ある人の話を実際に聞きたいなあと以前から思っていたのですが、やっと叶いました。
植松努さん。
北海道赤平市で、宇宙開発事業を行っている方です。植松さんの講演を、先日札幌でようやく聞くことができたのです。
植松さんは8年前までは、お父様とたった二人の町工場を経営していた方。同社は現在、ショベル用電磁石のトップシュアのメーカになり、一方で、人工衛星の開発協力やCAMUIロケットの製作を手がけています。
天才カリスマ経営者のサクセスストーリーというわけでもなく、失礼ながらどこにでもいる中小企業のおっさんです。宇宙開発と言ったって、行政は当てにならない、銀行は相手にもしてくれない。しかしそのおっさんがなぜ北海道の片田舎で宇宙開発事業まで行えるのか。それは、日本がかつて持っていた「モノつくり」の価値と喜びを何より大切にしているからだと思います。
植松さんの講演録の中に、こんなエピソードがあります。
『人工衛星を試験する装置があります。宇宙と同じような超真空状態、マイナス2百℃という環境を作り出す装置です。(中略)装置を買うといったら2億円といわれました。いや、これは無理だなあと思ったけれど、よくよく仕様書を見て調べたら作れそうだね、ということで作ってみました。材料代だけで20万円でできてしまったんですね』
『今ですね、宇宙は大変近くなったといわれています。もしも24億円持っている人がいましたらね、宇宙に行けるんですよ。(中略)国際宇宙ステーションに連れて行ってもらって、1週間チヤホヤしてもらうことができます。(中略)ところが、実はこの宇宙船、開発に24億円掛かっていないんですね。24億円だして、たった一人の人間がチヤホヤしてもらうのと、24億円だして百人の仲間と一緒にMy宇宙船作って、すきな時に宇宙に行くのとどっちはいいか。間違いなくMy宇宙船なんですね。おそらく北海道でこの宇宙船を作れるだろうって僕は思っています。』
『24億円でMy宇宙船を作った人たちには、更にオマケがついてくるんですね。(中略)自分たちで作った人たちにはスキルが宿ります。そのスキルという形でお金を積み増しすることができるのです。これこそ正しいお金の使い方じゃないのかなぁと思います』
(「宇宙ロケットに夢をのせて」植松努講演録 さんだる文庫 より)
植松さんの講演を聞いていると、松下がホンダがSONYが、その昔きっとこうして技術大国日本を育んできたのだろうなと思うのです。それだけに氏は、自らモノを作らない、考えない現代の日本の実情を憂い、子供たちに未来を託そうとしています。
彼の講演は、その一部をYouTubeで見ることができます。
でも、この方の場合、ごく近い将来に『カンブリア宮殿』や『NHK特集』などに登場してくるのではないかと思います。
Watanabe
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