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第9回 NPO法人ほっかいどう増販情報センター 理事 鹿内 幸四朗さん

NPO法人 ほっかいどう増販情報センター 理事・事務局長 鹿内 幸四朗さん プロフィール

NPO法人 ほっかいどう増販情報センター 理事・事務局長 鹿内 幸四朗

鹿内 幸四朗(しかない こうしろう)

税理士法人中野会計事務所・所長代理。
昭和44年生まれ。中野会計事務所生え抜き・キャリア21年のベテラン。
様々な会社の集客増・売上増の仕組み作りを手掛ける。
大学での講師から経営指導まで、業務は幅広く人脈も広い。
その幅広い人脈から、信頼の厚さが伺える。

4. 何よりも価値が高いのは「縁を繋ぐ」ことです

今の僕の原点がもうひとつあります。それは何人ものトップセールスの方々から学んだり、実際にお会いしたことです。成功した人やお金持ちになった人の本を読んで研究しました。成功した人の話を聞くのが(成功するために)一番の近道だと思ったからです。そして、僕の身近にいた不動産や保険、車など、いろいろな業種のトップセールスマンに実際にお会いして話を伺いました。
すると判ったことがあります。トップセールスマンに共通していたこと、それは「自分から自分の商品を売らない」ということです。お客様から「売って」と言われるまで売らないんですよ。「買ってくれ」とは言わない。相手が「売ってくれ」と言うので、そこで初めて説明してあげる。ですから「まけて(値引いて)くれ」って言われないんです。
僕もその通りにやったら「まけてくれ」って言われないんです。だって「あなたと契約がしたい」と言われるわけですから...。「弊社は他よりも高いかもしれませんがよろしいですか?」と伝えても「いいですよ。あなたと契約したいから」と言ってくださる。
普通は、「会計事務所です。顧問契約をしてください」とセールスしたら「いくらなの?」ってまず訊かれますよね?そうではなくて「あなたと契約したい」と言っていただいたらそうはならない。「あなたの事務所の料金でいいですよ。あなたの知恵と考えかたを聞けるのであれば、その料金でいいから」そういうふうにお客様に言っていただきたいと思っています


はい


例えば、他の会計事務所と3万円で顧問契約していた会社が、2万5千円で弊社との契約に変えたとすると、「中野会計はダンピングしている!」とよそから言われます。でも、そうではなくて3万5千円や4万円で契約したら「どうやったの?」と聞かれます。だって、ダンピングをしていないんだから、文句を言われることもないわけですよね。このご時勢に値上げして契約するわけですから。 それがもうひとつの僕のスタンスです。生き方がそう変わってきましたから。自分を安売りしたくないですし、自分自身に付加価値を付けて行きたいなあと常に思っています


はい


僕は中学のときからソクラテスが好きで『無知の知』という言葉が大好きだったんです。「自分は知らない」ということを常に知っていれば、「知らないから教えてください」って言えます。でも知ったかぶる人は間違います。
弊社の部下でもそうです。「わからないから教えてください」と言ってくる部下のほうが見込みがありますし、成長も早いと思います。
会計事務所だからといって「専門バカ」になってはいけない。税金のことだけ知っていればよいわけではありません。企業や業種にとって、いろいろな付加価値の付け方があり、業界用語があります。農業や製造業など、いろんな現場を見ることは凄く楽しいですよ。ですから「知らないことを知る」のは凄く幸せなことです。
決算が赤字の会社を黒字にするにはどうしたらよいか?と訊かれたとしますよね。「それは僕らの仕事ではないですよ」と言う会計事務所もあります。弊社はそうではなく「それでは社長、こういう風にしてみませんか」と提案できる会計事務所でありたい。そのためにいろんなことを知りたいと思っています。
弊社が他の会計事務所と違うところがあるとしたら、部下に対して「知らないということを知りなさい」といつも言っていることでしょうか


それは会計事務所だけではなく、全ての士業者に当てはまることですよね?


