「成果をあげるための秘訣をひとつだけ挙げるならば、それは集中である」と、氏は言う。時間も資金も人材も、集中すべき事に投入せず「多角経営」の名の元で、分散させ、そのどれもが、一向に成果を得られないでいる経営者は数多くいる。幸か不幸か、私は分散出来る資金も能力もない。よって、致し方なく集中せざるを得ない状況だったのだが、仮に余力があったならば、気の多い人間なので、あちこちに手を出しては、何らの成果を得る事なしに、柱の業務も危うい事になっていただろう。とは言え、いまだ「成果」らしきものも得ているとは言い難いのが玉の瑕である。
「仕事や課題に焦点を合わせた関係においてなんの成果もないならば、温かな感情や会話も、無意味である。むしろねじれた関係のとりつくろいにすぎない。逆に、関係者全員にとって成果をもたらす人間関係であるならば、時折の失礼な言葉さえ、人間関係を壊す事はない」
私たちは誰もが、何らかの組織に属している。家庭であれ、企業であれ、ボランティア団体であれ。形態は兎も角、ひとが社会的生物である以上、ロビンソン・クルーソーの様な特殊な環境でない限りは、何らかの組織に属している筈である。そして、その組織はまた、何らかの目標、あるいは意図を持って構成されている。自らの属している組織において、貢献すべき事は何か、期待されている成果は何か、果たすべき自分の役割は何か、今ある組織、あるいは関係が崩壊する前に、もう一度考えてみる必要がある。
いままさに「ねじれた関係を取り繕い、成果をもたらさない人間関係」が世にはびこっている。自らが批判されるのを良しとせず、苦言を呈すべき人が、自分の立場をわきまえず、あいまいに場を流してしまう。
たとえ耳障りが悪くとも、言うべき事を言わずして、成果を得る事は不可能である。たとえ自己反省し、いまだ未熟な点が多々あるにしても、言うべき事は勇気を振り絞って言わねばならない。それこそが、自らの立場に主体的に責任を持つ、と言う事であろうし、それがなされない関係は無意味である。
「経営者の条件」は、こういう私の内なる弱さ「いい子ぶりっ子」を粉砕した書である。
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