殆どよく見ないで借りてしまったというのも凄いですね
家もそうなんですよ。
以前の家が双子山にあったんですけど、買わないかという話が知り合いからあって、「いや、金ないから無理だよ」って言ったんですけど、その知り合いは、なんとかなるよと。まあ、売るほうも気楽だったんですけど(笑)
で、買ったんですけど、違法建築で買ったときから傾いているんですよ。そんなことは気づかない、というか気にしないで買ったんですね。
ですからひどいもんでしたよ。お風呂の配管が繋がっていないとか。テーブルの上の味
噌汁のお椀がズルズルと滑っていくとか。2階の窓を開けたらそのまま自然に閉まるとか(笑)
あはは。それは凄いですね
家を買い換えるときも、家族がたまたま見てきた売り家があって、じゃあ出勤のついでに一度だけ見にいったんですね。そのとき偶然に、売主さんが東京から来ていたんです。で、広い家だな~って思ってそれだけで終わるはずだったんですよ。
その後に、不動産屋さんが、「どうしますか?」って聞いてきて。
「いや~ ウチらではとっても…」って言ったんですね。大阪弁で「とっても」というのは「買えない」って意味なんです。でも、不動産屋さんはそう思わなかったみたいで、じゃあ値引きしますからと(笑)
7800万を6800万にしますからどうですかと。いや~、困ったなと思って、逃げ口上で、じゃあ今の家が2500万くらいで売れたら考えますって言ったんです。
まさか、そんな値段で売れるわけないですから。
ところが売れちゃったんですよ(笑)
差額も銀行が貸してくれるってことになって…。
たった1回しか見てないのに、買うことになったんですね。
だから、そんなもんなのかなーと。直感というか、何か引っ張られるものがあってのことなんだろうなと思いますね
普通ですと、一度欠陥住宅を買ってしまうと、次は気にしてしまうんじゃないかと思うのですが…
いや、気にしないですね。
最初の家も、次の家もそんな感じでしたから、まあ、気にしない性格なんでしょうね。
あまり気にしないというのも良くないのかもしれませんが(笑)
人に対する心遣いは気にしなければならないですけど、他は、失敗したなと思っても気にしませんね
過去のことをあまりいつまでも考えているとチャンスを逃がしてしまう、ということ なのでしょうか?
そういうこともあると思います。
マイナス思考ではなくプラス思考だったから良かったと思いますよ。
それと、もっと言えばアタマが(成績が)5くらいの人だと良いんですよ。通信簿で
いう5段階の5ですね。
5の人は頭が良いからそうそう判断を間違わない。
僕の場合は1とか2だからもっと良いんですよ。
それは、物事を単純に、というか純粋に考えるようにしてますので、裏をあまり考え
ない。判らないことは聞けばいいですし。
ですから、僕なりの論理でいえば、それはそれでいいのかなと。
でも、3とか4の人は、ある程度の知能があるから、一生懸命考えたり迷ったりしま
すよね。それはそれでも良いんでしょうけど、僕に言わせればアタマが悪いほうが一
番単純で良いよと。(笑)
商人には、アタマってもちろん必要なんですけど、数字を瞬間的に判断していく力が
必要なんですね
はい
それと、(商売を始めて)40年経った今になって思うことがあります。
あいだみつおさんの言葉に「私は弱い人間だから、喧嘩をしても負ける。だからなる
べく喧嘩をしないようにする」というものがあります。
そうだ。僕の生き方もその通りだなあ、と思ったのですが、お好み焼屋を一人で始め
てずっとコツコツとやってきたわけですけど、人の集団の中に入って、負けたりプレ
ッシャーをかけられるのが嫌なんです。でも一人でやっていくと全然問題がない。
始めた当時はそんなことは思わなかったですが、今になってみて、それはそれで自分の生き様だったのかなーって思います。弱い人間は弱いなりの道を歩んできたんだと思いますよ
う~ん。一人でやっていくことが弱いとは思えないのですが…
自分の身の丈にあった商売というのかな。
どうやったらお客さんが来てくれるか、満足してくれるか、そればかりを毎日一生懸
命考えていました。
朝、仕入れに行って、卵や小麦粉を量り売りで買ってくる。イカも一山百円で買って
くる。麺もスーパーで買ってくる。ソースは一升瓶で買ってくる。無くなったらまた
買ってくる商売ですから、売ったお金でまた仕入れをしてということですよね。
その中のわずかな蓄えの中から家賃や自分の生活にあてるわけです。
「夜鳴きそば」の商売と同じなんですよ。売ったお金でまた仕入れをするわけですか
ら、売り切るまで帰ることができない。朝まで売るしかないんです。
何も無い中から自分がやらなければならないという、まさしく「商売」の原点だった
のかなと思います
はい。なるほど
今は「経営」の時代ですから、資本金とか電話の手配とか準備が全て整ってから始めますよね。さらに、事業計画とか就業規則が必要になってきます。企業理念なども掲げて初めて大きな会社だと思われます。
今はみなさん「経営」でしょうけど、「商売」はそのようなものはいらなかったわけですよね。
北海道は「商人」が少ないな、と思います。
例えば、先代がやっていた商店を簡単にコンビニに変えてしまう。それが良いか悪いかの判断は別としても、商売への「こだわり」や「思い」がないから、コンビニになっても売れなかったらやめてしまいますよね
経営と商人とは違う、ということですね?
そうですね。違いますね。古い考えなのかもしれないですけど…。
例えば、ウチの息子が勤めていた会社を辞めて、何を考えているのか小さな小さなお好み焼屋を始めたんです。
ウチの店がロビンソンの8階で、息子が地下2階で…。当てつけだったのかなんなのかわかりませんが(笑)
「こんな店すぐ潰れるわ」と思っていたんですが、ちゃんと人を雇っているんです。しかも、息子は店には殆どいない。
商人の発想だと、小さい店なんだから自ら汗かきながら働かないと人件費も出ないだろうと思います。
でも、こいつ凄いなと思うのは、こんな小さな店に人を働かせて自分は出ないでいる。まあ、食えているかどうかは別としてですけど。
経営者なんだから、給料払っているんだから自分はそこで働く必要はない、ということですよね。息子の考えとしては、きっと。
僕らは商人ですから、汗水流して早くから遅くまで働くとこが当然だと思ってます。
今、店の数が多くなりましたが、自分ではあまり良くないことなのかな、とも思うんですね。というのは、自分の目に見える範囲が「商売」ですから。見えなくなったら「経営」ですよね
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