「ナガイさ~ん、ハゼ釣りに行きましょうよ!」
「・・・・・」
「ナニだまってるんすか~? ハゼ行きましょうよ~、ハゼ、ハゼ!!」
ああ、う五る月さ蠅い。
大事な客が、今年も鮭が釣れなくて悲しんでいる時に、なぐさめもせず、ハゼハゼと連呼するオークボくんが心から憎い。
なぜにオークボくんがハゼにこだわっているかといえば、故郷、宮城の正月の味であるらしいのです。
オークボくんの父がハゼを釣ってきて焼き干しにし、それで出汁を取って雑煮を作っていたらしいのです。
らしいらしいと、なぜに推測文が続くかといえば、ハゼ出汁を使っていたのはオークボくんが生まれる前の話で、その後はホンダシなどに取って代わられており、当のオークボくんは一度もハゼ出汁の雑煮を味わったことがないのです。
それがひょんなことで父からハゼ出汁の話を聞き、料理人であるオークボくんのココロがゆさぶられてしまったのです。
いまだ味わったことのない故郷の味を再現したい。その一心でオークボくんはハゼハゼとうるさいのであります。
そんなわけでハゼ釣り行きました。

なかなか釣れない。ちょっと弱気な笑顔のオークボくん。

まだまだ釣れない。哀愁ただよう背中。

となりで小サバを釣るオークボママ。絶好調。

ぜんぜん釣れない。近くの船に乗り組んでしまったオークボくん。
ふとあたりを見渡すと、たくさんいる釣り人たちのほとんどはチカや小サバを釣っています。ハゼ狙いはオークボくんだけのようです。はたしてハゼは釣れるのでしょうか。

オークボママとオークボキッズが釣り上げたチカと小サバ。ハゼはいまだ釣れず。
やった!やった!とハゼが釣れたのは、夕暮れ近く、そろそろ撤収の準備をしましょうという頃であります。

ようやく釣れたハゼ。小魚1匹で大喜びするワシらを他の釣り人はけげんな目で見つめていた。
で、結局釣果は小サバごっそりとチカごっそりと巨大ヒトデ1枚、小カニ1匹。手のひらカレイ1枚。ハゼ1匹。
ハゼをどうするかオークボくんにたずねたところ、力強く、
「干しますよ!」
とのことでした・・・。
ハゼ料理、期待していましたが、この1匹を私が食べてしまったら、地球最後の日までぶつくさ言われそうなので遠慮することにいたしました。
おそらくいま、オークボくんの店のどこか奥深くには、干したハゼが隠されていることでしょう。

みりん干しにした小チカ。炭火であぶって食べる。

小サバのから揚げ。

小サバ丸ごと1本みそ煮。ハゼはどこに隠したんだよ。
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