ご無沙汰でした。四月になり徐々に春の気配を感じ始めています。雪解けが進むと香る春の匂いがとても大好きです。長い間、雪の中に閉じ込められていた土の匂いのような、強くなった日差しからくる太陽の匂いのような、これが新たな季節を感じる瞬間(旬感)です。私事ですが、五月に予てからお付き合いさせていただいていた女性と結婚することになり、とうとう独身生活も冬と共に終わりです。そのため、人生で初めて行う挙式、披露宴へ向けての準備で忙しい日々を過ごしています。その一つとして、披露宴で提供するビールを自らの手で造ろうということでカナディアンブルワリー(ノースアイランドビール)社に行ってきました。お酒の醸造(蒸留)免許は人や会社に下りるのではなく、場所に下りるため、決められた場所で醸造し、出来たお酒に係る税金を払えば誰でも造る事ができます。
(現在カナディアンブルワリーさんの体験醸造は休止中です。今回は特別に許可してもらいました)
まずは、予定醸造量に対するモルト(発芽大麦)を選定し量り、挽くことから始まります。この作業で完成した時の液体の色、糖度からのアルコール度数がおおよそ決まってしまうので最初から大事な工程です。完成予想図のイメージから今回は三種のモルトを使用することしました。お湯の中に挽いたモルトを入れて混ぜながら温度計と時間との勝負です。モルトの酵素の働きの調整するためここも慎重な作業です。約一時間かき混ぜながら愛情を麦汁の中に注ぎに注ぎ、モルトからビールの素である麦汁を濾し出し煮沸します。その原液はとても甘く、この段階で既に美味しい飲み物の出来上がりです。しかし私はビールを造りに来た訳ですからここで終わるわけにはいきません。次はビールに香りと苦味をつけるホップの登場です。多種多様なホップの個性は知識と経験で少しは理解していましたが、あらためて一つ一つ風味を比べてみると特徴がよくわかります。醸造師の指導のもと配合を考えます。完成予想図をイメージしながら品種と量を決定していきます。いざ投入。ホップのみずみずしい香りが漂います。数十分煮立たせたあと熱交換器を通し、発酵タンクに移します。ここで酵母の投入です。濁った液体に愛情を託しあとは美味しく発酵してもらうこと祈るだけです。約三週間での出来上がりとのこと、今からとても楽しみです。今回の経験から一杯のビール(お酒)にはいろいろな過程から造り手の感情もグラスいっぱいに注がれていることが身を以て体感しました。今宵は一杯のお酒から造り手の気持ちを考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
「酒の一滴、血の一滴」




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