フリーライター。釣り、酒、旨いものとカラス好き。
1年の半分くらいずつ札幌と大阪に在住。
突然ですが、オークボくんのテーマソングを作ってみました。
名曲、「オーシャンゼリゼ」のメロディーで歌ってみましょう。
さんしっ
♪お~くぼくぼ~ お~くぼくぼ~
いつも なにか ステキな 料理で~
あ~なたを待っている くぼくぼ~♪
ワンモア
♪お~くぼくぼ~ お~くぼくぼ~
いつも なにか おもろい 料理で~
あ~なたを待っている くぼくぼ~♪
せんきゅう
6月になると、関西では山椒の実が出回ります。
ソフト綿棒の頭ほどの大きさで、鮮やかなライトグリーン。
関西ではこれを炊いて、ジャコ山椒を作ったりします。
札幌ではあまり見かけない食材なので、買って塩漬けにしました。
そのままかじると、舌が5分くらいジ~ンとしびれます。
おりしも、私の畑では葉山椒の葉盛りで、
「ちょっとオークボくん、この実と葉っぱを使ってなんか作ってよ!」
「え、いっすけど、何作るんすか?」
「そんなもんまかせる」
などという会話をしていたのであります。
よーするに、私も使い方がよく分からなかったのです。
数日考えました。
しびれる山椒。
うまい料理。
しびれるようなうまい料理・・・。
あった! あったよ!
しびれればしびれるほどうまくなる料理がっ!!
ということで、オークボくん、しびれるマーボー豆腐に挑戦です。
正直なところ、この料理はオークボくんにとっては鬼門であります。
なぜなら彼は辛い、しびれるなどの味覚にとっても弱いのです。
辛いカレーが食べられません。
山椒の実も、かじれば私の倍以上、舌をしびれさせています。
試作第1号は、やっぱりしびれも辛みもありませんでした。
でも、味付けはポイントをつかんでおり、いーセンいってます。
「油だよ、油が足りないんだよ」
「ラー油つかってよ~」
「山椒をもっと入れろ~」
「とうがらし!とうがらし!」
私と、常連の革マル風ギャルに吠えられるオークボくん。
打たれ強い。
さて、試食本番で登場したマーボーは、オークボくんのしびれと辛さの許容をはるかに超えたものとなりました。
油にたっぷり辛みと香味をうつし、ダシをたっぷりきかせたあんと豆腐と肉がからまり合い、素晴らしいうまさ。
そんじょそこらの中華料理には負けない味に仕上がりました。
おみごと!

しびれるマーボー豆腐にしびれている人々。食べた瞬間よりも後からじわじわしびれてくる。

大阪のスーパーで山盛りで売っていた山椒の実。ブドウのようなふさになっていて、ここまできれいに実をはずすのが一苦労。1時間ちかく飽きながら泣きながらはずしたものがこれ。

わが畑ですくすくと育つ山椒の木。ギンナンのように木によって雌雄があり、これは雄らしく実は付かない。

しびれるマーボー豆腐。食べた女子が「きゃ~しびれる~」と言ったとき、オークボくんはさりげなく「オレに?」と聞いていた。返事はなかったようである。

ごはんにかけてマーボめし。めしにタレがしみてからまり、めちゃうまい。

後日、豆板醤を加えてさらなる味の推敲をおこなったオークボくん。ぱっと見、マーボー豆腐の背後霊。
「ねえオークボくん。タケノコ採りに行こうよ」
「ムリ。」
ふた文字で速攻断わられました。むかつく。
季節はタケノコです。焼きたてを皮をぺりぺりむいて食べたり、茹でたてをマヨ味噌でポリポリしたり、ご飯に炊いたり、みそ汁にしたり。
とても美味しくて、さまざまに調理できるタケノコを、なぜにオークボくんが採りに行かないかといえば、ひとえに採るのが困難だからです。笹竹のジャングルを虫に襲われながら、平泳ぎでかき分けながら進まねばならないのです。
「なにさフンッ。い~もんい~もん、ほかの人誘うから」
3日で20人くらい声をかけましたが、全部断わられました。タケノコ採りが、これほど世間さまに嫌われているとは夢にも知りませんでした。みんな食べるのは大好きなのに・・・。
ウド、タランボ、行者ニンニクなどは1人でも行きますが、タケノコだけは、1人で行くと遭難したときにヤバイのです。誰にも発見されず、野ざらしの白骨となり、ろっ骨の間からタケノコがにょっきり・・・そんな映像が頭に浮かびます。でも行きたいの。
決行予定前夜。とうとう1人も参加者が見つからず、も~あきらめて、今夜はとことん飲みあげてやる。そんな決心をしかけたその時です。
ギャルからOKのメールが届きました。やった! 続いてオークボくんの居酒屋の常連のおやじさま1人が参加表明。やったやった~!
衆院選投票前夜に組織票がどばっと転がり込んできた。そんな心境です。

山菜スタイルがとっても似合うおやじさまと、革マル風ギャル(二日酔い)の突撃タケノコ部隊。2人ともド素人ながら果敢に挑戦しウドとタケノコを段ボールひとつずつ採りました。

