なるほど情報ウェブマガジン【週刊コラナビ北海道】毎週木曜日更新

週刊コラナビトップ第8回 一級建築士 山本亜耕(やまもとあこう)さん

第8回 一級建築士 山本亜耕(やまもとあこう)さん

7. 地盤というのは「熱の畑」なんです

例えば、(札幌の)新川でこれから手がける物件ですが、新川は昔から地盤が軟らかい。
その分、「地中熱」工事がしやすいんです。地中から熱を採って、暖房日を2分の1から3分の1にしようというでプロジェクトが5月から始まります。自然エネルギーの利用です。(注 新川の家は昨年完成しています)


それはコストはどれくらいかかるのですか?


おおよそですが、今まで120万くらいかかっていた暖房工事が300万くらいかかります。
ただ、先ほども申し上げましたが、今年の洞爺湖サミットを契機に、政府もいろいろな補助金を用意しています。
例えば、NEDO(ネドー)という制度があるのですが、「次世代の環境に優しい技術を使う場合には補助しましょう」という制度です。もちろん審査がありますが、例えば費やした費用の3分の1まで補助しましょうとなっています。
300万かかったものであれば、100万は補助されるということです。
日本っておもしろいもので、国が(このような制度)を行うと、その下の県や道や市が行うわけです。
札幌市でも、新エネルギーを利用する市民や企業に対する融資制度があります。これは、個人だと200万まで、中小企業だと2000万まで、10件間の償還期限で無利子でお金を借りることが出来る制度です。
利子を札幌市が肩代わりしてくれるわけです。
そうすると、ものは考え方で、かかる費用は実質的には変わらないともいえるわけです。新川の家62坪ですから、月の灯油は通常だと4万くらいかかるでしょう。それが2万円以下になるわけです。
新技術によってどれだけエネルギーが節約できたかを、毎月NEDOに報告することになりますが、それだけで100万円の補助金がでるんです


なるほど、コスト意識も大切なんですね


そうです。そのように考えて資金計画も含めてアドバイスできる建築家が必要なんです。そうじゃないと、設計図を見たお客さんが「エコ住宅がとても素晴らしい家になるのはわかるけど、設備額が普通の3倍もする家をOKとはとても言えないよ」となってしまう。
エコ住宅はお金がかかるから実現しないと思いがちですが、そうばかりではないということなんです


それは住宅以外にもあてはまりますか?


はい、天然ガス自動車や電気自動車、ハイブリッドカーなども対象になります。
「新エネルギー使用設備が対象ですから。


エコロジーへの取り組みや、エコカーに乗るのがカッコイイと思うようなイメージつくりも大切なのでは


そうです。たとえば今やアメリカではオスカーの受賞のとき、大スターがプリウスに乗ってきたりしてますね。アメリカはいいことも悪いこともあるけれど、「いいこと」と思えば、大スターのような影響力がある人たちがまずやる。
日本はまだそこまでは意識がないですね。
ただ、環境問題って、ピラミッドの頂点にいる金持ちが行うことじゃなくて、普通に生きている僕たちが将来の子供たちのために行うことなんです。
もっと低い目線で考えることが大事ですよね。
そのために、僕などはまだまだ力が足りないですけど、力になれることはたくさんあります。先ほども言いましたけど、北海道には100年以上の技術の蓄積もあるわけですから、僕たちはその技術を受け継いで発展させているにすぎないんです。
防寒技術は転用が可能な技術です。北海道など寒いところのための技術と思われがちですが、今や、冷房効率を高めるために防寒技術が使われる時代なんです。防寒技術によって冷房費が半額になるのが当たり前になります。
そういった面で、まだまだニーズがある技術なんです


先ほどの「地熱利用」についてもう少し伺いたいのですが、設備はかなり大がかりなものなのですか?場所をとるとか?


いえいえ、家の外に15センチ程度の穴を100メートル掘るだけですから。それと循環ポンプ。そんなに大がかりなものではありません。
冬、家を暖かくするためには地中を冷やしておかなければならない。冷蔵庫の反転熱エネルギーと同じです。
夏は家を涼しくしたい。そのためには地中に熱を戻します。夏の間に地中を暖めておくんです。
地中から熱を取るばかりだと、「熱枯れ」といって、永久凍土みたいになってしまうこともある。循環させることが必要なんです。
地盤というのは畑みたいなもので、「自分の畑から熱をいただく」そういう発想です。
それがヒートポンプの原理です


僕たち一般人ももっともっとクレバーになって勉強する必要もありますね。例えばオール電化住宅が本当に環境に良いのか?電気自動車の電源はクリーンなのか?そんなこともちゃんと知る必要があると思うのですが


そうですね。オール電化住宅は確かにその家ではクリーンですけれど、そのために発電所ではその分の発電をしている。そういうことです。
ですから、いろいろなエネルギーの特徴を見極めながら、その「良いところ」だけを組み合わせる。それが僕の仕事です。
地熱の良いところ、灯油の良いところ、電気の良いところ、ペレットストーブの良いところ、それらをトータルに考えて環境とお財布に優しい家を造ることが大事なんですよ。
家を建てる、あるいは増改築の予定がある方は、どうぞご相談ください。ベストな 選択ができると思いますよ


わかりました。本日は長い間ありがとうございました


ありがとうございました


昨年完成した「新川の家」
(2009年01月29日)

コメントする


画像の中に見える文字を入力してください。

文字は半角英数字で入力してください。
(画像が表示されない場合、画像のところでマウス右クリック-[画像の表示]を実行してみてください[Windows InternetExplorer, FireFoxの場合])

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 7. 地盤というのは「熱の畑」なんです

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://spiritlink.80code.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1532