ええ。士業者だけではなく、全ての職業がそうです。例えば「社長」という肩書きがある人が「おとうさん」という立場になったとき、自分の子供がどんなマンガを読んでいるか知らないと思いますよ。学校で今何が流行ってるのかも知らないでしょう。でも、そんなことを知る、あるいは知ろうとするだけでも凄く幅が広がります。
ですから、社長という肩書きであっても「教えてください」って素直に言えるかどうか。別に年齢が上だからというだけで偉いわけではないですから


士業というのはある種とても狭い業界ですから、ぜひ鹿内さんに業界を変えてもらいたいなと思います


僕は縁をつなぐことが何より「価値が高い」と思っています。ですから、僕は仕事をシェアすることしか考えていません。何か案件があれば、適した方にご紹介する。そんな風に吐き出すことしか考えていません。吐き出し続けていると、あとは勝手に入ってきます。もしもそれで裏切られても別にいいんですよ。あまり期待しないで待っているだけですから。(見返りを)凄く期待されると相手も嫌でしょ?(笑)


鹿内さんにとってはまだまだ先がありますよね。着地点とか目標はどこに置いているのですか?


そうですねえ...。
いつの日か、師匠の中野が亡くなる時に僕を枕元に呼んでくれて「鹿内くん、面白かったよ」と言ってくれること。それが僕の夢なんです。
僕は18歳まで両親に育ててもらいました。そして36歳になった時「あ、僕は親と同じだけ中野に育ててもらったんだな」と気づいたんです。37歳からは、実の父より中野のほうが「オヤジ歴」が長くなります。ですからこれからは中野のために生きようと思っています。中野のためになにか面白いことをして、中野幸一という人間が存在していたということを世に残したいなあって思います。
中野は僕にとって、もう1人の父だと思って尊敬しています。なんといってもこんな僕にチャンスをくれました。32歳の若造にここ(札幌事務所)を任せてくれた。それが最大のチャンスでした。たまたまそのタイミングで娘が産まれ、考え方、生き方が変わったら現在のようになっただけなんです。
中野は今年で80歳になります。まだまだ長生きしてもらいたいですし、中野が楽しいって言ってもらえるようなことを続けたい。それが僕の目標ですね


なるほど。わかりました。
それでは最後に、北海道の経営者に何かおっしゃりたいことがありますか?


はい。
30代40代の経営者で「この人凄いなあ」って思うような方が、北海道にもたくさんいます。その行動力やアイデアにはいつも驚かされます。その方々と不思議なご縁があって繋がることが多いんです。
中でも今、応援している人がいるのでご紹介します。エアーダイブという会社の田中宏明社長です。『義男の空』というマンガを書いて出版している方です。


この本、一冊1200円するのですが、皆さんに是非買っていただきたいんです。
どんな内容かというと、高橋義男さんという小児脳神経外科医のお話です。苫小牧の病院に勤務されている実在のお医者さんです。
実は、生後1ヵ月の田中社長の息子さんが水頭症という病気を患って、病院をたらい回しにされてどこでもお手上げだったのが、最後に高橋義男先生と出会って、助けてもらったんです。今、息子さんは元気に生きています。
田中さんの本業はホームページ制作の会社を経営しています。一方で「ちばてつや賞」を取ったほどマンガを描くのが上手い方なんです。そこで、高橋先生へのご恩を返しに、コミック本を出版したんですよ。マンガを描いて、高橋先生のことを支援したい。その一心で、コミック本第1巻・2巻を出版しました


それは凄いですねぇ


でも、自費出版ですから膨大な費用もかかります。田中さんはそれでも、高橋先生と患者のご家族の生き様を本として残したいという願いで発刊しました。それって凄いことですよね。
北海道でコミックで商売をしている会社はありません。大手の会社がこの本のパテントを買いに来たのですが「お金儲けのためにこの本を作っているんじゃない」と断ったそうです。
いろいろとお話をしていくうちに、僕の親しい人たちのホームページを作っていたのが田中さんの会社だとわかって、不思議なご縁を感じています。
友人として、1人の親として、彼を応援したいんです。講演先などでもこの本を買ってほしいと皆さんに伝えています。
北海道にも田中さんのように凄い人がいるんだなあと...。皆さん、是非彼を応援してあげてほしいんです。本を買ってください。


