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こころの絵日記

人生の正午

「次は西11丁目~西11丁目~」

会社帰りの地下鉄の中は仕事に疲れたサラリーマンが多い。

「間もなく宮の沢行きが発車しま~す」

そのアナウンスが流れた瞬間、席に座っていたサラリーマンが慌てて出口に駆け出していった。その瞬間、「荷物忘れているよ」と茶髪の若者が呼びとめた。サラリーマンは荷物を取り、お礼を言う暇もなくホームに飛び出していった。

最近の若者は自分のことしか考えないとよく言われるが、この茶髪の若者のように優しさや思いやりを持った若者もたくさんいる。イタリア人は陽気だとか、フランス人はお洒落だとか、ある集団の一般的なイメージを社会心理学ではステレオタイプと言うが、社会やマスコミはステレオタイプで人々を判断することが多い。しかし私はその人の本質を見つめたい。

最近私の周りでは環境問題に関心を持つ若者が多い。「このままじゃ地球が危ない、私達にできることをしなくっちゃ」都会に星空を蘇らせる星空プロジェクト、森林を守るために割り箸を使わないMy箸運動など、環境問題に取組むことが彼らの社会での達成感に繋がるのだろうなぁと思ったりする。

カール・ユングという心理学者は「人生の正午」という論文の中で、人生を太陽の運行になぞらえて、人生の前半で大切にするものと人生の後半で大切にするものとが変わると論じている。

東から昇った太陽に向かって私達は歩んでいる。太陽に向かっているため自分の影は自分の後側にできるから自分から影は見えない。それが人生の前半であって、夢や希望に向かって歩み社会での地位や社会での達成感が大切となる。やがて太陽は頭上を通過しながら背後に移行するため自分の影は自分の前にできる。これが人生の後半であって、人生の後半では自分の影と向き合い、自分の内側の声を聴きながら個性化、自己実現のプロセスを歩むことになる。

個性化とは失っていた自分を取り戻し自分らしく生きることである。この生き方や価値観の転換期が、人生でいえば40歳前後の時期であると言われている。40歳前後??

この年齢もステレオタイプでイメージした年齢なのだろう。生まれながらに自分らしく生きている人もいる半面、亡くなる直前に本当の人生を生きることが出来る人もいる。地球の緯度によって太陽の高さが異なるように、人それぞれ人生の位置が異なり人生の正午の時期も異なると私は思っている。

人生の後半では朝にプログラムした通りに過ごすことができなくなる。今まで気にならなかったことが気になるようになったとか、いつも上手くいっていたのに上手くいかなくなったとか、急に病気になったとか、何か変化が訪れた時は案外人生の正午の時かもしれない。それは自己実現のプロセスへの扉を開いた瞬間でありチャンスの時でもある。そんなふうに考えると、人生の危機といわれていることも本当の自分を生きるための転換期であって、その後歩む人生を想像するとワクワクしてくるのは私だけではないはず。

人生の前半と後半、一粒で二度美味しい、そんな人生って嬉しいものですよね。


(2007年06月21日)

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