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第6回 陶芸家 佐藤勝芳さん

第4回 『北海道三十六景』の作品創りに挑戦したいですね

「フクロウ」も見せていただいたんですけど、創られたきっかけはどのようなものだったのですか?


フクロウは、器を納めていた知床のホテルで頼まれたんですよ。
ホテルって、廊下の角とか物寂しいスペースが出来るんですよ。そういうところに置くようなものが何か出来ないかい?って訊かれたんです。
「じゃあ、キャンドルか何か置いたら?」って話しになって…。
それから創り始めたんです。
壁の照明も、フクロウの電気カバーのようなものを創ったり。
簡単に言ってしまったけど、大変でしたけどね(笑)


試行錯誤されたんですね


そうですね。
知床のホテルさんとは、(作品を)通りすがりに見て行って、それからの付き合いですから。縁ってどこにあるかわからないものですよね


今後の目標と活動予定を教えてください


やっぱり自分の作品を追求していくことですね~。
今、知床第一ホテルさんなどで、僕の創った器を使ってもらっているんですけど、せっかく北海道に来たのだから、器にも北海道の絵があって、食事をしながら北海道の風景を楽しめるようなもの創りはじめているんですよ
来年あたりには本格的に実現していきたいなって思っています。
これまでにも、いろんなデザインをおこすのに1年くらいかかっているんですよ


時間をかけていいものを、ということですね


そうですね。やっぱりいいものには時間がかかります。
ホテルのバイキング料理の器にしても、安い皿積み上げて食事するよりは、いい器を使わないと…。そんなに値段も違わないですから。
「せっかく北海道のホテルに来たんだからつまらないじゃないの?」って、ホテルの担当者と話しになって、今少しずつ手がけています。
ホテルの器の絵を、流氷の絵とか、北海道の風景とか作り始めています。
それが完成したら、壁掛けの「陶画」を創ったり、トータル的に考えていきたいと思ってるんですよ



個展の開催も、今後継続されるのですよね?


今年は個展を開かなかったので、来年あたりまた丸井でやりたいなって思ってます。
でも、個展をするとなると一年がかりになっちゃうんですよ。
未発表の新作の個展なので…。
そうすると1年間他の仕事が出来なくなるのでちょっと考えているところです


楽しみに待っている方もいらっしゃるでしょうから


そうですね~。
「次はいつ個展を開くのですか?」って訊かれたりしますけどね…。
個展の作品となると、例えばご飯茶碗にしても5個くらいしか作らないんですよ。
それくらい凄く手をかけて絵を描きますから、まるまる1年がかりになるんです。
これからギャラリーで展示会をするとしたら、もっともっと北海道に根ざしたような作品にしたいです。
ちょっと時間をかけながらでも、『北海道三十六景』に挑戦していきたいな~って思ってます


あ~、それは凄いですね


知床も何回も行ってますし、北海道は素晴らしい場所がたくさんありますから、写生をしながら周って、その風景を陶画にしてみたいですね。
ちょうど60歳くらいの僕らの年代が本格的にモノを創っていかないと、北海道に文化として根を張っていかないんですよ。
陶芸は、北海道では文化としてあまり認められていないんです。
北海道出身の有名な陶芸家は何人かいるんですよ。でも残念ながら北海道では陶芸を文化と思っている人は少ないと思います。
それが寂しいな~って思うんですね。だから僕らの年代がもう少しいいものを創らないと北海道の陶芸はダメになってします


はい。なるほどそうなんですね


北海道には有名な絵描きさんはたくさんいるんです。上の人がちゃんと教えてきたので底辺から育ってきたんです。
そういう状況や環境が北海道の陶芸にはないんですよ。そういう環境づくりをこれから僕らが頑張らなければならないな、と思っています。
どの世界も、ずっと勉強を続けなれければダメですから(笑)


そうですね~(笑)


でも、人に説明するってとても難しいですよね。
僕はかつて、19歳から21歳までの間、学校の先生の仕事をしたことがあるんですよ。そのころは工業の勉強をしていたので、先生の助手として教壇に立ったことがあったんです。あの経験は今でも忘れないですね。
ろくに勉強もしないで人前でものを喋っていたのですから、今でも冷や汗が出るような、ゾッとする思いがします。
だから、何か始めるときは「勉強しなければ…」といつも思うんですよ


でも、人前でものを喋るのは誰でも緊張しますよね


そうです。大事なことは聞いている人の何十倍も知識がなければならないってことなんです。それをしないで安易な気持ちで教壇にたっていたので、今この歳になっても夢に見るくらいゾッとします。
当時のそんな経験が今に生きている気もしますけどね。
いい物を創るためには勉強しないとダメです。なんでもそうですけど…


仰るとおりです。耳が痛いです


同じく、耳が痛いです(笑)


若い頃、東京で絵の学校に通ってましたけど、当時、紙やボールペンすら買うお金がなかったんです。学校に通うだけで精一杯で…。
じゃあどうやって絵の勉強をしていたかというと、電車で向えに座っている人を、頭の中に同じ状態で浮かぶまでジーっと5分くらい見るわけです。集中力ですよね。そんな勉強を何年もしていました


へえ~、凄い。その話し、今の絵の学生にしてあげてください。
きっと今ならケータイでシャッターカシャンですよね(笑)


そうかもしれませんね(笑)
頭の中に、それこそカメラのように事細かく写るまで、ジーっと見て覚えるんですよ。
きっと、電車の中で「変な人いるな~」って思われたんじゃないかな(笑)
点描で器に絵を描いたりしているんですが、その技術は当時グラフィックの勉強をしている時に身につけたものなんですよ


「点描画」ですか?


カラー印刷などを拡大すると、細かい点で描かれているのがわかります。3色の色の密集度で様々な色を表現している。
昔の新聞って、ドットが荒かったのでそれがよくわかったのですね。だから、当時、よく新聞を見て、点描を勉強してました。
本を買うお金がなかったこともありますけど(笑)
陶芸を始めて、絵のバックをどうしようかって考えていたとき思いついたのが、当時の点描だったんです


なるほど、そうだったんですか…


点のひとつひとつを考えながらの作業です。
人間ってどうしても、規則正しく点を描いてしまう習性があるんですよ。でもそれだと作品がつまらなくなる。
だから、いかにあちこち飛びながら、絵を頭の中に描きながら、表現の濃淡などを決めて点を描いていくわけです。
これは数多く作品を描かないと身に付かない感覚ですね。
僕らの時代は写真でも映画でも「白黒」の時代でした。だからこそ、ものを白黒で見て、でもその白黒の中から赤やグリーンを想像したり感じ取っていたんです。
三船敏郎の白黒映画を観ているのに、赤い色が見えた時代ですから(笑)
今の人とはそこが違うでしょうね。
ある意味いい時代だったと思いますよ


想像力を養ってきたことが今に生きているということでしょうか?


そう思います。
パターンとして描く絵なのか、器に陶画として表現していく絵なのか、やはり非常に難しいですよ。家庭で普通に使う器であれば、パターンで描いた絵でもいいんでしょうけど、だったら既製品でもいいのかなって思われてしまいますしね。
ですから、どこで手書きの良さをわかってもらうのか、陶画家という新しい分野で作品を創っていくことの難しさだと思います。
中には、「器にこんな絵を描いて、料理をのせられないから邪魔だね」なんて言う人もいますから(笑)
でも、楽しいです。本当に楽しいです。
楽しくてそこそこ生活できているのが最高ですね(笑)


わかりました。
本日は良い話しをありがとうございました


こちらこそありがとうございました




(2007年12月27日)

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