わかりました。僕もさっそく本屋に行ってきます。
本日は長い時間ありがとうございました


こちらこそ、ありがとうございました


(連載おわり)


3. 全員が幸せにならなければビジネスは成功しません

それからちょうど1年後の平成14年の7月、札幌に出てきました。札幌に買ったマンションで、妻と義母との三人暮らしです。
当時の事務所は現在のビルの1階。僕と細川という社員と、二人だけの事務所です。私は32歳。細川は25歳でした。
出てきたばかりですので、お客様はいない。知り合いもいない。電話も掛かってこない。毎日暇でした。それでも9月くらいまでの3ヶ月間は楽しい気分でいられたんですが、さすがに秋を過ぎて雪が降り始めると、だんだんと不安になってきます。
本社からは「お前、(札幌に)行きたいって言ってたくせに、なんだそのザマは」と叱られます。だんだんと雲行きが怪しくなってきたわけです(笑)
でも、僕はそれまで飛び込み営業なんてやったことがないですし、どうやってお客様を増やせば良いかもわからない。半年間でなんとか10件くらいお客様が増えたんですが、毎月赤字です。これは大変だぞと


はい


そんなときに、ある出来事がありました。
札幌に出てきた翌年、平成15年の6月3日に、娘が生まれました。「あかり」と言う名前です。もうじき6歳になります。
娘が生まれる前までの僕はとても嫌なヤツでした。お金をくれない人には目もくれないような「クレクレ星人」だったんです。
実は、娘はダウン症という障がいをもって生まれてきました。生まれたその日に、医者から説明を受けました。白血病になる確率とか、二十歳まで生きられる確率とか...。いろんなマイナスの情報を叩き込まれたんです。泣きました。一生分泣いたかもしれない。
二日ほど仕事を休ませてもらって、三日目から出社したのですが、たまたまその日が(弊社代表の)中野と一緒に小樽に出張の日でした。でも涙が止まらないんですよ。
「先生、僕は今日運転できないかもしれません」とつい言ってしまいました。
事情を知った中野も一緒に泣いてくれて、なんと「わかった。俺が運転してやる」とまで言ってくれたんですよ。
さすがにそんなわけにはいきませんので「いえ、大丈夫です。僕が運転して行きますから」と涙を拭って気を取り直して...。
二人で小樽のとある財団の総会に出席したあとの帰り道、中野が「鹿内くん、日銀の博物館に行かないか。前から見たかったんだ」と言うんです。
「何もこんな時に博物館なんてどうでもいいじゃないか...」と内心思いながらも二人で博物館に行きました。はっきり言ってその時の僕は心ここにあらずでした。でも、それは「少しでも気が紛れるように」という僕への気遣いだったんです。後になってそれが判ったのですが、凄く嬉しかったですね。
「ああ、この師匠で良かった。間違いなかったなあ」とその時に思いました


はい


義理の姉が看護師なのですが、「ダウン症って病気じゃないからね。近眼の人を病気だって言わないでしょ?それと同じだから」と言われました。1000人に1人の割合で起こるDNAの突然変異なんです。
娘を見つめながら「ああ、僕はこれからどうやって生きていこうかなあ」って思ったんです。もしかしたら、障がいで喋れないかもしれない。立てないかもしれない。長生き出来ないかもしれない。そういう思いを僕たち夫婦が背負って生きていかなければならない...。
将来この子に「パパはどんな仕事をしているの?」と訊かれた時に「人の役にたっている仕事だよ」って言えるような仕事をしようとその時思ったんです。「ああ、僕は今までなんて小さな人間だったのだろう」と思いました。
そこから仕事に対するスタンスが変わりました。いえ、仕事だけではなく「生き方」が変わりましたね


はい


セミナーなどで、よく「楽しいことは正しいことである」というお話をします。でもお金に目が眩むと、楽しいことが分からなくなる時があるんですよ。
少なくとも「三方良し」が実現しないと絶対に幸せにはなりません。ビジネスを成功させようと思ったら、全員が幸せにならなければ成功しないことになっています。これはどんな本を読んでも書いてあります。
「お客様」も「会社」も「スタッフ」も、少なくとも僕の中ではこの三方が全員幸せでなければダメです。お客様もスタッフが幸せでも会社が儲かっていないとか、会社が儲かってスタッフが満足でもお客様がそう思っていないとか、これではダメなんです


