
ロケット姉妹(Rocket Sisters)
日本を代表するマルチインストゥルメンタリスト・扇柳トールと、アコーディオンを弾き語るシンガーソングライター・タテヤマユキ(マルカート)により、2008年に結成された。 オリジナルはもとより、明治、大正、昭和の歌謡曲や 世界中の名曲などを独自の解釈と美しい日本語のハーモニーで演奏するユニット。

扇柳トール
シンガーソングライター・マルチインストゥルメンタリスト
札幌在住。
道内初のアイリッシュバンド 「cheep fish」での活動を経て、 アジアとヨーロッパを結ぶ ケルティック風味アンサンブル 「 Hard To Find」 の結成に参加する。
(徳間ジャパンより7枚のアルバムをリリース)
また、佐々木幸男、細坪基佳、すずき一平、 松倉サオリ、河合英里、遠音など さまざまなミュージシャンのバンド、 レコーディングメンバーとして 50タイトルを超えるアルバムに参加している他、 女優二木てるみの朗読とのコラボレート、 日海外ミュージシャンとの共演など 北海道を拠点に全国で演奏活動を展開している。
様々な伝統楽器、現代楽器、 コンピューターを使い作曲も手掛け、 TVCM、ドキュメンタリー、ショートフィルム、 ラジオ番組などの音楽も多数制作している。
2004年5月にはソロアルバム「はなのあめ」を発表。
ブログ「おいしい音楽」

タテヤマユキ(マルカート)
シンガーソングライター・アコーディオンプレイヤー
札幌在住。
1999年アルバム「マルカート」でデビュー。
柔らかなアコーディオンの音色と優しさあふれるボーカルで、女性の心を日常の風景にのせて表現し、ポップでカラフルな独自の世界を作り上げている。
現在までに6枚のアルバムをリリースしている。
NHK教育テレビ「わんパーク」、
NHK札幌「ほくほくテレビ」などに出演。
2007年、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の
オーケストラ演奏会でアコーディオンパートを担当。
また、毎年行なわれている国内最大の蛇腹楽器イベント「Bellows Lovers Night」には2007年より2年連続で参加している。
"アコーディオン弾き語り"というめずらしい形で、全国各地で積極的に演奏活動を行っている。
ブログ「マルカート」
先ほど、(手数で)オドカスのではなく「そぎ落としていく」ことも大切なんだとトールさんが言っていましたね。僕とトールさんは同じ年なので分かる気がするんですが、タテヤマさんは僕らより若い。ロケットの音楽を演奏することで、自然とシンプルになっていったのですか?
うーん、じつはそんなに「シンプル」だとは思っていなくて(笑)
ロケット姉妹の音楽は、充分にフクザツで、やればやるほどむずかしさを感じています。手数が多いものと、練習の量もそう変わらないかも・・
どんな曲も、「けっして手に入れられることのない、あこがれの対象」と感じて毎回演奏しているので、そういう点では自分の中ではブレはありませんねー
そう、逆にシンプルなものの方がむずかしいんだと思っています。
例えば笛で何かを演奏するとするでしょ。凄く難しい曲を吹くよりも、誰でも知っている曲や、誰でも出来そうな簡単な曲を吹いて「ああ、いいなあ」と思ってもらうほうが難しい。誰でも吹けるから。それがシンプルということだと思う。
だからね、一音っていうのが凄く大事だと思います
イチオン?ひとつの音?
うん。
尊敬しているたくさんのミュージシャンは、一音を聞いただけでその人だって分かる人が多い。B.Bキングも「キュイーン」て一音チョーキングしただけで、「あ、B.Bキングだ」ってわかるでしょ。
一音に想いを込めるような音楽をやっていきたいな。目標として。
さっき、オリジナルにはあまり拘らないって言ったけど、音楽って、100%オリジナルなものってないんじゃないかなって思う時があります。
自分の周りで小さいときに流れていた音楽や学校で習った音楽、大好きで聴きまくったバンドの音、影響をうけて練習した曲、そういったものがすごく小さな破片として自分の中に蓄積されて自分の音楽になっているんじゃないかなって思うんです。だから、誰かが作った曲でも、自分の表現したい事と重なったら全然こだわらない。
そういう曲を探すのも楽しいですよ。死ぬまでに聴ききれないくらい良い曲ってたくさんあるから
以前、トールさんが、「淡々とやり続けなければ生きて行けない。止まってしまえばそこで終ってしまう。いろいろ言われるのもこの1年だけじゃなく、20年以上もそんな感じの日々。でもそういう仕事を選んだのだから仕方がない」ってネットに書いてましたよね。
音楽を続けていくことで、いろいろ周りから言われることもあるの?
