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第9回 NPO法人ほっかいどう増販情報センター 理事 鹿内 幸四朗さん

4. 何よりも価値が高いのは「縁を繋ぐ」ことです

今の僕の原点がもうひとつあります。それは何人ものトップセールスの方々から学んだり、実際にお会いしたことです。成功した人やお金持ちになった人の本を読んで研究しました。成功した人の話を聞くのが(成功するために)一番の近道だと思ったからです。そして、僕の身近にいた不動産や保険、車など、いろいろな業種のトップセールスマンに実際にお会いして話を伺いました。
すると判ったことがあります。トップセールスマンに共通していたこと、それは「自分から自分の商品を売らない」ということです。お客様から「売って」と言われるまで売らないんですよ。「買ってくれ」とは言わない。相手が「売ってくれ」と言うので、そこで初めて説明してあげる。ですから「まけて(値引いて)くれ」って言われないんです。
僕もその通りにやったら「まけてくれ」って言われないんです。だって「あなたと契約がしたい」と言われるわけですから...。「弊社は他よりも高いかもしれませんがよろしいですか?」と伝えても「いいですよ。あなたと契約したいから」と言ってくださる。
普通は、「会計事務所です。顧問契約をしてください」とセールスしたら「いくらなの?」ってまず訊かれますよね?そうではなくて「あなたと契約したい」と言っていただいたらそうはならない。「あなたの事務所の料金でいいですよ。あなたの知恵と考えかたを聞けるのであれば、その料金でいいから」そういうふうにお客様に言っていただきたいと思っています


はい


例えば、他の会計事務所と3万円で顧問契約していた会社が、2万5千円で弊社との契約に変えたとすると、「中野会計はダンピングしている!」とよそから言われます。でも、そうではなくて3万5千円や4万円で契約したら「どうやったの?」と聞かれます。だって、ダンピングをしていないんだから、文句を言われることもないわけですよね。このご時勢に値上げして契約するわけですから。 それがもうひとつの僕のスタンスです。生き方がそう変わってきましたから。自分を安売りしたくないですし、自分自身に付加価値を付けて行きたいなあと常に思っています


はい


僕は中学のときからソクラテスが好きで『無知の知』という言葉が大好きだったんです。「自分は知らない」ということを常に知っていれば、「知らないから教えてください」って言えます。でも知ったかぶる人は間違います。
弊社の部下でもそうです。「わからないから教えてください」と言ってくる部下のほうが見込みがありますし、成長も早いと思います。
会計事務所だからといって「専門バカ」になってはいけない。税金のことだけ知っていればよいわけではありません。企業や業種にとって、いろいろな付加価値の付け方があり、業界用語があります。農業や製造業など、いろんな現場を見ることは凄く楽しいですよ。ですから「知らないことを知る」のは凄く幸せなことです。
決算が赤字の会社を黒字にするにはどうしたらよいか?と訊かれたとしますよね。「それは僕らの仕事ではないですよ」と言う会計事務所もあります。弊社はそうではなく「それでは社長、こういう風にしてみませんか」と提案できる会計事務所でありたい。そのためにいろんなことを知りたいと思っています。
弊社が他の会計事務所と違うところがあるとしたら、部下に対して「知らないということを知りなさい」といつも言っていることでしょうか


それは会計事務所だけではなく、全ての士業者に当てはまることですよね?