はい。なるほど


ですから増販塾も、三方が幸せになって初めて「楽しい」んです。それが出来ていないと正しくない。「楽しいことは正しいこと」の理論はそういうことです。ただ面白おかしいことをやればいいということではないんですよ。
面白いと思う価値観を共有できる「お客様」と「スタッフ」と「僕」、この3つの関係が整うと、失敗する確率が非常に低い。そのためにはまず僕たちがまず楽しむことがベースになります。講師を引受けてくれる仲間とスタッフと僕とが楽しいと思うことならばそれでいい。そして、その楽しさを共有できるお客様だけが来てくれたらそれでいいんですよ


はい


娘が生まれて、生き方のスタンスがそのように変わりました。 つまり、パパが楽しく活き活きと働いていること。お客様が喜んでくれること。これが、父として恥ずかしくなく子供に見せられることだろうと...。「あなたのお父さんの仕事はなに?」って娘が人に訊かれたときに、「お父さんは人の役に立つ仕事をしているの」って答えてもらいたい。 そう思ったときから、「クレクレ星人」は辞めました。お金くれという前に、自分は何が出来るかをまず考える。そういう思考のパターンに少しずつ少しずつ変わっていったんです。 それは娘が障がいを持って生まれて来たからかもしれません。それくらい僕の中ではショックな出来事でしたから...。幸いなんの合併症もなくすくすくと育ってくれて、人様から可愛がられる娘になってくれたので、今は安心しています。 僕の活動の原点は、娘が生まれたことから始まったと言っても過言ではありません


(第4回につづく)

2. 「良い質問ができる人」は能力の高い方です

僕のことばかりじゃなく、弊社の広報の女性たちもとても人気があるんです。
「彼女たちを見ていると勉強になる」と言って、自分の会社の女性スタッフを連れてくる方もいらっしゃいます。広報スタッフの二人の動きを見ていると、「気遣い」とか「運営する」「取り仕切る」というのはどういうことなのかがよくわかるから...と言って下さって。そういうものを学ばせるために来ていただける社長さんもいらっしゃいます。スタッフを褒められるのはとても嬉しいですね


広報のお二人は、会計事務所のお仕事もされているのですか?


一部、会計の方の仕事もしていますが、殆どは増販塾の広報の仕事です。常時3つくらい新しいことを仕掛けていますので、僕の片腕になってくれています。ですから税務の仕事はしていないです。
僕も会計事務所に入って21年。今の札幌事務所に来て6年経ちますが、3年ほど前から僕も会計事務所の実務はしていないです


そうなんですか。鹿内さんは所長代理の名刺もお持ちなので、両方のお仕事をされていて大変なんだろうなあと思っていましたが


スタッフの営業について行くということはもちろんあります。マーケティングの話題やお客様の新事業のお手伝いなどは、先方にお伺いしたり、事務所に来ていただいてスタッフと一緒に打ち合わせをしています。
お客様の相談にのっている時間のほうが多いかもしれません。というのも、お客様の悩みが税務云々ではないことが多いですし、商売を辞めるかどうかの瀬戸際のご相談者もけっこういらっしゃいますから。その状態を引くのか進むのか。進むのであればどうすればいいのか。シビアな状況のお客様も応援させていただいています


総合的な相談を受けることが多いのでしょうね


そうですね。今日も「知り合いの就職先を見つけてくれないか」なんて連絡がありましたし、先日も、札幌でラーメン屋を開業したいから不動産を探してくれ、なんて依頼もあったりして。「不動産屋じゃなんだけどなあ」なんて思いながらも、「はい、わかりました」と言ってしまう自分がいるわけで(笑)すぐに知り合いの不動産屋に連絡しました。
そうやって、皆さんの縁を繋ぐというか、人を紹介するようなことも多いです


人を紹介するって、リスクを背負いませんか?「あんなヤツ紹介しやがって」みたいなことを言われたりしませんか?


