ここKちゃんとT君の事を少々。
Kちゃんはトルコ在住十数年の大ベテラン。この前海山先輩のSさんの焼肉屋で飲んでいると、後ろから誰かが僕の名前を呼んでいる。振り向くとそこには10年前トルコで一緒に馬鹿をやっていたKちゃんであった。こんな偶然あるのかと思って二人で話していると、僕らより周りの人がびっくりしていた。Kちゃんは一度帰国して、こちらで指圧の資格をとって、またトルコにもどり、マッサージ屋を開く予定らしい。相変わらずたくましい女性だ。で、その指圧の先生が焼肉白さんの親戚で、先生が生徒を連れて来ていたのだ。このSさんの店は繁華街からかなり外れたところにポツンとあって、この出会いは偶然とは思えなかった。
T君は社会に順応できずに世界をまわって自分の書いた絵を売っているアーチスト崩れ。
出会ったのは僕が働いていたイスタンブールのホテル。そのホテルに泊まり客で来ていた。話を聞くとイランの国境を越えてトルコに入ったらしい。その道中で、少数民族クルド人の独立開放運動に入っていたらしい。その結果、国家権力に屈してオリの中で何日か過ごしてからイスタンブールに来たらしい。なかなか面白い奴だと思い、仲良くしていた。すると絵を描いて生計をたてていると言うことが分かった。
しばらくして、友人の働いている事務所の近くで有名画家の個展が開かれるということになった。その友人はその画家を知っているらしい。やった!と思った。ハングリー精神だった当時、何とか取り入り、個展の端にでも「期待の日本人新人画家登場っ!」てな感じで絵を飾らせてもらえないかと思った。まず僕らが考えたのは、T君が結構有名な絵描きで、僕はマネージャーで一緒についてきているというシチュエーションである。何故こんな大胆不敵な計画を建てたかというと、T君の絵は抽象画で、何が何だか分からない絵であったからである。うまいといえば上手いと見てとれる。とにかくトルコ画家を紹介してもらおうと必死になり、何とか紹介してもらい、マネージャーの僕は、ある事ない事を列挙して何と地下1階の3枚分のスペースを確保したのである。そしてここからがマネージャーの本領である。まず絵に値段をつけなければならない。そのエリアは裕福な人しかいないし、絵を見る人は裕福に違いないと思い、結構な数万円という値を付けた。そして売上に対してパーセンテージマージンを支払う事にした。
展示も終わり、プレパーティーの日。1枚しかないブラウスを着て出席(ジャケットは持っていなかったし買えなかった)。カクテル立食パーティーであった。何かお金持ちそうな人が沢山来ていて、その時は十数万のお金が入ると確信していた。
最終日、壁には3枚とも絵が飾ってあり、それを持ち帰る作業が残っていた。実は、T君はもっと安くて良いと言っていたのを僕が強引に高い値段をつけさせたのだ。今思えば、僕は絵の芸術性の微塵も知らないド素人である。値付けミスであった可能性が高い。マネージャーはこの日で引退となった。こめんT君。
<都合によりしばらくの間休載します>
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