人住まい。
さて、この家を巡って、すでに兄弟の争いが起こっている様子。おじいさんの一番の心配のタネです。

「自分でもね、遺言の書き方を調べて書いてみたんですよ。見てもらえますかね?汚い字で恥ずかしいですけど...」
おじいさんがポケットからとりだした封筒。一枚の便箋には家を兄弟の誰に相続させるかが書かれています。日付も署名も押印もあり、自筆遺言として有効です。
「おじいさん、これでも遺言として通用しますけど?公正証書にしたいのはどうしてですか?」
「お恥ずかしい話しですけど、家を誰がもらうのか、子供達で喧嘩してるみたいなんですわ。でも、カミサンが死んでからずっと、ワタシのことを一番気に掛けてくれた○○に、家を残してやりたいんですよ。
そのことをちゃんとした書類にしておかなきゃなって思うんですわ。ほら、ボケちゃったら遺言のこともわかんなくなるかもしれないし。わはは...」

財産を巡っての兄弟喧嘩は、決して珍しいことではありません。
おじいさんの気持ちを尊重した遺言を作成し公正証書として残す準備を始めました。
ところがその準備を進めている段階で、遺言作成に感づいたらしい兄弟が邪魔をしているらしいのです。
そこでおじいさんは、遺言執行者に僕を指定してくれました。

将来おじいさんが他界されたとき、遺言執行者はその権限をもって、遺言の内容に則って手続きをします。しかし、仲の悪い兄弟たちからは、第三者の遺言執行者は目の上のたんこぶにすぎません。
はたしてすんなりと遺言通りに執行できるかどうか。火中の栗を拾う作業となるでしょう。

例え何かの反証があったとしても、法に則って手続きを進めるだけですし、遺言執行者を受任した段階から反証を予想した準備もしています。
しかし、おじいさんが本当に望んでいることは、「兄弟仲良く」ということでしょう。
そのことを将来上手く伝えられるかどうか...。
おじいさんの本心を思うと、複雑な気持ちになるのです。

第51回「人生口伝(じんせいくでん)」

先日、北海道新聞を開くと、とても懐かしい顔がありました。
大学時代の新聞部の後輩Mくん。
もう、かなり長く会っていませんが、昔とあまり変わっていなかったので写真を見てすぐにわかりました。
現在編集の仕事をしているMくんは、高齢者に口述してもらったその方の自伝を、本としてまとめる「人生口伝」という企画を始めた、とのこと。
そのニュースが社会面に載っていたのです。
 
なるほど。
お年寄りは自らの戦争体験を、後世に伝え残したいと考えている。
しかし、現代は伝える相手もなかなかいない。残す方法もわからない。
そこでMくんは、お年寄りの話を根気よく聞き、本にまとめることを思いついたのです。
 
正直いって、商売としてはとても効率の悪い作業だと思います。
でも、「今の時代に必要なこと」のために、手間暇を惜しまないMくんの姿勢は、学生時代と少しも変わっていませんでした。

世間では、自費出版や携帯小説などが静かなブームになっています。
でも、お年寄りが自ら文章を執筆するのは難しく、ましてインターネットやパソコンを使うのは大きな負担です。
そして、本を創るということは、作者だけでなく編集者のチカラがとても大きいといえます。
Mくんならきっと、お年寄りが残したかった言葉を、丁寧に扱ってくれるでしょう。
この企画が長く継続することを期待しています。

第50回 「商号」と「商標」

会社の設立手続きを受ける際、お客さんが希望する会社名について、予め「商号調査」を行います。同じような名前の会社がないかどうか、法務局で確認するのです。
2006年5月に会社法が施行される以前は、札幌であれば同じ区内に同じ商号(会社名)の会社を設立することができませんでしたが、現在は同一の住所地以外であれば、設立することができます。
同一住所地に同じ社名があるということは、現実的にはまず考えられません。そのため最近は商号調査に来る人も随分少なくなりました。

ところが、インターネットの普及によって、社名に関して別も問題が増えてきつつあります。社名が「商標登録」されている場合です。
先日、法人設立のご依頼にいらしたお客さんの希望社名は、わりと日常的に使われている固有名詞でした。
その社名にすることは登記上問題ありません。しかし気になったので商標検索してみたところ、やはり、別の地域に同じ業種の会社が「商標」として登録されていました。
リスクがあるということを予めお客さんに説明します。

わ「この○○○というコトバは、商標として登録されていますね」
客「え?! 会社名として使えないんですか?」
わ「いえ、会社として登記することは問題ありませんよ。
ですが、商標登録している会社がどうやら同じような業種らしいので、例えば会社のホームぺージを作ってネットで公開したときに、『紛らわしいから使うな』とクレームをつけてくるリスクがあります」
客「登記されていてもダメなんですか?」
わ「社名つまり商号と商標とは全く別のカテゴリーなので、会社として成立していても『その社名はすでにウチが使っていて商標登録もしているのだからダメ』と、クレームがくる可能性がある、ということなんです。
まあ、あくまでも可能性のはなしですが...」
客「そうですか。ちょっと考えてみますね...」

このようなケースでもしもクレームが来た場合、法廷で争う、あるいはさっさと社名を変更してしまう、などの方法がありますが、いずれにしても余計な費用と労力になります。
会社を興す際は、商標調査も忘れずになさってください。
注)有償での商標の調査、登録申請等は弁理士業務となります。