ないですよ。リスクは背負いません(笑)
というのは...「直感」なんです。適当なこと言ってるなって思われるかもしれませんが、なんとなくわかるんですよ。
ウチのスタッフ、皆感じが良いでしょ。ウチの事務所の応募資格は、学歴は不問ですが「笑顔が素敵で元気な挨拶が出来る人」なんです。その心は何かというと、学歴は不問ですが経験は不問じゃないんですよ。キャリアを重視します。この業界ってライセンスを重視する事が多いんですよ。ライセンスを持っているけど笑えない人を教育するより、ライセンスが無くても笑える人を教育したほうがいいんです。
例えば「お客様のところに行ったとき、何が一番大切だと思う?何を築かなければならないと思う?」って新人に聞いたとしますよね。「信頼関係です」って答えます。では信頼関係を築くためには一番最初に何をするかというと、笑顔で元気な挨拶をすることです。容姿がいいとかスタイルがいいとか、そういうことではなく自然の笑顔が出てくる人を僕は評価しています。
この業界はライセンスに拘る人が比較的多いのですが、ライセンスの前に「人間力」。その最低の条件が「素敵な笑顔」なんです。自然に笑えて瞬間に友達になれること。これができないと何をやっていても上手くいかないことが多いと思います


はい


僕らは、人にお金をかけなければならない業界なので、どこにギャラを払うかというと、笑顔です。ですから、面接で面白いことをたくさんいって笑わせるんです。その笑顔を見て、いいなあ、めんこい笑顔だなあって思う人をまず残します。
それが最低条件で、次に重要視するのはコミュニケーション能力です。これを見抜くために「ラビ式面接」という方法をとります。
合同企業説明会などで、普通の面接は、テーブルを挟んで1人か2人ずつ面接をしていきますよね。でもラビ式面接は、テーブルの周りに15人くらい集めるんです。一度に大人数と面接をします。
何をするかというと、こちらからはあまり説明をせず、資料を渡し、「僕に何か訊きたいことがあったら言って。何もなかったらパスでもいいからね」と言って、順番に当てていきます。パスをする人がいたら次の人。何かを訊かれたら、僕が答えていきます。それを続けると、既にほかの人が質問したことと同じような質問をする人が現れてきます。「あれ、それってさっき質問されて僕が答えたよね?今の質問に答えられる人?」って言って手を挙げてもらいます。手を挙げた人に質問の答えを説明させるんです。
ところが、話を聞いて理解していることと、伝えることはまた違う能力なんです。自分では解かっているつもりでいても、なかなか説明できないんですよ。「他にも説明できる人います?」と聞きなおして、また手を挙げた人に説明させる。キチンと説明できる人がいたら、その人の履歴書をチェックします。
質問の仕方と伝え方を見るわけです。
この面接方法だと、3時間で80人くらい面接できるんです。普通の面接方法だととてもそれだけの数は面接できませんよね


ラビ式面接

はい。なるほど


「ラビ」とはユダヤ教の『先生』のことです。ラビは「一番いい質問をした人」を評価するんです。ラビ式面接をすると、核心に触れるような凄くいい質問をする人が出てきます。それはなぜかというと「観察力」「傾聴力」「質問力」「伝達力」この4つの要素をきちんと駆使しているからです。
「よくぞその質問をしてくれた」って思うような質問ができる人は、人の話をよく聞いているからです。この能力があると実社会に出たときも、お客様と短時間で仲良くなれるんですよ。
良くぞ聞いてくれました、という質問を、僕は「待ってました質問」といいます(笑)一撃でその質問が出来る人は、非常に能力が高いです。相手の「ホットボタン」が見える人です


その資質はそれまでの訓練によって得たものなのでしょうか?


