ことの始まりは4月も終わりのわが畑にて。
20粒のキュウリの種を植えました。
むちゃくちゃな暑さも手伝って、キュウリたちはすくすくと育ち、ばさばさ葉を揺らしながら実を付けはじめました。
キュウリひと株から平均して10~12本のキュウリが採れるとして、この夏、わが畑のキュウリは最大240本が収穫される見込みとなります.........食いきれんわ。
「だからさオークボ君、採りたて新鮮のキュウリをタダで持ってくるからさ、キュウリが主役の料理を作ってよ」
「いいっスね! 採りたてのキュウリに味噌つけてかじるのサイコーっす」
......味噌かじり、却下します。
「えっ、ダメすか? 旨いのに......」と泣きまねするオークボ君。
確かに味噌かじり旨いス。サイコーっす。
でも、料理人としてのオークボ君に私が求めているのは、そんな安直な発想ではないのです。
自称ビンボー人のオークボ君にとって、仕入れ値タダで、たくさん手に入る新鮮キュウリは貴重な素材。ひとつのチャンスと言えましょう。
生でかじられたり、薄切りでサラダに添えられたり、漬け物盛り合わせに3~4切れ参加したりと、わき役的運命をしょって立つキュウリ。
彼らを主役としてひのき舞台に上げ、ドカンと真夏の太陽を浴びせかけるような、そんな独創性のある料理を生み出してこそ、真の料理人と言えるのではないでしょうか。
全国の料理人とキュウリ諸君! 団結ガンバロー!!
「今回もよくワケわかんないっスね。でも、ナガイさんが演説している間に1品作ってみました。どうすかコレ?」
●1品目・キュウリの黒豚肉巻き●
見た目はアスパラベーコン串です。生キュウリを梅とシソと黒豚バラ肉で巻き、塩をふって炭火で焼く。
加熱しても思いのほかポリッとした歯触りが残り、ジューシーであります。キュウリのみずみずしさが黒豚の脂とまざり合い、さっぱりとした味わいになっています。
「旨いよ!」
「でしょ? こーいうのは成り行きでパッと作った方がうまく行くんですよ」
「よ~し、この調子で全5品作ろう。似たような料理はダメだからね」
「えっ、5品も?!」
オークボ君が絶句してます。まさか240本のキュウリをすべて肉で巻くつもりだったのでしょうか。甘いとしか言いようがありません。
この最初の1品目の試作が行われたのが、1か月半ほど前のこと。
現在オークボ君の居酒屋の壁には「キュウリが主役メニュー」が堂々と張り出されていますが、それには1か月半に渡るオークボ君の汗と涙の、キュウリとの格闘があったのでした。
(後編に続く)

巨大キュウリを振りかざし、闘志を見せるオークボ君

1品目の肉巻き。お客さんにもなかなか好評

収穫を待つキュウリたち
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