「大きいのは良いけど、暖房費がかさむと経営に影響するよ。
去年僕の家(2階建て4LDKの古い小さな一軒家)でも、月に2~3万円はかかっていた。ストーブは焚きっぱなしではないし、大きさも計画しているレストランより格段に小さいのに、それ位かかってたよ。」
今年はもっと灯油の値段が上がるし、最悪の場合、冬季間はレストランを平日休業にしようかな、等と話していた。
するとOさんは暖房代は掛からないよ、と言い出した。
さっきの今で何言ってるの、このオヤジはー?と思いつつ話を聞くと、薪暖房にしなさいと言われた。
都会の真ん中で生まれ、生まれた時から石油ストーブで育った僕にとって、薪という選択肢は全く無かった。しかも薪は海のキャンプとかで焚き火をするために買うものだと思っていたので、お金も掛からないという意味すら分からなかった。
Oさんは続けた。
「ここは何せ5町分もあるんだよ。
後ろ見なさい、森がいっぱいあるでしょう。そこから木を切り出すの。切るといっても端から全部切ったらダメだよ。間引くの。大きい木の間に生えている細い木を切るの。
細い木を切り出すのは2つの理由がある。1つは間引きのため、2つめは細いと薪の長さにカットするのが楽だから。うまくいけば薪割りはしなくても良い。
そうすると、残った大きな木はもっと大きくなるし、森に日が入るから森にもいいんだ。ここは誰も手入れしてないから、森が荒れているからなー」と言った。
このとき初めて気が付いたが、今までは自然というのは手付かずのものだと思っていたので、手を加えると森がダメになると思っていた。
しかしここの森は手を入れないとダメらしい。手をいれないと、木の足元に笹がはびこってしまって他のものが生えづらくなるようだ。
例えば、前出の落葉きのこ。
これは落葉の木から落ちてくる胞子から出来るが、胞子が飛んで湿った土に着床しないと生えないので、下に笹があると当然生えてこない。
近年人手不足で森が荒れているから落葉きのこが少ないのかなー、と思ったりした。
他にも間引きをする利点は色々あるらしく、木を間引いて薪にし、笹を切って森に手を入れると、森は生き返り、暖房代も掛からない。
一挙両得・二兎追うものは二兎を得るというのだ。
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