う~ん...。それはやっぱり言われるよ。いい時はいいって言ってくれるし、ダメな時はダメだし...。レコーディングに呼ばれて、失敗したら次はない(呼ばれない)わけだし。
だから相当準備するよね
うん。うん
プロって準備しますよね。どんな職業もそうだと思うけど、「準備する人」がプロなんだと思うな
はい!そのとおりだと思います!
聴く側って勝手だから、「これがいい」って思ったら次もそれと似たようなものを求めますよね?変わっていくのが当然なのに、「こういうのが好きだったのになあ」って傲慢なことを思ったりする。だから、いいものを創れば創るほど、いろいろ言われることも多いんじゃないですか?
そのくり返しです。
「ああ、これはどうやら(期待したものと)ちがったんだな」と、「がっかり」が伝わってきたときのこわさといったら・・(笑)
でも、それは仕方がないですよねー。
わたしも、聴く側、観る側、読む側として、おなじことをしているんですものね
違う仕事をしている人達もきっとそうだろうと思うけど、自分達は音楽を続けているうちはよりいいものを目指して変化していこうとするんだけど、お客さんは決してそれを望んでいるわけではない場合もある。だから仕事としてやっていくには、その両方を考えなければならないですね
ここ「のや」さんでのライブは、メジャーで活躍されているミュージシャンをゲストに迎えてのシリーズだったのですが、来年以降の企画などがあったら教えてください
1年目は皆さんがよく知っている方をゲストに迎えてのライブだったのですが、2年目は自分が本当にいいなあと思う若い世代のミュージシャンに来てもらったり、ロケットシスターズの違う一面も聴いてもらえるような企画物のライブや、(ロケット)シスターズそれぞれのソロでのジョイントなどもできたらいいなあと思っています
わかりました。
最後にお願いがあります。
この連載の最終週はクリスマスの時期なので、コラナビの読者の方への演奏のプレゼントをお願いしたいのですが...
わかりました。いいですよ(笑)
おまかせください!
本日は長い時間ありがとうございました
こちらこそありがとうございました
曲名
「ジュ・トゥ・ヴー(Je te veux)」E.A.L.サティ作曲
取材協力 レストランのや
札幌市中央区北2東11-23-14
011-210-5105
それではロケットシスターズ結成の経緯を、改めてもう少しお聞きしたいのですが。
先ほど少し話したように、(タテヤマユキと)レコーディングの時に初めて会ったんです。その時にお互いのCDを交換して...。
彼女の歌を聴いて、詩を読んで、なんだか自分と同じようなことを感じている人だなあって思ったんです。何て表現したらいいのかなあ...。自分と同じような感動の仕方をしているというか、自分の特別な気分と同じものを持っているなあ、すごく(気持ちが)分かるなあって...。
そう感じて、一緒に音楽をやりたいなと思ったんですよ
タテヤマさんは?
あこがれ、かなあ...。
トールさんはたくさんの楽器を演奏できて、本当にいろいろな音楽を聴いてきていて、わたしの中にそれまでになかった音楽の世界を持っていて、その「音楽力」に感服して、すごいなあ?!と思いました
トールさんの第一印象はいかがでしたか?
そのときは、肩まである長髪のためか、なにかこう・・なぞめいていました(笑)
あはは(笑)
そうかなあ。
かなり真面目だったんじゃない?初めて会ったときだから
いえいえ、気ごころ知れたお仲間ばかりの現場だったので、いつも通りのトールさんでしたよ。冗談ばかり言っていたような...(笑)
ああ。しれっと冗談を言ってたんですね?(笑)
そうそう。それを全部真に受けていました(笑)
その時に、ユニットをやりましょうと話をしたのですね?
あっ、そのあとですね。
お互いの創っている作品を聴いて。やっぱりそれが一番(理解するための)話が早いので...。
よく、レコーディングでご一緒して、ピンと来て「今度一緒に演りましょうよ」と盛り上がることはあるんですけど、そのあとなかなか会う機会がなかったりして、そのまま流れてしまうことも多いんですね。でも、ロケット(姉妹)はその点うまくいきましたね
ロケット(姉妹)はね、二人なんだけど二人以上のことが出来そうな感じがしています。
タテヤマユキは凄い才能もあるしテクニシャンなんだけど、技術的なものとはまた別のところにある「大切なもの」を解ってくれるんだよね。若くてバリバリ弾いているような人はまだそこまで考えが及ばないことが多いから
大切なもの?
