ビールの器といえば一般的にグラスです。グラスといってもたくさんの種類があり用途により使用するグラスが変わってきます。これからの季節、暑い日には大手メーカー等の喉越しが良いラガービールを口触りが良い薄めのタンブラーや、しっかりと冷えたジョッキで最初の一杯を流し込むのも気持ちの良いものです。
前回までの話題で記したようにビールには多種多様の味わいがあり、楽しみ方もそれぞれです。その一つに器(グラス)があり、より一層味わいを引き立たせ、楽しませてくれる道具として欠かすことができません。種類が豊富なベルギーでは一銘柄に付き専用のグラスがあります。どれも個性的でしかも見た目だけではなく、そのビールの味わいを最大限引き出してくれるものになっています。
香りを楽しむビールは口が大きく、飲み頃温度が高めのビールはブランデーグラスのように下部が丸く膨らんでいて手のひらで温めながら楽しむもの、昔の陶器のカップでは気が抜けないようにフタが付いていたりと、様々です。以前、ヨーロッパのパブに行った時、壁に細長い4Lは入ると思われるグラスが横に掛かってあり、その上には確か「4:32」と手書きで書かれていました。何かと尋ねると、このグラスでビールを飲みきった最速タイム(4分32秒)とのこと。「お前もやるか?」と聞かれその時点で5L以上のビールを飲んでいた僕は残念ながら丁重にお断りいたしました。
遊びが許されるのもビールの特権です。
綺麗に洗われたグラスにビールを注ぐと底にぶつかった液体が解き放たれた喜びを泡と化し弾けます。喜びが大きいほど登りきり、やがてグラスの中で液体と泡が分離し、しっかりと液体を包み込み美味しさを守ります。ビールを形成する全ての要素が絡み合い奏でられる瞬間です。受け止める器によってそのビール達の個性の表現が変わり、飲み手の器を試されます。時には厳しく、時にはやさしく。その時の一杯のビールから感じる何かがその人のバロメーターのような気がします。人もビールも器が大事ですね。さぁ、今宵の僕の器はどんなものか飲みながら考えてみますか。

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