でもねー、健太郎やご両親にはしばらく報告できなかったですね。あと何ヶ月で辞めるんです... なんてこと... 言えなかったなぁ...。
言わなきゃ言わなきゃって思ってた時に、病棟の看護婦がうっかり喋っちゃったもんだから、も~~大変でした。「先生!!辞めるんですか~~!!!」って
そうですか...。本当に苦渋の決断ですもんね
まあ...。でも言い出せなくて本当にごめんなさいって感じで...。
実はこれこれの事情があって...って伝えたら、「そうですか...。先生はそちらの方がいいかもね...」なんて言っていただいて...
それはおいくつの時ですか?
99年ですから、32歳ですね
32歳のときに、脳外科医武藤先生が、形成外科医武藤英生になって札幌に帰ってきたんですね。お父様の下について勉強することになったわけですね?
当初はその予定だったんですが、北大という組織の医局に所属することになりました。当然1年目扱いですから、当直もありますし大学での勤務もこなさなければならない。ですから父の病院での勤務は週に1回くらいでしたね
なるほど、メインは北大の方だったんですね
そうですね。美容の仕事する前に形成をまずちゃんとやれ、ということでしたから。
北大に4年間籍を置かせていただいたわけでその間、北見や美唄でも勤務しました。
だた、その4年間の間にも何度か父が血を吐いて倒れたりしてるわけです。父ひとりのクリニックですので倒れたらストップしてしまいますよね。
ですから、その時はなんとかお願いして、1日だけこちらのクリニックの方に出張という形で患者さんの診療に当たらせてもらっていたわけです
なるほど。それもまた大変でしたね
本当はもっと長く北大の医局にいさせていただきたかったんですけど、父の体調が芳しくなくなってきたんですね。ですから最低必要期間の4年間を北大の形成外科に所属して、5年目からはわがままを言わせてもらって、こちらのクリニックの専従ということになりました。
それからは、岐阜の先生のところに1週間泊り込みで教えてもらったり、東京の先生のところで手術を見せてもらったりとか...それが今でも凄い役に立っているんですよ
自分が美容形成外科医に転身ことに関して抵抗はなかったんですか?
うん。結局レールはここに繋がっていたんだなって感じですね。
抵抗はなかったですし、なんだかんだ言っても決めたのは自分ですから...。
自分が出した結論で後悔しないためにも一生懸命やるしかないな、と。誰かのせいには絶対にしたくないですから。
「あの時誘わなければ俺は今頃...」なんてのは最低ですからね
先生が札幌に帰ってきた頃というのは、プチ整形とか美容形成とか、世間の意識は変わっていたのでしょうか?
そうですね。かなり受け入れられる時代になってきた頃だと思います。
目を二重にするとか、ピアスとか。ヒアルロン酸注射はその頃はまだありませんでしたけど...
昔に比べて、女性の意識も変わっているとは思うのですが、「綺麗になる」という定義って難しいんじゃないですか?
そうですね。定義は無いですね。人の好みもそれぞれありますし
女性は特に、自分の中で「綺麗の定義」を作るのでしょうかね?だから、顔を変えてみたいと思うのでしょうか?
それが適度なものであればいいんですけど、その意識が過剰なものになってしまうと始末がつかないというシーンは凄くあるんですね。鏡を見ても「これは私の顔じゃない!」って思い込んじゃうとか。
「じゃあ、どれがあなたの顔なの?」って訊いても「もうなんだかわからないから先生が決めて」みたいになってしまったりとか...
やはり悩まれるんですね、女性の方は
女性って鏡を見ている時間が長いじゃないですか。
でも僕ら男は、歯を磨く時とヒゲを剃るときとトイレで手を洗うときくらい。トータルでも10分もないですよね。でも女性の方は1時間とかざらにいますよね。その分、気になるところが見えてくるんでしょうね
はい
ですから、僕もこの仕事をしていて思うのですが、「男の目」で見ちゃいけないんですよ。彼女の(患者さんの)目というフィルターを通してその人を見なければいけない。
彼女に鏡を持たせて、僕はその彼女の頭のうしろから彼女の瞳を通して鏡に映った顔をみている、そんな感じですね。
それがとても大変です。それでも意識のズレはありますし、時間的なズレもあります。
あの時はこうだったけど、今はこう思っているとか。
もう、二次元三次元四次元の世界ですから...。とても難しいですよ
オトコの場合は、顔に何か不満があったとしても、見れば見るほど「まあ、これはしょうがないや...」って思いますけど、女性の場合は、見れば見るほどイヤになったりするんでしょうかね?
そうですね。鏡見る度に凹むという感覚でしょうね。
ただ、最近は若い男性の感覚が女性化してますよ。
「(顔の)この傷が気になるんです...」ていう男性の方がいたんですが
「え?どれ? この傷?!」って思うくらい凄く小さな傷だったりとか
先生のクリニックで、男性で美容形成に掛かる方の割合はどれくらいなんですか?
パーセンテージはまだ少ないですが、でも以前に比べて確実に増えていますね。
ヒゲの脱毛とか...
え?!ヒゲですか?
うん。「頬が青々をしているのが凄く気になるから永久脱毛してください」とか。
朝、ヒゲを剃っても夕方には伸びてきてるのがイヤだとか...。
でも、それを「そんなの気にするな」とは言えないですよね
そうですね
ですから、脂肪吸引とはまた違う治療で、おなかの脂肪の部分に炭酸ガスいれて凹ます方法があるんですが、そういう話題に男性も凄く興味を持ってますよ。
男の人って女性に比べて凄く臆病じゃないですか。痛いのがイヤなんですよね
先生のカウンセリングを受けるときは、予約制ですか?
はい。基本的には予約をいただいてます。
飛び込みでカウンセリングに来られる方もいますけど、時間的に充分お話できないんですよ。
例えば、4時に飛び込みでカウンセリング希望の方が来たとしても、4時半には次の方の予約が入っていたりします。そうすると正味20分くらいしかないんですよ。
僕の中で、20分のカウンセリングなんて滅茶苦茶短いんです。言いたいことが全部伝わらないうちに時間になってしまうので。
たっぷりと話を聞くのでこちらの話もたっぷりと聞いてくださいね、というカウンセリングですから、誰にも邪魔されないその時間をつくってくださいね、とお願いしています
そうしますと、1時間以上は必要ですね
そうですね。カウンセリングに1時間かけることはザラにあります
カウンセリングですが、まず患者さんの希望を訊くわけですよね?
「二重にしたいんです」とか「まぶたが腫れぼったいのを治したいんです」とか...。
そこからはどのようなお話をするのですか?
とにかくまず、その人の持っている情報がちゃんと正しいものなのかどうか、ということ聞いて正すことから始まります。
例えば、よく(まぶたを二重にする)広告にあるような『手術直後から腫れずに自然で誰にも気づかれず...』『クイックナチュラルで...』とか。そんな情報を持っているわけです。
そんなことあるわけないんですよ。誰だって、目をちょっとぶつけただけでも腫れますよね。それが、針刺して注射して糸通して中で結びつけて、それで腫れないわけないでしょ?
ですから、「術後最初の3日間は誰が見ても変だとわかりますから」と言っておきます。
1週間くらいたつと、知らない人が見るぶんにはあまり違和感はなくなりますけどね。
でも、「親兄弟、友達は気が付くよ。普通になるまで2週間はかかるけど、その2週間を過ごせる?」ということを本人に確認します
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