たくさん「そぎ落として」行くこととか...。
自分もそうだったけど、若い頃って手数も多くてどんどん音を詰め込んで、オドカシみたいなことをいっぱいやって、「どうだ!」って聴かせたいと思うんだよね。
(タテヤマユキは)そういうことも技術的には凄く出来る人なんだけど、そうじゃない部分も大切にしてる。だからまだまだ(ロケット姉妹で)出来ることがたくさんあるような気がしてます
進化しているんですね?
そう
もっとこんなことがやりたいと思っていることは?
インストものをもっとふやしたり...。オドカシの曲もやってもいいかな...。
言ってることと違うよね。あははは(笑)
フフフ(笑)
でも、いろんなことが出来たほうが楽しいですよね
うん。オドカシも含めていろんなことが出来る気がするね。
オリジナルももっと創りたいし、アルバムも創りたいし...
うん。そうですね

プロを目指している北海道のミュージシャンに、先輩として何か仰りたいこと、アドバイスはありますか?
う~ん...。音楽って先輩も後輩もないし、良いも悪いもないような気がする。
僕はよく、路上で(演奏を)やってる人たちを聴いたりするけど、すごくいいなと思う人たちがたくさんいます。
音楽って感じ方が自由で、十人いたら十人の感じ方があるからね...
昨日のライブで、(ゲスト出演の)五十嵐浩晃さんが「探しなさい」というメッセージを僕らに言ってくれましたよね。毎年毎年凄い数の音楽が溢れてくる。探して行くしかないんだって...
うん。人と会うことと同じで、(音楽と)出会ってしまうこともあるよね。そしてそれが自分にとって必要なときだったりするのかもね。
人の出会いもきっとそうだよね。会うべくして会っているんだと思う。
タテヤマユキのことも10年以上前から知ってはいたけど、きっとその頃に会っていたらこうして一緒に演ってなかったと思うな
今だからこそのロケットシスターズなんですね。
タテヤマさんからもミュージシャンにメッセージをお願いします
そうですねぇ...。
わたしは、たとえば外で演奏しているミュージシャンと会ったときには、「がんばって」ではなく、「こりゃ、うかうかしていられないぞ?!」と思うことの方が多いんです。
いつも「音楽的にもっと上に行きたい、ちがう景色を見たい」と思っていますから、ひたむきに進んでいる姿を見たり、才能があるなあ?!と思うと、刺激を受けたり、あせったりします。
わたしはたまたま音楽を続けていられて、それを仕事にしてますが、音楽への気持ちは(彼らと)変わらないと思っています。なので、「がんばって」より、「お互いなんとかがんばろう!」ですね
上から目線じゃないってことですね?
はい、とんでもないです!
上から目線になれることなんて、きっとこの先もないですね
うん。ないね。
そういうことが嫌だから音楽をやっているというのもあるかな
先日の打ち上げの時に、佐々木幸男さんやいなむら一志さんとお話しさせていただきましたけど、本当にフラットな方で驚いたんですよ。
ミュージシャンの方って、そういう人が多いんですね?
うん。五十嵐浩晃さんなんか、サービス精神旺盛でとっても腰が低いし(笑)
松山千春さんくらいかな。上から目線は(笑)
あははは(笑)
松山さんはそういうポーズなのですよね、きっと...
うん。そうだと思うよ(笑)

取材協力 レストランのや
札幌市中央区北2東11-23-14
011-210-5105
それでは、扇柳トールさんのヒストリーをお願いします。
「cheep fish」を経て、1988年に「HARD TO FIND」結成。プロ活動はいつから?
一番最初のプロ活動は高校の時ですね。
夜、コーヒーハウスで弾き語りをしていました
音楽をするために東京に行こうと思ったことはあるのですか?
う~ん...。僕は北海道に拘りたくて...。
東京に行けばよかったとこの年になると思えるけど、当時は変なトンガリ方をしていて、そのころは行くもんかと思ってたんです。
当時自分が好きだったのは、その土地じゃないとぜったい出来ない音楽をつくって、その土地から発信していた(アメリカの)いくつかのレーベルのミュージシャンでした。だから、自分は北海道が好きだし、北海道でなんとかやってやろうって思ってました
トールさんは「マルチインストゥルメンタリスト」として有名ですね。なぜたくさんの種類の楽器を演奏するようになったのでしょうか?
