ある日Oさんから電話が入って「風呂が手に入った」と連絡が入った。また唐突な電話だなーと思った。大体こっちは真剣に仕事中なのに風呂手に入ったとか、人の身にもなってほしい。
マンションのモデルルームの解体品を入手したものらしく、「幾らだったら買う?」と聞かれた。しかし第一に風呂釜の定価すら知らないのに、未使用の展示品、中古だか新品だかわからないくらい状態の良いものに、値付け出来るはずもなく、分からないよと言うと、
「2万だったら、買うか?それとも3万だったら買うか?」
という事だった。そんなレベルで考えてもいなかったし、もっと高いと思っていたので、どっちでもいいから買っておいてーと伝えた。しかも便器もキッチンも手に入るということだ。便器も展示品なので使用はしていないので幾らなのか見当がつかのいが、5千円らしい。もう出たら幾つでもストックしておいてよーと思った。
Oさんは、とある商店街の一角にものすごく古い木造二階建ての物件を持っている。そこの車庫に風呂(浴槽)がボテっと置いてあった。ひょうたん型で、両サイドには立ち上がるときや入るときにつかまるトッテのついた、ジャグジーにもなりそうな風呂であった。
思いのほか立派な浴槽で満足であった。
この木造2階建ての物件は何故か3つに分割されており、1階の3分の2は店舗に、その上を住居に、後ろ3分の1を車庫と1・2階部分と3つに分けて貸していた。
この3世帯は全て問題ありの人達で、Oさんはみんな出てもらって、一括まともな人に貸したいらしい。
1階前を借りているのはサーファーで、ルーズな奴。車検切れの車をその店舗の前にず~と置きっぱなしで、お隣の地主と険悪な関係になっていた。
裏の3分の2の住人は外国人で、よく外国人好きの女の子を連れ込んでいて、それを目撃していたこの地主がひがんでいた。そこまでは良かったが、この外国人、地主の同級生の女医と結婚してしまい、この物件から出て行った。そのとき地主のひがみはピークに達していたらしい。
そこに運悪く僕らが物件の状況を見にいったものだから、Oさんと僕の顔を見るなり、いきなり出てきて、目を丸くいからして、すごい勢いで罪も無い僕らにいわれの無いソシリをつきつけた。
「あんたが変な奴にここを貸すからこの辺の治安が悪くなるんだーっ」
でもこの辺は昔からヤクザの事務所があったり変なお水が多かったりと、治安は元々悪い。
「元々でしょー」と僕の口が勝手に動いた。すると
「こんな変な建物取り壊すぞー」
そんな権利あんたには無い、と思いながら、ひがみヒステリーの彼の顔を見ていると、僕らは笑いをこらえる事しか出来ず反撃は一言で終わってしまった。地主の怒り勝ちーー。
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