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第9回 まだまだ粋(生き)なビール 第一章

最近、私的には残念な事ですが世界的にビールの消費量が減少しているそうです。飲酒人口も減少しているのはもちろんのこと、酒造メーカーの惜しまない努力の結果、いろいろなジャンルのお酒が誕生し、消費者の選択肢が増えているのも確かなことと思います。

しかし、まだまだ世界で一番呑まれているのはビールです。たかがビール、されどビール。ここでもう一度ビールの良さを考えてみましょう。

ビール(発泡酒含め)は醸造酒です。穀物(主に大麦麦芽)を水に浸し、穀物のデンプンにより出来る糖化液(麦汁)を酵母による発酵でアルコールと炭酸を発生させます。まず、このビール酵母ですが麦汁のタンパク質、食物繊維、ミネラル、ビタミンBなどの栄養素が豊富に含まれています。サプリメントとして販売されるくらいにその効用は広く知れ渡っています。製品化されたビール中の酵母の有無がいわゆる「生」ビールであるか否であるかと個人的には思います。

おおよそ、大手メーカーのビールはボトリング(樽詰めも含む)時に風味を固定させ、品質管理のために酵母を限りなく取り除いてしまいます。その方法として二つあります。一つは牛乳等と同じように熱処理です。熱を加え酵母を取り除きます。二つ目は濾過(ろか)です。フィルターにビールを通して濾します。

現在、日本の「ビールの表示に関する公正競争規約・第4条」では熱処理しないビールを「生」ビールと呼ぶそうです。残念ながら大手メーカーの市販されているビールのほとんどが製品化時にフィルターに通し酵母が取り除かれています。世界における小規模ビール醸造(日本では一般的に地ビール)では熱処理も濾過もしない酵母入りビールが主流です。白濁しているビールを見かけたことはないでしょうか?それは酵母が入っているビールの証です。日本酒だとにごり酒、どぶろくといったところです。

酵母が生きているビールは早く呑まないといけないと考える方もいますが、ビールのタイプ、製法、酵母の質にも因ることですが酵母入りだからこそ長く保存出来るという利点も場合もあります。逆に酵母を取り除くことはその時点から劣化していくことを意味します。だからビール工場で呑むビールが美味しい場合もあります。決してどちらが良くて、どちらかが悪いということではありません。それだけビールという酒の幅、奥行きがとても広いことを意味しています。

全ての人や物事と同じように少し目線を変えて付き合っていくと新たな発見がまだまだあります。生き物と付き合うのは難しいですが、やっぱり人もお酒も「生(き)」で「粋」の方が良い気がしますね。

「酒の道は人の道」

つづく。


(2008年03月06日)

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