北海道で音楽を続けるって大変なんです。東京ももちろん大変なんだけど、北海道はさらに大変で、仕事も少ないしギャラも安いし、リハーサルに行ってもお金は出ない。なのでたくさん楽器をやる必要があったんですよ。たくさん楽器ができたほうが仕事もあったし。
まあ、楽器が好きだということももちろんあるけど
必要に迫られていたと?
そうだね。必要に迫られて楽器をたくさん弾いてたということもあります
「HARD TO FIND」の現在の活動は?
減ってはいるけど、続いてます。来月(12月)にライブをやりますよ
以前、読売新聞社のテレビコマーシャルに出てませんでしたっけ?
うん。出てた(笑)
わざわざ神戸まで撮りに行ってね。雪があったから
へえ。すご~い(笑)
ケルト音楽を主に演っていらしたのですか?
「HARD TO FIND」に関してはそうですね。ぼく自身は好きな曲がアイリッシュやスコティッシュに多かったというのはあるけど、特別にこだわっていたというのとは違うかもしれません。オールドタイムも大好きだったし
僕はオカリナを持っていたんですよ(笑)笛とかリコーダーが好きで、昔付き合っていた子がプレゼントしてくれたんですけどね。今でも探せば家のどこかにあるな。きっと
へえ~。
僕はある笛に出会って、この笛をつかったいい音楽がないかなあと思って探していて、アイリッシュを演るようになったんだよね。アイリッシュはけっこう笛を使った音楽が多いから
昨日のライブでも、アコーディオンと笛の相性が凄く会うなあと思って聴いてました。 火花バチバチで...
そうなんですか。どんなところがかなぁ(笑)
火花出てたかなあ...(笑)
フフフ...。おもしろい

楽器は何種類くらい弾きこなすのですか?
えー?
何種類だろう。数えたことないなあ。
(楽器を)持ち歩いていていちばん多かったときで18種類くらいかな
18種類?!凄いな
すごい...。「HARD TO FIND」の頃?
いや、「cheep fish」の頃かな。 あとはいろいろなレコーディングの仕事とか...
全部独学で?先生もつけないで? よほど楽器が好きなんでしょうね
というか、練習をしてその楽器をマスターするまでの時間が一番好きなんですよ(笑)自宅で、休みなく何時間も没頭しちゃうんだよね
今までの弾けなかった楽器ってあるの?これは無理と思ったような...
う~ん。あんまり思ったことないかもしれないなあ...。
一番好きな楽器はチューバだけど
チューバも吹けるの?
チューバは吹いたことないのさ。
生まれ変わったらチューバ吹きになりたいと思ってる(笑)
ギターとかの弦楽器よりも、リコーダーや管楽器の方が好きなの?どうやって使い分けてるのかな?
いや、どれが好きってこともないんだよね。
例えば誰かに「好きです」って伝える時に、電話にしようか手紙にしようか、メールがいいかなとか、考えるでしょ?それと一緒で、自分の曲を演奏するときに、どれを使って表現したらより想いが伝わるかな、と思って楽器を決めるんですよね
楽器がたくさん弾けるって、いいなあ...
そうですねぇ。そんな発想ができるなんて...
ソロアルバム「はなのあめ」は2004年のリリースですね。
僕の仕事場のオーディオの上に、この2枚を並べているんですね。(扇柳トール「はなのあめ」、マルカート「これからも」)
で、朝から営業に出かける前にはこちら(「これからも」)を聴いてます。朝から集中して書類を作る日はこちら(「はなのあめ」)を聴いてます。
どちらも、みんなにお勧めしたいアルバムですよね

ええ~。ありがとうございます(笑)
うん。嬉しいね
ソロアルバム(「はなのあめ」)を創りたいという気持ちは、かなり以前からあったのですか?
うん。僕はバックミュージシャンだから、いろんな人のアルバムには参加してるんだけど、何か自分の作品も残したいなと思って...。
このアルバム、自分で全部演っていたので、途中でレコーディングを止めていた期間もあるけど、結局8年かかってしまいました
8年!!?
