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『インターネット的』 糸井重里著 (PHP新書) 連載 (4)

「消費のクリエイティブ」がなければ停滞してしまう

渡邊 光一

イトイ本

本書の中で、糸井氏が使う「クリエイティブ」とはどういうものなのか。糸井氏はこの様に定義しています。


『「創造性」と訳すよりも、日本語で言うとしたら「独特の工夫」だとか、「今までにない何か」だとか、「発想しつづけようとすること」だとか「そのままにしていられない気持ち」だとか、そんな意味で、ぼくはクリエイティブという言葉を使います』(著書「インターネット的」より引用)
さらにまた、
『生産の場面でのクリエイティブに勝るとも劣らず重要なのは、消費することのクリエイティブです』(同引用)
とも語っています。

糸井氏はこの言葉通り、『ほぼ日』という媒体から発信した人気商品を連発していきます。
写真は2002年に発売されたTシャツです。(何度も着込んで、古着のようになっていますが・・)“THINK WILD”や“YES I‘M ONLY”という文字が、あえて逆向きにプリントされています。カラーもロゴ文字も選ぶことができ、遊び心のある商品です。
受注生産で到着まで時間がかかり価格も決して安くはないのですが、そんなマイナスポイントを差し引いても十分に納得できる、クオリティの高いものでした。
僕はもう何年も、飽きずにこのシャツを着ています。

さらには、2005年から2006年にかけて「T―1ワールドカップ」を開催。これは、同じテーマにそって、今を時めく9人のデザイナーがTシャツのデザインを競うというもの。デザインされたTシャツは実際に販売され、一番売れたTシャツがチャンピオンの座を射止めるという、楽しい企画でした。
デザイナーは佐藤可士和、大橋歩、佐藤卓など凄いメンバーばかり。超一流デザイナーの商品を競わせるという「消費のクリエイティブ」は見事なものでした。

『ほぼ日』が発信したオリジナル商品(ほぼ日グッズ)は、他にも、ハラマキ、ネックウオーマー、タオル、など多数。中でも「ほぼ日手帳」は毎年バージョンUPし、ロングセラー商品となっています。

ほぼ日グッズに共通しているのことは、単にネットで選んで買うのではなく、『ほぼ日刊イトイ新聞』という媒体をフル活用して商品開発からの情報などを提供し、消費者が楽しく選んで買うという「付加価値」を常に意識していることでしょう。
それは、生産者の独りよがりではなく、消費者にもクリエイティブが必要なのだ、という糸井氏の考えを実践しているということです。

『送り手=生産者の個のクリエイティブは、受け手=消費する側の視線や興味を獲得するために競われていくわけですが、受け手のほうはそのままでよかったのでしょうか。「消費のクリエイティブ」というものがなかったら、ほとんどのアートも商品も停滞してしまいます』(同引用)

『インターネット的』な生活とは何か。糸井氏はサイトを毎日更新しながら、ネットの向こう側にいる人たちに、次々とその答えとなるものを発信していきました。


(2007年07月12日)

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