訓練もあるでしょうが、「感覚」として持っているんですよ。「親の教育」なんです。しっかりした親御さんからきちんと愛情を受けてきたのでいい笑顔ができる。
それと、いい先輩に恵まれているということ。言葉遣いや物腰、考え方。そういったものがブレないでしっかりしている。学校時代に尊敬する先生がいたとか、社会人になっていい先輩に教えられたとか、そういう環境の中で身についたものです


はい


ビジネスは「何をするか」ではなくて「誰とするか」だと思っています。ですから、誰を仲間とするのか、誰をお客様にするのか、アライアンスを誰と組むのかが重要なわけです。「お金で繋がった人間はお金で裏切る」というのが僕の経験で得た感覚です。お金で裏切らない関係、あなたと一緒に仕事したいという関係、これがとても重要だと思います。
それを突き詰めていくと、弊社のスタッフも「金をくれるから働いている」のではなくて弊社の誰かと、例えば鹿内と働きたい。彼から学ぶことが多いからここで働きたい。そう思ってもらえるかどうかです。
先ほどの面接の話に戻りますが、「この人と働いてみたい」と思わせることができるかどうかです。そうではなく金だけでぶら下がってくる人はあとで金で裏切ります。そんな人はいらないし、パワーもない。私が面白いと思うことを共感できる仲間ではないということです。
増販塾でこれまでに講師をお願いした方々は「それおもしろいね!」っていう感覚を共感できる人たちです。お互いの考えや理論を面白いと思える人たちです。
そんな風に、おもしろいことばっかり探しているほうが、ビジネスも成功の確率が高くなるんですよね


鹿内さんのそのスタンスはいつから生まれたものなのですか?


すばらしい質問ですね(笑)
私が札幌に出てきたのは平成14年の7月です。それまでは14年くらいずっと岩内にいました。僕の奥さんはもともと札幌の人です。その関係で義母の面倒を見なければならなくなって、平成13年に札幌にマンションを買っちゃったんです。実は事務所を辞めようと思っていたんですよ。いつまでも田舎の会計事務所にいても仕方がないなと思ってましたし、義母の面倒も見なければならない。
平成13年の6月に、弊社代表の中野に「先生、僕札幌にマンション買いました。辞めさせてもらいます」って言ったんです。すると先生が「いや、待て待て。来年税理士法の改正で支店が作れるようになるから。札幌に支店を作ってやるから1年間待て」と言われたんです。「わかりました」と答え、中野の言葉に従うことにしました


(第3回に続く)

1. お客様は望むことは?そこから増販塾が始まりました

本日はお時間をいただきましてありがとうございます。
鹿内さんは「どさんこ増販塾」の事務局長として、札幌の経営者の間ではかなりの有名人ですね。相当な人脈をお持ちですよね


ありがとうございます。
面白い活動をされている方は北海道にたくさんいます。先ほども物流会社の社長と一緒に昼ごはんを食べながら打ち合わせをしていました。まだ若いですがとてもやり手の方です


増販塾の活動をされるようになった経緯をまず伺いたいのですが


はい。
増販塾というのはそもそもマーケティングの勉強会です。高橋憲行先生のCTPTマーケティングを基礎とした「増販センター」が全国にあるのですが、その札幌地域担当として弊社が手をあげたことから始まっています。
札幌商工会議所の昨年の統計によると、83%の企業が赤字です。リーマンショック以降はもっと赤字の企業が増えているでしょう


はい


今はそのような経済状況ですが、では、お客様は会計事務所に何を期待しているだろうかと弊社は考えました。会計事務所は税金の計算をします。でも、お客様の中には、税理士というのは経営のプロだと勘違いしていらっしゃる方がいるんですね。しかし全ての会計事務所が経営のノウハウをもっているわけではありません。
会計事務所の機能としては税金を計算することが基本ベースなわけです。税理士の独占業務は税金を計算するということ、税務申告を代理するということ、税務相談を受けるということ、この3つだけなんです。
帳面をつけるという業務は、記帳代行屋さんがいますし、行政書士さん、社労士さんもやってますよね。ただ、税務判断とか税務申告についてはライセンスがないとできない、ただそれだけのことです