ええ。士業者だけではなく、全ての職業がそうです。例えば「社長」という肩書きがある人が「おとうさん」という立場になったとき、自分の子供がどんなマンガを読んでいるか知らないと思いますよ。学校で今何が流行ってるのかも知らないでしょう。でも、そんなことを知る、あるいは知ろうとするだけでも凄く幅が広がります。
ですから、社長という肩書きであっても「教えてください」って素直に言えるかどうか。別に年齢が上だからというだけで偉いわけではないですから


士業というのはある種とても狭い業界ですから、ぜひ鹿内さんに業界を変えてもらいたいなと思います


僕は縁をつなぐことが何より「価値が高い」と思っています。ですから、僕は仕事をシェアすることしか考えていません。何か案件があれば、適した方にご紹介する。そんな風に吐き出すことしか考えていません。吐き出し続けていると、あとは勝手に入ってきます。もしもそれで裏切られても別にいいんですよ。あまり期待しないで待っているだけですから。(見返りを)凄く期待されると相手も嫌でしょ?(笑)


鹿内さんにとってはまだまだ先がありますよね。着地点とか目標はどこに置いているのですか?


そうですねえ...。
いつの日か、師匠の中野が亡くなる時に僕を枕元に呼んでくれて「鹿内くん、面白かったよ」と言ってくれること。それが僕の夢なんです。
僕は18歳まで両親に育ててもらいました。そして36歳になった時「あ、僕は親と同じだけ中野に育ててもらったんだな」と気づいたんです。37歳からは、実の父より中野のほうが「オヤジ歴」が長くなります。ですからこれからは中野のために生きようと思っています。中野のためになにか面白いことをして、中野幸一という人間が存在していたということを世に残したいなあって思います。
中野は僕にとって、もう1人の父だと思って尊敬しています。なんといってもこんな僕にチャンスをくれました。32歳の若造にここ(札幌事務所)を任せてくれた。それが最大のチャンスでした。たまたまそのタイミングで娘が産まれ、考え方、生き方が変わったら現在のようになっただけなんです。
中野は今年で80歳になります。まだまだ長生きしてもらいたいですし、中野が楽しいって言ってもらえるようなことを続けたい。それが僕の目標ですね


なるほど。わかりました。
それでは最後に、北海道の経営者に何かおっしゃりたいことがありますか?


はい。
30代40代の経営者で「この人凄いなあ」って思うような方が、北海道にもたくさんいます。その行動力やアイデアにはいつも驚かされます。その方々と不思議なご縁があって繋がることが多いんです。
中でも今、応援している人がいるのでご紹介します。エアーダイブという会社の田中宏明社長です。『義男の空』というマンガを書いて出版している方です。


この本、一冊1200円するのですが、皆さんに是非買っていただきたいんです。
どんな内容かというと、高橋義男さんという小児脳神経外科医のお話です。苫小牧の病院に勤務されている実在のお医者さんです。
実は、生後1ヵ月の田中社長の息子さんが水頭症という病気を患って、病院をたらい回しにされてどこでもお手上げだったのが、最後に高橋義男先生と出会って、助けてもらったんです。今、息子さんは元気に生きています。
田中さんの本業はホームページ制作の会社を経営しています。一方で「ちばてつや賞」を取ったほどマンガを描くのが上手い方なんです。そこで、高橋先生へのご恩を返しに、コミック本を出版したんですよ。マンガを描いて、高橋先生のことを支援したい。その一心で、コミック本第1巻・2巻を出版しました


それは凄いですねぇ


でも、自費出版ですから膨大な費用もかかります。田中さんはそれでも、高橋先生と患者のご家族の生き様を本として残したいという願いで発刊しました。それって凄いことですよね。
北海道でコミックで商売をしている会社はありません。大手の会社がこの本のパテントを買いに来たのですが「お金儲けのためにこの本を作っているんじゃない」と断ったそうです。
いろいろとお話をしていくうちに、僕の親しい人たちのホームページを作っていたのが田中さんの会社だとわかって、不思議なご縁を感じています。
友人として、1人の親として、彼を応援したいんです。講演先などでもこの本を買ってほしいと皆さんに伝えています。
北海道にも田中さんのように凄い人がいるんだなあと...。皆さん、是非彼を応援してあげてほしいんです。本を買ってください。


わかりました。僕もさっそく本屋に行ってきます。
本日は長い時間ありがとうございました


こちらこそ、ありがとうございました


(連載おわり)



(2009年04月23日)

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