うん。最初は全く違うコンセプトのアルバムを創っていて、あんまり楽器を演奏しないで、エレクトロニカのアルバムを創ろうと思っていたんだよね。コンピュータミュージック。
で、途中で気が変って、フルートを入れたくなって...。フルートは以前は吹いていたんだけど、(アルバムを)録りだした頃は辞めていたので、練習するところから始めたりして、それで凄い時間かかっかちゃっいました(笑)
取材協力 レストランのや
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ウチの実家に昔アコーディオンがあったんですよ。なぜかオヤジが持っていたんですね。
オヤジが弾いていた記憶はないんだけど...。
子供のころバフーバフーって弾いて遊んでました(笑)
とっても奇麗な楽器だなあって記憶があります
へえ~。
昔は高級品で、憧れの楽器だった時代もあったそうですよ。
今もご実家にあるのなら、ぜひ風を入れてあげてほしいですね。
色は黒ですか?
いえ、青でしたね
ええ~、珍しい!
それはキレイでしょうね!
アコーディオンってもとはどこの楽器なんですか?
ヨーロッパのようですね。ふいご式の似た仕組みのものがあちこちで作られたようです
元祖は手風琴とかですか?
いえ、元祖は中国の笙(しょう)ですね
笙ですか?!なんとなくわかるけど...
(笙を吹くしぐさ)ファーフーっていう...
そうそう(笑)
それがシルクロードを伝ってヨーロッパに渡って...。
それから発展していって、最終的にアコーディオンの形になったのは、たしか200年くらい前かな
200年?わりと最近ですね?
はい。新しい楽器だと思います
ハーモニカも同じ仲間。笙から発展した楽器ですね
へえ~ アコーディオンとハーモニカが同じルーツなんですね
そうですね、アコーディオンは中にハーモニカが入っていると考えていただいていいと思います。それを口で吹くかわりに蛇腹に空気を送って演奏します
少し話が戻りますが、東京に長く住んでからこちらに帰ってきて、やっぱり違うなあと思ったことはどんなことでしょうか?
そうですねえ...。
東京に住んでいた時も、もともとはこちらが地元ですから、ライブなどでよく帰ってきていたんですね。そのたびに「やっぱりいいなあ〜!将来はかならずこっちで暮らすぞ〜!」って思っていました。
東京で出会った北海道出身のミュージシャンの音楽を聴いてよく感じたのですが、大きい空や木々の色や、圧倒的な大地の広さだったり、北海道の景色を見て育ったひとは、やはり創るものにもそれがあらわれると思うんです。
仲間たちの中でも「北海道のミュージシャンっていいよね、独特のよさがあるよね。」ってよく言われて、私はそのたびに自慢に思っていたし、自分も気が付いてないけどそういうものを持っているのかなあって...。
それはこちらにずっと住んでいたら気づけなかったかもしれないですけど、12年離れているうちに、北海道って他にかわりのないすばらしいところだなあ〜、とますます思うようになって...。
なんて言うのかな...、ものを創る人にとってものすごく「滋養」を与えてくれるというか...
滋養?!
はい。そうです。帰ってきてもっと実感しています
そうなんだ。よくそういうお話を耳にするんですけど、僕は性格が悪いので「ホントかなあ?」って思っていたんですけど(笑)
あはは。ホントです(笑)
単純に市場だけのことを考えれば、関東や関西の方がいいじゃないですか。人も多いし。
でも、それを差し置いてもこちらを基盤にした方がいいと思ったのですか?
はい、そうですね。
どんなお仕事もそうだと思うんですけど、心が傷んだらもうどうにもならない気がして...。
なので、常に「ああ、うつくしいなあ」と感じられるだいすきな場所があるなら、もう帰ることを迷ってる場合ではないなあ、と思いました。それに、今の時代ですと、どこから発信してもいいですものね
お二方に訊きたいんですけど、トシを取ると気持ちがサビてくるじゃないですか(笑) たとえば高校の頃って、日曜の朝晴れているというだけで嬉しかったでしょ?でも今はそうは思わない。そういう気持ちの変化ってどうしてるの?作品が変わっていったりするのかな?
あんまり年とか意識したことがないから...。
その時感じるものを素直に書いてるかなあ... あんまりサビてないし
うん。
トールさんサビてないと思うな(笑)
カラダはサビてるけどね。ははは(笑)
フフフ...
タテヤマさんは?
そうだなぁ......
きっと何か、知恵や経験は積み重なってはきてるけど、感じかたはそう変わってはいないと思うんです。
10代の頃の、晴れているだけで嬉しいとか、雪が白いだけで嬉しいとかいう気持ちは、無くなったり何かに取って代わられたわけじゃなくて、それを知っているという経験があるからびっくりしなくなっただけで、その感動自体はじつは同じだけあるんじゃないかと思います。
そこに知恵やいろいろなものが積み重なっているから、むしろ良い状態だと思いますね
嬉しいよね。雪が降ると...。
今でも嬉しい...