はい。なるほど


現在、全道に約2000名の税理士がいてそのうち7割が札幌に集中している。札幌国税局の半径100メートルに、もの凄い数の税理士がいるんですよ。コンビニの数より歯医者の数が多い。歯医者の数より税理士の数のほうが多い。ただ、それは1人で開業している税理士OBの先生の数を入れてですが。
そこで弊社は考えました。お客様は何を望んでいるのだろう...?答えは二つでした。
ひとつは、『資金調達』です。金をどうやって調達するか、この答えを出せるかどうかなんです


はい


資金調達のポイントは3つあります。「プラスの資金調達」、「マイナスの資金調達」、「その他の資金調達」です。
プラスの資金調達というのは、銀行から新たに借りることです。マイナスの資金調達は、「返さない」という資金調達です。つまりリスケ(リスケジュール)です。
多くのお客さんは(銀行から)借りられないんです。借りることが出来ないからなんとかしたい。でも、どう見ても新たに借り入れできるような財務状況ではない。セーフティネットを使って借りられるというところもたまにありますが少数です。
借りられないところはもう返せない状況なわけですから、100万円を月々返している会社であれば、5年で返す予定を10年にすることで、月々50万円の返済になりますよね。つまり、リスケから入ると月々50万円の資金調達をしていることと同じなんです。
そうすると、お客様から見れば、プラスの資金調達は無理でもマイナスの資金調達を手伝える会計事務所であるかどうかということが、次の判断材料になるわけです。
『先生、リスケしたいんですよ。どうやって銀行と交渉したらいいんですか?』
『じゃあ、売上の抜本を見直して、このようなリスケで行きましょう。これでしたら銀行はウンて言いますよね』などとアドバイスするわけです。
事業が3つあったらメインの事業を重視して他の事業は抑えるとか、テクニック的なものもあります。信用情報も、国民金融公庫が持っている信用情報と、民間の金融機関が持っている信用情報とは違います。そのあたりのことをちゃんと学んでいなければ銀行と対等に話をすることができません。ですから、リスケをサポート出来る会計事務所と出来ない会計事務所があるわけです


はい


弊社には、企業再生のコンサルができる仲間のブレーンがいるので、仲間と一緒にお客様のリスケのお手伝いをしています。そうすると、新たに資金調達するよりも、返済のスピードを緩やかにするという方法のほうが非常に効果が高いんですよ。
場合によっては会社を民事再生するという方法もありますし、自己破産させるケースもあります。その場合、会社は潰してしまいますけど事業は残さなくてはいけないので事業を継続させる方法を考えます。会社が死んでも事業主が死ぬわけにはいかないですよね


あー、それはそうですね


はい。それは「自殺者を減らしたい」という思いが根本にあるからです。田舎に行けば行くほど(自殺者が)多いんです。「自己破産」イコール「死」なんですよ。
真面目に経営していながら何らかの原因で失敗したりする人もいます。そういう人への敗者復活制度があったっていいじゃないか、そんな思いがあります。真面目に経営している人を応援したいという気持ちです


はい


3つ目の資金調達は「助成金」です。「知らない」というだけで受給していない人が随分いるんですよ。こちらも助成金に詳しい社労士さんがいるので、この方たちとアライアンスを組んでお客様にご提案します。厚生労働省や通産省、国交省など、管轄の違いでたくさんの助成金があります。僕らが知らないだけなんです。それらを専門に勉強している社労士の先生などに聞きながらお客様にマッチングします。それだけでもお客様にすごく喜んでいただけます。
これらが、資金調達に関する3つの柱です


はい


お客様が望んでいることのふたつ目は『売上を上げたい』ということです。
良い商品や良いサービスを提供できる、売りたいものがたくさんあるのに、どうやって売ってよいかわからない、そんな方がたくさんいらっしゃるんですよ。これはマーケティングですよね。
渡邊さんは知的財産が得意分野ですからよくご存知だと思いますが、例えば、知的財産のことを全く知らない方がたくさんいらっしゃいます。「商標登録ってなに?実用新案ってなんなの?」の世界です。そのようなチャンスロスって、知っているか知らないかだけの違いなわけです。
そこで私どもは、お客様が要望しているマーケティングに関する勉強会を始めようと思い、代表の中野が毎月一回東京の勉強会に参加してノウハウを吸収してきました。
僕自身もいろいろな勉強会に出ました。でも「なにか面白くないなあ」って思っていたんですね。そのとき、北原義昭氏(増販塾副理事長)から、コミュニケーション能力というものを学んだんです。ああ、マーケティングだけ学んでもダメなんだなあって思ったんです。僕はこのとき初めて北原氏からコーチングを習ったんですが、なるほどそうだよな、伝える力って凄く重要で、どんなに良い商品良い商材を持っていても、伝える力がなければ売れないよなぁって...


