時は2006年、オークボくんの居酒屋。
「ねえオークボくん~。ギョウザいつ作ってくれんのさ! タチと生のりのギョウザ~~!」
先日、3月25日にめでたく5年目を迎えたオークボくんの店ですが、開店当初から私は、タチの季節が来るたびに、しつこくしつこくねばっこ~く「タチと生のりのギョウザ」をオークボくんにリクエストし続けていたのでした。
トロトロのタチと磯の香り豊かな生のりをやさしく皮で包み、ゴマ油でかりっと焼き上げる。ポン酢をちょんとつけて食べると、サクッと皮が割れ、中からタチがとろけ出すのであります。たまらぬ旨さなんだよこれが。
よだれをダラダラ流しながら訴える私に、さすがのオークボくんもシカトできなくなったらしく、しかたなく「わかりました。次回作りましょう」と前向きな返事。
でも2006年に次回はなかったの。終わっちゃったのタチの季節が。
・・・めげない。2007年。タチの季節到来。
「ギョウザ~~! ギョウザ~~!」
遠吠えする私を、菩薩のような慈愛のまなざしで見つめるオークボママ。
厨房からこま犬のような四角い笑顔のオークボくん登場。手に皿をもっています。なんと「タチと生のりのギョウザ」です。やった!やった~!
夢にまで見た、パリッとろとろ~が目の前に出てきたのです。
しかし、いや・・・違う。これ・・・ゆでギョーザじゃ~~~ん(泣)!
味わってみましたが、やはりパリッとはしていませんでした。
旨いこた旨いのに、でろっ、でろでろでろ~~なのであります。
そして2008年。3月。
昨年のでろギョウザに毒気を抜かれた私は、タチの季節が来ても遠吠えすることすら忘れておりました。そんなある週末。
「ナガイさん、もしかして今週、皆勤賞ではないですか?」
オークボくんの居酒屋にはヘンな風習があり、1週間連続で店に顔を出すと皆勤賞となり、好きなものを食べさせてくれるのです。
「なに食べたいですか?」
忘れていたことを小さい声で言ってみました。
「タチと生のりのギョウザ・・・」
すばらしく美味しいひと皿でした。

ギョウザの材料。タチ、生のり、オークボくんの意見で長ネギ、そして皮。

かわいこぶるオークボくん。料理の上になにか飾りをほどこさなければ不安らしく、もみじおろしと大葉きざみのっけ。

ギョウザアップ。半透明の皮の中に真っ白なタチと黒い生のりが透けて見える。食欲をそそる美しい姿。
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