そうそう、もう大はしゃぎです(笑)

取材協力 レストランのや
札幌市中央区北2東11-23-14
011-210-5105
それではお二方それぞれに、ミュージシャンヒストリーをお伺いします。
タテヤマユキさん、ソロユニット名がマルカートさんですね。
シンガーソングライターとしてもご活躍されていらっしゃる
はい。シンガーソングライターで、アコーディオン奏者です
楽器のパートナーとしてアコーディオンを選んだ理由は?
最初は、学生時代から電子オルガンを演奏する仕事をしていたのですけど、だんだんと違和感を覚えるようになって...。
自分にはちょっと違うかもしれないなあ、と思いだしたときに、小学校の頃アンサンブルクラブで3年間みっちり弾いていたアコーディオンのことを、右手がなじみ深い鍵盤の形で、ブーカブーカと息を入れるように風を送って弾くあの楽器を思い出して...。
クラブで毎日のように弾いていたので(アコーディオンの音が)体に沁み込んでいて、ああ、あの楽器がやりたいなあって思ったんです。
当時の札幌では楽器を手に入れることがなかなか難しくて、探して、ようやく手に入れて、ニセコにいらっしゃる先生について習い始めて...
アコーディオンを習いにニセコに通っていらしたのですね
いえ、違うんです!先生の方が札幌に来て下さったっていたんです
ええ?!そうなんですか?
はい。昨日のライブにも来て下さっていたんですよ。
後ろの方に座っていた方で、ちょっと大柄な
ああ。わかりました。黒のスーツを着ていた方?
ちょっと(見た目が)怖い方かなあと(笑)
あははは(笑)
とても優しい先生なんです。私の師匠です
うん。とてもいい人ですよ
当時、先生はわざわざ2時間かけて札幌まで来て下さって、30分レッスンして、またニセコに2時間かけて帰るということを続けて下さって。
今はもう札幌の大きな教室で、何十人も生徒さんを教えていらしてますけど、私が最初の弟子だったんです。
とてもいい先生とも巡り合ったので、アコーディオン奏者としてやって行きたいなと思ったんですね。
それと同時に、「歌を書いて歌ってみたい」と思いもあって、もともと歌を歌うことがとても好きだったので、両方ともやりたいなあって...。
しばらく札幌で活動してから東京に移って、12年間あちらで活動して、その間、5枚のアルバムを出しました。そして戻ってきて2年経ちましたね
それ以外にも、バンドのボーカリストをやってたんだよね?
はい。札幌時代に、そのバンドで一度メジャーデビューしています

東京にいた時代に、トールさんと一緒に仕事をすることもあったのですか?
いえ。なかったですねえ
何度も会えそうな機会はあったんだけど、結局会えなかったんですよ
そうですね。ミュージシャンとして存在はお互いには知っていましたけど
うん。何十年も前から知ってはいたんだけどね...。
(編集部注 ウソです)
フフフフ...
ずっとお互いの存在を知りながらなかなか会う機会がなかったんだけど、レコーディングの時に初めて会って、一緒に仕事をしたのがおととしだったかな
そう。お互いにアルバムを交換して。聴いたら凄く好きな音楽で...。
そこから意気投合して一緒に仕事ができたらいいなあって思って
そうそう。話しもすごく合ってそれで結成したんだよね
タテヤマさんのアルバムを聴かせてもらったのですが、POPな感じで、ロケットシスターズの音楽とは若干違いますよね。
演奏する上で問題はなかったのですか?
全く問題ないですね。
シンガーソングライターとしてずっと自分の世界を打ち出すということに心を砕いて情熱をかけてやってきたので、自分の知らない音楽の世界に強いあこがれがあるんです。そう言うところをうんと刺激してくれるロケットシスターズの世界は凄いなと思います。
自分の音楽を大きく広げてくれます。
「マルカート」の世界は大好きで、彼女にしか歌えない完成された世界があるんだよね。だからロケット(姉妹)と合わせてソロ活動の世界も続けていってほしいと思う。その時はオリジナルを書いて、POPな世界を表現してほしいなと思っています。
このアルバム(注1)をよく聴かせてもらっているんですが、僕は「商店街」が大好きで...