確かにそうですね


そこで、僕の中で増販塾のテーマは決まりました。マーケティングとコミュニケーションです。
ところが、売るものがあって、その売り方を知っている、伝える力もある。でも、もうひとつ、モチベーションが高くないと売れないんだって、あるとき気がついたんです。だったら、「マーケティング」「コミュニケーション」「モチベーション」の3つを同時に学べる場を作ろうと思ったんですね。それが増販塾です


増販塾の活動を始めたのは4年ほど前のことですね?


はい。なぜ4年も続いているのかなあって考えると、やっぱり「おもしろい」から。ためになるだけじゃ続かないんです。ためになる会はきっといっぱいあると思うんです。でも、「ためになっておもしろい」会じゃないと続かないんですよ


「おもしろさ」って、いろいろな質がありますよね。どのような「おもしろさ」だと思われますか?


あのー、凄くわがままな答えで申し訳ないのですが...。毎回の増販塾はみなさんを楽しませようと思っていないんです。僕が楽しめればそれでいいんです(笑)


なるほど(笑)


要は、主催者が面白いと思わなければどうしようもないんですよ。僕が、例えばナニメンさんの話を聞いてみたいなぁ、とか、長谷川岳さんの話を聞いてみたいなぁと思うことを皆さんにも伝える。あるいは、みんなにも聞かせてあげたいなあと思うような友達を皆さんに紹介する。そんな会なんです。
「僕が楽しいと思っていることを理解してくれる人」だけが集まってくれれば良い。そういうスタンスなんですよ。
ですから、無理して来てくださいって人に頼んだことはありません。「面白いから来てみたら?」くらいの感覚ですね。僕とスタッフが「それ面白いからやろう!」って思えるものだけやればいい。価値判断の基準は私たちが面白いと思うかどうかだけです。
幸いにして、面白がってくれている方が多いようで、4年間継続できています


札幌にも異業種交流会はたくさんありますよね。集客にも波があると思います。僕自身の感覚では、今は異業種交流会はどちらかというと波が下がっている時期だと思うのですが、その中で増販塾は拡大している。
その理由は鹿内さんが仰る「おもしろさ」ということなのでしょうね


その通りですね。
先日、「札幌西倫理法人会」の(朝の)講演を頼まれたんですよ。僕は朝早く起きるのが苦手なのでお断りしたんですけど、3回も依頼されたので根負けして...、というか朝飯食わしてやるから来いって言われてホイホイ行ったんですが(笑)
そのときに、倫理法人会の北海道の会長をされているエイジス北海道の佐藤社長とお話をしたのですが、とっても面白い方で、是非、「増販塾で講演を」とお願いしたんです。ところが、佐藤社長は増販塾での講演をする前に「鹿内さん、僕も増販塾に入ってもいいですか?」って言ってくださったんですよ。これは嬉しかったですねえ。
それ以来、佐藤社長とは親しくさせていただき、マーケティングのアドバイスなどもさせていただいています。
異業種交流会のように学ぶ場はたくさんあります。でも参加費の5千円や1万円って、中小企業の経営者にとっては、決して安いわけではないんですよ。その5千円、1万円を使う時間をどこにかけるか、選ばなければいけない。何箇所も参加できないですからね。そう考えると、僕らの会はすごく選ばれて参加してくれているんだなあって...。来てくれなんて頼んだこともない、感じの悪い会なのにね(笑)でも、そんな会を面白がってくれて「鹿ちゃんて面白いヤツがいるから一緒に行くべ」って誘ってくれることが、凄く嬉しいと思いますね。その友達の繋がりが支えになっています


はい


(第2回につづく)