佐藤さん、本日は宜しくお願いします
宜しくお願いします
まず最初に、陶芸に興味をもったきっかけについて伺いたいのですが
僕は20代の前半に東京で絵の勉強をしていたんですよ。でも絵で生活するのはなかなか大変で、一旦はやめて普通のサラリーマンやってたんです。
家庭の事情で北海道に帰ってきて、自動車会社に勤めてたんだけど、たまたま飛び込みで入ったところが瀬戸物屋さんだったんです。その絵が凄く強烈な印象で、「いやー、こういう作品が創れたらなー」って。
全く瀬戸物のことはしらなかったんだけどね
はい
それで、今まで勤めていた会社を辞めて、その瀬戸物の会社に入れてもらったんですよ。本社が東京の会社だったので、当時の国宝級の陶芸家に何人も会う機会があって…。
それで、自分でも絶対やってみたいと思ったんですね。それが、29か30歳くらいの時かな~。
29で結婚しちゃったから、当時自分で何かを創って生計をたてるなんて、まるで考えられなかったから、(独立するまでには)かなり時間かかりましたけどね。
でも、独学でこつこつと創りはじめて、人間国宝の人の作品の創り方なんかを、だんだんとわかるようになっていったんですね。
だから、本格的に創り始めてからまだ15年くらいですよ。それまでは趣味でずーっと続けてました
勤めをしていたときに、人間国宝の作品をたくさん見て、目を養っていった、ということですね
そういうことですね。
やっぱり「いいものを見る」ってことの大切さが、実際に自分で創るようになってよくわかりましたね。
自分の作品と全然違うわけだし、自分の作品の度合いがどこまで来てるのかもわかりますし…。
他の人とは違って、とっても僕はいい環境でここまで来れたなって思ってます
その会社には何年勤めていたのですか?
24年間です
だから、日本の瀬戸物関係は殆ど知ってますよ。ありとあらゆる作品や品物を見てるし触ってきてますからね。
今思えば、独立するためにそんな環境にいられたのはラッキーだったですね
絵のご専門はデザインだったのですか?
そうそう。
僕はグラフィックデザイナーになりたくて東京に出て行ったんだけど、当時東京で絵の勉強をしてる頃は、石を投げたらデザイナーに当たるくらいたくさんいて(笑)
あの頃はブームだったんですよ。
横尾忠則さんが、デザイナーという部門で芸術家になったばかりの頃かな。それまではグラフィックデザイナーなんて芸術家として認められてる分野じゃないからね。広告のひとつの業務みたいなもので…。
そこに芸術性を見出した人が現れたということで、その世界に飛び込んでいったんだけどね。
でも、殆ど周りがみんな天才だったね。めちゃくちゃ絵のうまい人ばっかりで…。写真なのか絵なのかわからないくらいの絵を描くような上手い人たちだったから。
若いときはそんな時代でしたね
その当時学んだデザインの基礎が今でも生きている、ということでしょうか
やはりそうだと思いますよ。
知らないうちに基礎が身についていたんだなって気がしますね
グラフィックデザインと陶芸とでは、やはり通じるものがあるのですか?
絵については共通点がありますよ。
グラフィックデザインは、僕らの時代は壁に一発描きなんですよ。だからやり直しが利かない。
そういうところが、今の器に絵を描く作業に凄く役に立ってますね。途中で線が間違ったからといって、もう消せないですから。一発勝負だからね。
線が止まってしまうとのびのびとした絵にならないので、頭の中に描いていたものを一気に描かなきゃならないわけですから
陶器に描く絵は独学ですか?
独学です。どうやって描いたらいいかわからなくて…。
描けるようになるまで5年くらいかかったかな~。焼いてみても絵になってないんですよ。描いてる時と焼きあがった時とでは全然色が違うから。それがわかるまでに何年もかかったね。
もしも、下積みでどこかの先生に弟子入りでもしてたら、先生の作業を見ていてわかるかもしれないけど、独学でやっているとやっぱり時間がかかります。
だからプロになろうなんて、最初は全く考えてなかったですね。メシ食えるとは思ってなかったから(笑)
制作方法について伺いたいのですが、その手順を教えてください
僕は信楽(しがらき)の方から土を取り寄せます。信楽の土がベースです。
安定している粘土は、信楽とか京都とか…。いろいろありますけど、僕は信楽の土が一番使いやすいですね。
信楽の鉄っぽい感じの色が好きで…。鉄分が多いんです
土の質も良いんですか?
うん。ちょっと腰が弱いけど、土が凄く伸びるんですよ。だからコップとかは作りやすいんです。
ただ、慣れないと、腰が弱くて柔らかいから伸ばしてると(途中で)切れちゃうんですよ。その辺が慣れるまで少しかかりましたけど、今はこの土が僕にあってるな~って思います
コップもお皿も同じ信楽の土を使っているのですか
そうです。原料は同じです。
絵を描くときは信楽の白い粘土に鉱石などを混ぜて、「化粧土」ってものを作るんです。
例えば赤い土に白い粘土を流しこんで、その白いところに絵を描くわけです。
粘土にいろいろと混ぜて、絵にあうような白い色にするんです。ちょっと黄色味が買った白とか、真っ白とか…
粘土が白くなるというのが面白いですね
真っ白いものは、陶器っぽい感じになって絵が描きやすいんですよ。
焼く前はちょっとグレーなんですけど、焼いたら真っ白になります
絵を描く前に、カタチを作って一度焼くんですね?
そう。素焼きといって、800度で焼きます。
素焼きに絵をのせて行くんですけど、(素焼きに)絵を描くのは、紙に書くのと違って非常に難しいです。紙に描く様に表現できるようになるには、ものすごく勉強しなければならないですね
それは、図案を描くのが難しいのですか?それとも色を出すのが難しいのですか?
どちらもですけど、やはり色ですね~ (素焼きに絵を)のせると、濃淡がわからないんですよ。素焼きに描いてもすぐ絵の具が沁み込んでいっちゃうんです。だからどれもおんなじ色に見えちゃう。
今は洋絵の具とか、色をのせたらそのまま出てくる絵の具もいろいろあるんですけど、本来は焼かないと色が出てこないですから
焼かないと色がわからないんですね?
そう。ほとんどわからない。
これが800度で4時間焼いた素焼き。白化粧です

4時間も焼くんですか!
これを焼くと、こちらになるんですか?

そうです。
かなり縮んでますけど、作ってるときはもっと大きいですよ。
土の状態から完成品になると15%くらい小さくなります。
陶器だったら20%くらい縮まりますね。磁器ものは15%くらいかな。
絵も、縮まり具合を考えながら描いていくわけです
(第2回につづく)

| 大 | 8×8×14(高さ) | 税込\5,250 |
| 中 | 5×5×9 | 税込\2,310 |
| 小 | 4.5×4.5×7 | 税込\1,575 |
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第1回 グラフィックの勉強が陶芸にも役立ってますね
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