ありがとうございます。嬉しい
もうひとつ、彼女のアコーディオン奏者としての顔もまた別なんだよね。
アコーディオンをばりばり弾いちゃう感じ。そこも同時進行でやっていってほしいなと思う。
僕も、これからもロケットシスターズとは違う音楽を続けていくと思うけど、それは仕事としてかもしれないし、アーティストのバック演奏の仕事とかもあるからね。
でも僕はね、ロケット(姉妹)の位置付って自分の中では(他と)ちょっと違っていて、ライフスタイルのような...。一生続けていきたい音楽をやっているのがロケットシスターズ。
僕は歌もののバンドもインストのバンドもやっているけど、インストのバンドってわりと広い世代のひとにも聴いてもらえるし、いろいろな場面で演奏できたりする。でも、歌ってなかなか難しいでしょ。詩の世界もあるし...。
でもそれを歌でやりたいんだよね。どんな世代の人にも聴いてもらえるような、シンプルで美しいことばと旋律をもった音楽をロケット(姉妹)で出来たらいいなあって思う。
ミュージシャンとして長い二人がユニットを組むって、「1+1=2」じゃだめなんですよね?それを昨日のライブで感じて、1+1が5にも10にもなっているような。やっぱり凄いなあと思いながら聴いてましたね。
ありがとうございます。フフフ...
(注1 マルカートアルバム「これからも」)
取材協力 レストランのや
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011-210-5105
本日はお忙しい中ありがとうございます。
昨日のライブ、お疲れ様でした(注1)
こちらこそ、ありがとうございまいした
なんだか凄味があったライブでしたね
そう?
構成なのかもしれないね。
今回は新曲があったからいつもより気合が入っていたのかも...
やっぱりプロのミュージシャンのユニットって凄いなと思いながら聴いてました。
火花がバチバチ見えてましたよ。
戦いとか悪い意味の火花じゃなくて、お互い表現力の凄さというか
えー?そうなの?
僕らの間に?
僕らはそんなバチバチしてなかったけど(笑)
いつもより緊張感はあったかもしれないね
うんうん。そうですね...
それでは、最初から直球の質問をしますけど
「ロケット姉妹(シスターズ)」というユニット名について伺いたいのですが
「ロケット」ってロマンチックでしょ。レトロなイメージと、凄く未来的なイメージの両方が同居していてロマンチックだなあって...。
しかも飛行機みたいにあちこち飛んでいくんじゃなくて、例えば月にいくロケットなら、そのためだけにまっすぐ一直線に飛んで行く。ロケットって、そんなふうにシンプルでロマンチックなイメージがあるんだよね
「姉妹(シスターズ)」は?
シスターズはね、「こだわらない」ということ。男も女も人種も、自分たちの中では垣根がないって意味
深いなあ...
実は深いんだよね(笑)
フフフ...
トールさんが決めたんですよね?タテヤマさんは、ユニット名を聞いてどう思いました?
フフフ...
最初はね、自分では絶対に発想できない名前で面白いなと思って。ちょっと冗談かなと思っていたんですけど。だんだん馴染んで好きになってきました
ロケットって、お尻に火が付いているイメージでいいんじゃないかなんて冗談で言ってたり(笑)一番最初はもっとシンプルな名前も考えたんだけどね
そう。いかにもユニット名的な候補がいくつかあったんです。
「ゆきやなぎ」とか
ゆきやなぎ?
タテヤマ「ユキ」とオオギ「ヤナギ」トール
ああ、そうか
でも結局この名前にして良かったって思うな
うんうん
「ロケットシスターズ」って名前を聞いて、すごく威勢の良い音楽をするユニットだと思って来る人がいるみたいだね
ああー。元気いっぱいな感じの?
そうそう
結成から1年が経ちましたね。手ごたえはいかがですか?
最初の1年は土台作り。2人で音楽をどう作っていくのか、ロケット(姉妹)で出来る音楽表現とはどんなものなのかを考えながら、走って来た感じですね
ライブをたくさんやってやって...。練習して
じゃあこれから第2段が始まるんですね
そうですね。作戦を考えて
そう。ロケット会議ね
フフフ...

ロケットシスターズの音楽を何かの型にはめるつもりはないんだけど、どう読者に伝えたらよいのか考えあぐねているんですよ。
強いて言葉を探すと「温故知新」が浮かぶのだけど...。
でも、それだけではないなぁとも思うし...
