先日、5ヶ月ぶりにお師匠と再会した。 前回会ったときは私が東京へ行き、お師匠のお店での再会だったが、今回は札幌で行われたNBAの大会観戦のために来札していたので私のお店での再会となった。以前、NBA全国大会で準優勝、ビフィータ世界大会で優勝した経験を持つ今ではその業界では有名になってしまい、お師匠と言ったら他から怒られるかもしれないが自分にとってはやはりお師匠と呼ぶべき尊敬する人である。
最初に出会ったのは14年前、北海道のサホロにある“クラブメット”。 東京から期間限定のリゾートアルバイトとして来ていた私はただのウエイターの仕事をするはずだったが、人数不足ということでカウンターの中へ。 当時、お酒を飲むのは好きだったが、お酒のことはほとんど知らず、ましてやカクテルなんて作ったこともない。「ここにあるお酒の種類と成分を覚えないとお酒触らせないから」とチーフバーテンダーに言われ、「偉そうに、好きでカウンターに入ったんじゃないっての!!」と内心思ったのは事実である。正直、その頃はバーテンダーという仕事は低俗な仕事だと思っていた。そのチーフバーテンダーの鼻を明かしたかったこともあってお酒の種類と成分を必死に勉強した。すると、今まで知らなかったお酒の世界にはまり、たちまちバーテンダーの仕事に興味を持ち始めていた。知識もさることながら、カクテルを作る技術や接客の心得、バーテンダーとして学ばなければいけないことはたくさんあったが毎日とても楽しく仕事が出来た。

そのとき、私にこの仕事のウハウを指導してくれたのがチーフバーテンダーのサブとして働いていたカンコさん(お師匠)であった。厳しさの中に思いやりがあり、女性でありながら芯が通っていて男顔負けの気性で、当時23歳だった私は「こんな女性もいるんだ・・。」とちょっと驚いたが、同時に、初めて尊敬できる人に出会ったような気がした。
ここでは「バーテンダー」という「良き仕事」との出会いがあったが、もう一つ「良き仲間」との出会いもあった。シーズンピークなると週末は宿泊客が600人近くになるホテルクラブメット。 当然その忙しさは半端じゃない。300人前後のお客さんがショーの後に一気にバーにやってくる。それを8人で対応した。引っ切り無しに入ってくるオーダーを汗だくになりながらこなしていく。仕事が終わるとぐったりだったが、不思議と爽快感と充実感に満たされた。 決してその時は仕事ができる人間ではなかったが、自分が出来ることを最大限にやろうという努力と仲間を助けようとした気持ちが、そういった気持ちにさせてくれたのではないかと思う。 尊敬できる上司と信頼できる仲間、この二つが揃うことで自分の実力以上の力を出せる「良き職場」になるんだということもそのとき学んだ気がする。
あの時、この人たちに出会わなければ、今もこうしてカウンターに立っていることはなかったに違いない。 そして、そのとき教わったことは今も尚、自分のベースになっていると思う。 今では、こうしてごくたまにお師匠と会うだけになってしまったが、会う度にこの大切な思い出は新鮮に甦ってくるような気がする。
「モルトウィスキーの個性と女性の好みは通ずるものがある。」
ウィスキーの味を語るときに、華やかさ、香り高い、スウィート、優しい、スパイシー、スモーキー、バランスが良いなどという言葉をよく使う。 「そう思いませんか?」とお客様に尋ねられ、そのときは「はい」とすぐに返答できなかったが、あとでよく考えてみると「確かにそうかも」などと思ってしまった格言。

「KNOCKANDO(ノッカンドゥ)」
熟した果実のような濃厚な香りがあり、スィートでふくやか。とくにフィニッシュが長く、スペイサイドの中でも個性的な美酒。ノッカンドぅとはゲール語で、「小さな黒い丘」、あるいは「小さな黒い塚」を意味する。
クラブメットで働いていた当時、バーボンしか知らなかった私が初めて「スコッチウィスキーってこんなに美味しいものなのか!!」と感動させてくれたお酒。
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