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第6回 陶芸家 佐藤勝芳さん

第3回 陶芸家というより『陶画家』として作品を創っています

初めて個展を開かれたのはいつになりますか?


2001年だったと思います。
‘96年頃から本格的に陶芸を始めて、これ1本で飯を食おうを思うようになって間もなくの頃です。個展を開いたのが。
なんで丸井で僕の作品の個展をやらせてもらえたのか、よくわからないのですけど、あのような場があったから少しずつ絵が上手くなっていったんだと思いますよ


仕事をしながら焼き物をしていたときは、どこで焼いていたのですか?


新十津川の清水先生という方がいて、そこに通って焼いてました。
会社から帰ってきて玄関で作業していたんですよ。玄関先で粘土こねて(笑)
土からどうしても埃が出るでしょ。だから場所が玄関先になってしまう。
実は、そういう理由もあって、「土もの」をやってるんですよ。「磁器」だと埃をたてられないんです。磁器は埃があると、表面に鉄粉が付いてしまうんです


「陶器」と「磁器」はそんな違いがあるんですか!


そうそう。有田焼などは磁器です。石を粉にして粘土にしたものです。
陶器は土の粘土です。
磁器は管理も大変だし、作り方も陶器とは全然違いますよ


絵を描くのは筆ですよね


絵の筆よりは少し長いですが、普通の筆ですよ。
ただ、筆の数はたくさん必要です。色をつけるときに、筆を水で洗うことはできないので。少しでも他の色が混ざったら色が変わってしまいますからね。だから、色によって筆が決まってるんです


器に描く風景画は、どのくらい時間がかかるのですか?
お皿を作るより時間がかかるのでしょうか


そうです。凄く時間がかかります


風景画

この絵だと、真っ白いところにまず墨を塗るんです。墨を塗って4時間から5時間完全に乾燥するまで待って、次に、一番薄い水色を全体に塗るんです。そうすと、最初に墨を塗ったところには色が付かないで真っ白になるんです。
ろうけつ染めと同じ方法です。
その上にまた墨を塗って、色を調整していく作業を繰り返すんですよ。
絵を描くだけで、4日くらいかかりますね。
描きあがったら、一度窯に入れて焼いて墨を飛ばすんです。墨は燃えてなくなっちゃうから…。でも、完全になくならない程度に、墨の上に少し色が付くくらいに焼き上げて残りかすを筆で細かく剥がしていくんです。
そうすると、色と色との境目がわからなくなるんです。これを、ロウなどを使って色を抜くと、色の境目がはっきりしてしまうんです。そうならないように、微妙な感じにするために墨を使うんですよ。
色を出すための細かい技法は、説明するのがなかなか難しいですが(笑)


そうですね。でも、あまり聞く機会がないことなのでとても面白いです(笑)


いろいろな人が、「絵の描き方を教えてくれませんか」と言って来るんです。
僕の解っていることは全て説明するんですけど、10人いたら10人ともわからないですね。何故かと言うと、やっぱり何度も何度も自分でやってみて方法を見つけていかないと出来ることじゃないんですよ。
僕が教えたとおりにやってみても、同じような色がでてこないから。その微妙な加減が、紙に描く絵と違って凄く難しいところだと思いますよ


陶画

なるほど…。そうなんですね。
作りやすい作品とか、逆に作りにくい作品とかあるものですか?


う~ん…。やっぱり一番難しいのは「皿」ですね。
たくさんの陶芸家がいますが、轆轤(ろくろ)を回して皿を創っているところを見たら、その人の技量がわかりますよ。それくらい皿って難しい。
皿の原型を創るのが難しいんですよ。
例えば、湯のみなどはいろいろな形があってもいいですよね。でも皿は、真ん中が凹んだりゆがんだりしたものは使い物にならないわけですからね。
使っている道具を持ってきてみましょうか


(絵の道具一式を見せていただく)

これが顔料。呉須(ごす)っていいます。
これをお茶で溶くんですよ


お茶ですか?!


お茶に入っているタンニンが綺麗な色を出すんですよ。
お茶って優れものなんですよ。本当は番茶が一番いいんですけど、ウチでは番茶は飲まないので普通のお茶を使ってますが(笑)
本当は番茶の出がらしが一番いいんです


お茶で溶くというのは昔からのことなんですか?


そうですね。何でお茶で溶くようになったのか…。文献とかではわからなかったですけど、昔の人って凄いよね(笑)


(実際に、器に絵の具をのせる)

例えばこうやって筆を置く(色を塗る)でしょ。そうすると、重なったところと全然色が変わるでしょ。これが、焼きあがったら青になるんです。今の状態と全く違う色でしょ?
呉須(ごす)をもっと薄くすると水色になるんですよ。
どう色が変わるか、判るようになるまでが時間かかりますよ



へえ~~。凄いですね


昔の人は今のような色は使ってないんですけどね。昔はこんな色はないんですよ。
今は洋絵の具の顔料がたくさんありますから。
絵の具は粉を溶いているので、(粉が絵の具の底に)沈むんです。ですから、薄い色のときは上澄みを使ったりします。
同じ色を保つために、(絵の具を)継ぎ足し継ぎ足しで常に寝かして用意しておかなければならないんですよ。そうしないと全然違う色になってしまうので…。
寝かしておくと透き通った綺麗な色の顔料になるんです。
普通の人は、材料を買ってきて水で溶いてすぐ使うから、全然色の具合が違うんですよ。描く前までの過程を大事にしないと綺麗な色が出ないんですよ


作品を創っていて一番楽しいと思うときは、やはり絵を描くときですか?


そうだね~。絵を描いているときが一番楽しいね。
カタチを創るよりも、ウチは絵に力を入れてますから。
多分、僕だけだと思うんですけど、陶芸家ではなく「陶画家」って言ってるんです


あ~ なるほど~!


「陶画」という意識で作品を判断してもらえると嬉しいですね


佐藤さんは北海道のご出身ですよね。
作品を拝見すると北海道の風景なども多いのですが、やはり拘りがあるのでしょうか


そうですね。
身近にあるものを絵の対象にして作品を創っていますね


道外の方の反応はどうですか?


北海道以外の方って、素朴なものを求めているのかもしれないですね。
北海道らしいイメージのものとか。外から見た北海道のイメージってあるんじゃないでしょうか。
あとは、外人さんも気に入ってくれます。作品の「和」の感じが好まれるようですね。以前、面白いお客さんがいましたよ。
飛行機の整備の仕事で、千歳に1年間住んでいたアメリカの方がいたんです。たまたまどこかで僕の作品を見たようなんですが、自宅まで来ましたよ


えっ、ひとりで自宅までですか?


そうそう。殆ど日本語も喋れない方でしたけど、迷わないでここまでたどり着いてくるから驚きますよね(笑)
ロシアの方も来ましたよ。以前、江別の陶器市で来ていた方で、少し喋っていたら、『家に行ってもいいか?』って訊くので、いいですよって返事したんです。
そしたら、翌日の朝9時に玄関の前にいるんですよ(爆笑)


えー! 日本語でお話したのですか?


ロシアの人は少し喋ってましたけど、アメリカの人は全くわからなかったみたい。
だから、商品をだーっと並べて、身振り手振りで「これがいい?」とか(笑)


やっぱり芸術って国境を越えるんですね。外国の方って、日本の陶器が好きですよね


アメリカは今陶芸ブームですよ。
日本的な器を自分で作るのが流行っているみたいです。ある意味「癒し」になるんじゃないかな…



(2007年12月20日)

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