ああ、いいですね。温故知新は自分の中のイメージと合いますね
うん。なかなか一言でいうのは難しいよね。
聴いてくださいって言うしかないんだけど...(笑)
日本語に拘っているというところかなあ...。
僕たちは世界中の曲を演奏するんだけど、でも、歌詞は日本語じゃなければ伝わらないって思ってます。(そうじゃないかもしれないんだけど)
しかも、言葉の表現やイントネーションが奇麗な時代の日本語を歌いたいと思っています。
だから、日本の歌を選ぶ時も、古い日本の歌とか、日本語が美しい歌謡曲を選んでる
「おきあげのうた」もその一つですか?
「おきあげのうた」は、またちょっと違うかな
アレンジはどちらがやってるの?
初期の頃はトールさんがやっていましたね
今はほとんど二人でアレンジを考えてます
昨日のライブで「古楽」という言葉が出てきましたね。僕は初めて聞いた言葉なんだけど、音楽業界の中では普通に使われている言葉なのですか?
うん。そう。
クラシックよりもっと古い音楽。メディバルミュージーックとかアーリーミュージックと言ったりします
昨日のライブで古楽の演奏(曲名La Catena D'Amore)を聴きながら、時の洗礼を受けている音楽は強いなあって...。脂肪がないというか
シボウ?
そう。脂肪分のシボウ
あー...。
フフフ、おもしろい
ああ、わかるわかる
その選曲のセンスはさすがだなあって。
しかも古い物を聴いている気が全くしないんですよね
ああ、嬉しいです。
昔の曲を引っ張り上げて「懐かしい」って言ってもらうよりも、私たちが美しいと思って選んだ曲を、アレンジして今のものとして出したいなあって...。
だからそう思ってもらって嬉しいです
僕たち二人とも、それぞれオリジナルの曲もたくさんあるんですね。でも、僕はあまり(オリジナルに)拘っていない。
昔はすごく拘ってて、オリジナルをやらなきゃって思っていたんだけど...。
さっきの古楽の話もそうだけど、世の中には良い曲がたくさんあって、自分が書くよりも、その曲の表現を借りた方がより自分の気持ちを伝えられるような曲があるんだよね。
だから、どういう曲を選ぶかというのもオリジナリティのひとつだし、良い曲の衣を借りて表現することと、オリジナルを使って表現することと、そんなに大差はないんじゃないかって思うんですよ
そのように気持ちがシフトしていったのは、最近ですか?
けっこう前ですね。トラッドをやりだしてからかな...。
さっき、「ずっと残ってきた音楽はシンプルで強い」っていう話しがあったけど、確かにそのとおりで、たくさん着込んでいる音楽よりは、薄着の方が自分の内面を表現しやすいと思う。
ブルースもそうだし、古楽もそうだし...
実は今回、無理を言ってインタビューをお願いした理由というのは、ロケットシスターズの音楽を聴いて、「ああ、ここにあったんだ」という印象を持ったからなんですよ
?
??
今、巷で流れてる曲は聞きたいと思わない。かと言って過去の曲を聴いても、懐かしいなとは思うけど、僕にとって「今」の音楽じゃない。そんなことを感じているうちに生活の中で音楽の優先順位がどんどん下がってきてしまったんですね。
そんな時にロケット姉妹の音楽を聴いて「ああ、ここにあったんじゃん」と
うん。!?
はい。!?
トールさんとは同じ年なわけだけど、今の音楽状況や世代的なものも意図して今の音楽の世界を構築しているの?
う~ん...。
意図してやってる部分もあるけど、自分のやりたいことを突き詰めて言ったらそうなった、ということかなぁ...
どちらかというとプロデューサはトールさんですか?
いえ、どちらとも言えないかな
トールさんは、いろんな地域の音楽や私の知らない知識をたくさん持っているので、頼りにしてますね。一人じゃなかなか出来ないこともありますし
やっぱりロケットシスターズじゃなきゃできないことってあるから...。
僕は歌(を歌うの)が一番好きだったんだけど、でも歌にずっと自信がなくて、他の人とユニットを組むとしても自分がセンターで歌う気はなかったのね。
で、タテヤマユキに会ったとき、最初は彼女に自分の声になってもらいたいなあって思ったんですよ。自分が歌いたい歌とかをやってもらいたいなあと思ってた。
だから、僕とタテヤマユキがいてロケットシスターズなんですよね
(注1 平成21年11月8日 ロケット姉妹「のや」ライブVol6)

取材協力 レストランのや
札幌市中央区北2東11-23-14