ジャック・ローズは、フランス・ノルマンディー地方の特産であるリンゴのブランデー カルヴァドスをベースにしたもの。アメリカではカルヴァドスのことを「アップル・ジャック」と呼ぶことが多く、"アップルジャックで作ったバラ(ローズ)のような色合いカクテル"というのが名前の由来。すっきりと甘酸っぱい味わいのカクテルです。
さて、今回はこのジャック・ローズを愛飲する二人のお客様のエピソードをご紹介。
店を開けてまもなくして、誰かの視線を感じたのでドアのほうを見るIさんがドアの向こうで、じぃ~っとこちらを覗き込んでいる。
私が気づくとドアを開け、いつものように笑顔と一緒にご入店。
Iさんがこの時間に来る時はいつもYさんと食事の約束がある時。
「ジントニックで・・・」とオーダーをいただき、お出しすると「この前、大阪に行ったんだけどさぁ・・・」と大阪での体験談を話し始めた。
Iさんが大阪駅でエスカレーターに乗った時のこと。 突然、誰かにベルトをギュッとつかまれビックリして後ろを振り返ると、見ず知らずのおばあちゃんがしっかりIさんのベルトを両手で掴んでいた。
突然の出来事とおばあちゃんということで、言葉に詰まったIさんは考えた。
「なんでこのおばあちゃんは私のベルトを掴んでいるのだろう」と。
すると、すぐにIさんはその答えを見つけた。
「エスカレーターにお乗りの際は黄色い線の内側に乗り・・・ しっかり手すりのベルトにお掴まり下さい。」と流れるアナウンス。
おばあちゃんはIさんのベルトと、手すりのベルトを間違えているのだ。
それに気づいたIさんは怒るに怒れず、長いエスカレーターをそのままの状態で上まで。
きっとこの光景を見ている他の人にはたいそう親孝行している息子に見えたに違いない。
降りる時、一言「おおきに。」とお礼を言って、おばあちゃんは去って行ったそうです。
Iさんは、「恐るべし大阪の街・・・」と開いた口が塞がらなかったとか、、。
その話で、他のお客様を笑わせた後、Yさんと食事に行ったIさん。
やはり、その夜も〆はジャック・ローズでした。
最近ではすっかりご常連となっていただいているRさん。
ここで飲む時はいつも同じ顔ぶれ。
こちらから何も言わなくても飲みたいお酒をを自分たちの引き出しから選べてしまう"通"な方々。 ジャック・ローズはRさんの必須のアイテムの一つ。
お寿司屋に行くと注文するネタや順序が人それぞれあるように、バーも同様、通い慣れてくると自分なりオーダーの仕方が出来るようになっていく。
私が"通"だなとお客様に思う瞬間は、"珍しいカクテルの名前を知っている"というより、"自分の飲み方を知っている"お客様に出会った時。
本来、お客様の好みはお客様が一番知っているはず。 しかし、それを上手に伝えるにはお客様側にも少々の経験と知識が必要。
"バーテンダーに自分の好みを伝えられる"、それがまず"通"への第一歩ではないかと思う。
ある日、Rさんお連れが電話で席を離れた時に、Rさんにいつどこでジャック・ローズに出会ったのか聞いてみた。 すると、20年前に上司に連れて行ってもらったバーで飲んだのが最初で、それから気に入って飲み続けているとか。
ジャック・ローズ愛飲暦20年。
次回、Rさんにジャック・ローズをお出しする際、手が震えるかも・・・。
★柿と紅茶のウォッカマティーニ

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