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第25回 酒場のおやじ事件簿

いつものようにお店の鍵を開け中に入ると、いつもと違った匂いが店内に立ち込めていた。 

不思議に思いつつカウンターの中に入ろうとしたとき、足の裏にべっとりと何かが付いた。 

ベタ付きの原因を調べようと、床の上にある物を動かしてみると底が赤く染まっている。 

ここで一体何が! 

恐る恐るその赤い液体を舐めてみると血の味!?

、がするわけはなく、その味と匂いで"スイートベルモット"だということだと分かった。 

確かに一本在庫していたベルモットがない。 

その時、お昼くらいに震度3~4の地震があったことを思い出だした。 

しかし、地震で落ちて割れたのならボトルの破片が散らばっていていいず。

だが、床にはボトルの破片はなく、中身をふき取った跡がある。このベタつきはそのせいだ。 

誰かが証拠隠滅を図ったのだ!

お店には鍵とカードの二重ロックで普通の人はまず入れない。 

とすると、やはり鍵を持って出入りできる業者の仕業...。 

事務所に電話をして、日中お店に入った業者を調べてもらうと「氷屋」と「おしぼり屋」が入店していたことがわかった。

直接確認しようと電話をかけたが、どちらの会社ももう営業は終わっていた。 

果たしてどちらが犯人か...。 

時間からみて入店が早かったのは「おしぼり屋」。

もし、「おしぼり屋」がボトルを落として割ったのなら、このベタつきならきっとあとから来た「氷屋」の足跡がつくはず。 

しかし、足跡は残っていなかった。 すると犯人は氷屋。 

腹立たしい気持ちを胸に開店の準備をしていると、「こんにちは~」と「氷屋」が入ってきた。

こちらが問い質す前に「すいません。 ボトルを割っちゃって...」と自供。 手にはやはり"スイートベルモット"を持っていた。 

「メモでも残してくれればよかったのに...」と私が言うと、「直接謝罪したくて...」と誠意ある言葉にちょっと感動。 

何はともあれ一件落着。 

オープン30分前のちょっとしたミステリーに探偵気分になった私でした。

<今夜の酒>

★モリアーティー

モリアーティー

当店のオリジナル。 イギリスの推理小説「シャーロックホームズシリーズ」に登場するキャラクター、"モリアーティー教授"をモチーフにして創作したカクテル。元数学教授という表の顔と、ロンドンに暗躍する悪党一味の統領として機智を振るい、狙った獲物は必ずしとめる犯罪者という裏の顔を持つ極悪人。 カクテルのレシピもジン、ウンダーベルグ、アイラモルトウィスキーを使い、超悪者な味わいに仕上がっています。



(2009年06月25日)

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