
糸井氏が『ほぼ日刊イトイ新聞』サイトを中心に創り上げてきたビジネスモデルの土台は、既存の「価値」や「マーケティング」をを疑う、ということにありました。
『「勢いが価値の時代」というのは、つまりいま現在なのですが、これは安定しないものです。勢いというものは、安定しないからこそ精神的投資や投機の対象になるのですね』(著書「インターネット的」より引用)
大量生産・大量消費のために「人工的につくられる勢い」は、現代においては既に寿命が来ていると糸井氏は気がついていました。
『ぼくは「その力以下の評価をされているものを探せ!」と考えます。勢いがなくてもかまわないのです。力と(勢いだけを価値とした場合の)評価が合っていないと思えるものを、僕は「ほぼ日」で紹介したいと思いました。』(同引用)
長い間、広告やマスメディアの中心に居た糸井氏だからこそ、数字的に分析し「当てる」ことに拘りすぎているマーケティングは、現代においては機能しづらいということを実感していたのでしょう。
僕自身の稚拙な話しで申し訳ないですが、僕は映画や本を選ぶとき、どれだけマスメディアに露出されているかとか、ベストセラーになっているか、などの情報はほとんどアテにしません。
映画であればその作品から「滲み出ているモノ」、本であれば書店で手に取ったときの「引力」を感じて購入します。
それはかなり高い確率で満足のいく結果となります。
もちろん趣味嗜好の世界ですから、他の人とは違うパーソナルな基準でしょう。
でもまさに、そういった「わけのわからないこと」を考えたり基準にしたりすることが『インターネット的』なのだと、筆者はこの本の中で語っています。
『評価する側が、勢いという不安定な評価軸だけで価値を決めているのは、文化の損失だと思うし、クリエイティブの多様性や豊かさをなくしてしまう傾向だと思う』(同引用)
クリエイティブに拘る糸井氏は、独自に開発した商品や出版物を『ほぼ日刊イトイ新聞』を通して次々と世に提供し、その「価値」を問うて行きます(つづく)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 『インターネット的』 糸井重里著 (PHP新書) 連載 (3)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://spiritlink.80code.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/573
コメントする