なるほど情報ウェブマガジン【週刊コラナビ北海道】毎週木曜日更新

週刊コラナビトップこころの絵日記

こころの絵日記

第73回 息づかい

いつもはバスで行く道を時間があったので歩いてみました。
いつもバスの窓から見えていた美しい庭がある家。
その家の前を通ると、咲誇ったチューリップの香りが心地よく漂ってきます。
バスの窓辺からは見えなかった奥まった小路では、新築工事中の家がありました。
新築工事をしている家からは、むせかえるような木の香りがします。
そしてトントンと木をたたく音。
その木の香りや音は、どこか懐かしく郷愁を誘います。
保育園の子ども達とすれ違いました。
二人一組となって手をつなぎ合い、どこか照れたような行列。
新年度を迎え、新しいお友達が入園してきて、お互いまだ慣れていない感じが伝わってきます。
思わず微笑ましくなる光景です。
車の通りが少ない住宅街をぬけると国道、車の騒音や人々が行き交うざわめきで、はっとしました。
大きな通りに出ると今までとは一変して、人々が忙しそうにしています。
なぜだか歩く速度も速くなり、汗ばんできました。
そうこうするうちに目的地に到着。
あっという間にバスで通り過ぎる景色も、歩くと新たな発見がありました。

カウンセリングにおいて重要なことの一つは、相談者と信頼関係を築くことです。
その方のすべてを受け止めたいという想いが根底にありますが、初めてお会いした人には、なかなか言葉でその想いは伝えることはできません。
そこで信頼関係を築くために、話し方や態度、呼吸を合わせることをします。
声の調子やスピードなどの話し方の特徴をつかみ、悲しさや嬉しさや淋しさなどの感情を察知し、合わせるようにします。
でも一番肝心なのは、呼吸を合わせることです。
その方から出ている気と自分の気を融合させるというのでしょうか、うまく言えませんが。

私にとって街を歩くことは、その街と呼吸を合わせることに近いのかもしれません。
ほとんどの人が携帯電話やインターネットを活用する時代になりました。
瞬時にたくさんの情報を入手することができます。
でも考えたら、入手できる情報は視覚や聴覚から得られる情報がほとんどです。
人は見る、聴く以外にも、かぐ、味わう、触れるなど五感から情報を入手できます。
他愛のないおしゃべり、行くあてのない散歩、雑用だと思っている事柄、関心のない話につき合うこと、手間をかけて作る料理など。
時間がかかって無駄だと思えるようなことでも、実はこころのバランスを保つためには必要なことかもしれません。
バスでは20分の道のりが歩くと1時間かかりましたが、とても大切なことを気づかせてくれました。
私たちは息づかいの中で生きている、生かされているということを。


(2010年05月27日)

コメントする


画像の中に見える文字を入力してください。

文字は半角英数字で入力してください。
(画像が表示されない場合、画像のところでマウス右クリック-[画像の表示]を実行してみてください[Windows InternetExplorer, FireFoxの場合])

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第73回 息づかい

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://spiritlink.80code.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2278