茹でて水に漬けたタケノコ。つやつや。

タケノコを採りに行かなかったオークボくんが作った「タケノコとクレソンを生ハムで巻いたカツレツ」

同じく「タケノコの田楽」。左からフキノトウ味噌、なんばん味噌、木の芽味噌。

同じく「タケノコの牛乳バター煮」
「ナガイさん!4月に31日はないですよね!?」
オークボくんが、いつものようにアホな発言をしています。
いったい、どこをどう探せば4月に31日があるというのでしょう。
と、ここまで考えて、私も脳みそが止まる思いになりました。
4月に31日がないということは、本日24日木曜日がコラナビの今月最終の締め切り日だったのです。
季節柄、ギョウジャニンニクをテーマにするのだけは決まっていたのですが、料理も作ってないし、原稿も書いてません。
日本語で簡単に表現すれば「忘れてた」というのが妥当な状況です。
「ばっくれよう・・・」
こうオークボくんに指示を出しました。
その30分後。
「ギョウジャのぴざです」と、注文していない料理が出てきました。
オークボくん、根性です。締め切りに間に合わせようというのです。ばっくれようって言ったのに・・・
しょもないので、酒飲みながら泣きながらケータイでこの原稿書いてます。
でも即席で作ったのに、ぴざはたいへん美味しく仕上がりました。
しょうゆ漬けのギョウジャニンニクとチーズが絶妙に合うのであります。
「やっぱオレって天才かも」
オークボくんが調子に乗っています。天才バカボンです。

ギョウジャニンニクのぴざ。アスパラみたいのがギョウジャ。私が採取してきました。太いだろ。

「ギョウジャを食べてもっこりパワー!」
わけのわからない発言とポーズを繰り返すオークボくん。
時は2006年、オークボくんの居酒屋。
「ねえオークボくん~。ギョウザいつ作ってくれんのさ! タチと生のりのギョウザ~~!」
先日、3月25日にめでたく5年目を迎えたオークボくんの店ですが、開店当初から私は、タチの季節が来るたびに、しつこくしつこくねばっこ~く「タチと生のりのギョウザ」をオークボくんにリクエストし続けていたのでした。
トロトロのタチと磯の香り豊かな生のりをやさしく皮で包み、ゴマ油でかりっと焼き上げる。ポン酢をちょんとつけて食べると、サクッと皮が割れ、中からタチがとろけ出すのであります。たまらぬ旨さなんだよこれが。
よだれをダラダラ流しながら訴える私に、さすがのオークボくんもシカトできなくなったらしく、しかたなく「わかりました。次回作りましょう」と前向きな返事。
でも2006年に次回はなかったの。終わっちゃったのタチの季節が。
・・・めげない。2007年。タチの季節到来。
「ギョウザ~~! ギョウザ~~!」
遠吠えする私を、菩薩のような慈愛のまなざしで見つめるオークボママ。
厨房からこま犬のような四角い笑顔のオークボくん登場。手に皿をもっています。なんと「タチと生のりのギョウザ」です。やった!やった~!
夢にまで見た、パリッとろとろ~が目の前に出てきたのです。
しかし、いや・・・違う。これ・・・ゆでギョーザじゃ~~~ん(泣)!
味わってみましたが、やはりパリッとはしていませんでした。
旨いこた旨いのに、でろっ、でろでろでろ~~なのであります。
そして2008年。3月。
昨年のでろギョウザに毒気を抜かれた私は、タチの季節が来ても遠吠えすることすら忘れておりました。そんなある週末。
「ナガイさん、もしかして今週、皆勤賞ではないですか?」
オークボくんの居酒屋にはヘンな風習があり、1週間連続で店に顔を出すと皆勤賞となり、好きなものを食べさせてくれるのです。
「なに食べたいですか?」
忘れていたことを小さい声で言ってみました。
「タチと生のりのギョウザ・・・」
すばらしく美味しいひと皿でした。

ギョウザの材料。タチ、生のり、オークボくんの意見で長ネギ、そして皮。

かわいこぶるオークボくん。料理の上になにか飾りをほどこさなければ不安らしく、もみじおろしと大葉きざみのっけ。

ギョウザアップ。半透明の皮の中に真っ白なタチと黒い生のりが透けて見える。食欲をそそる美しい姿。
関西あたりでは、もう ♪梅が咲いたか~桜はまだかいな~♪
などと春めいた話が聞こえてきていますが、ここ北海道の木々に咲いているのは、いまだ真っ白な雪の花。
先日の大雪では飛行機が欠航し、車はわんさか埋まり、北国のおやじ様たちは皆雪かきで腰が痛いと嘆くことしきりであります。
そんな雪にもめげず、オークボくんちの大皿に咲いた、おやじ様たちの夢の花。その名もジャカジャ~ン♪ おやじ様ランチ~~!!

「ボク、お子様ランチにする~」と無邪気に言えたスイートな時代から、はるか遠くまで歩んで来たすべての「おやじ様」へささげる、オークボくん気合いのひと皿です。
おやじ様たちがたいそう喜んでいます。

いくら食べたくても、おやじ様がいまさらデパートの食堂でお子様ランチを注文するワケにはいきません。思い切って注文したところで、もれなく「変態?」の視線にさらされるのは目に見えています。
さらには少年時代よりもいくぶんか胃もココロも疲れているおやじ様に、脂たっぷりのハンバーグやスパゲティなどはダメダメでありましょう。チキンライスに万国旗が立っていたとしても、楊枝代わりにシーシーするのがせきの山です。
そんならすべてをおやじ様仕立てにと、このようなひと皿ができあがったワケであります。オークボくん、面白がっていろんなもん作りましたが、とてもたいへんだったらしく、今後、店で注文しても出てこないと予想されます。

スパゲティのかわりに、マスに入れた蕎麦。旗はその場で削るスクラッチ宝くじ。オークボくんは見事5等で1000円ゲット。マスの後ろにチラッと見えるのは、ケンタッキーフライドポテトの袋に入れた、イカげそフライ。

チキンライスのかわりの鮭じゃこ高菜チャーハン金箔のせ。なぜに金箔かとオークボくんにたずねたら「おやじっぽいでしょ~!」とのこと。よくわからんセンスだけど、言われてみればそーかも。手前は笹の葉にのせた自家製ニシン漬け。

タコさんウインナーならぬ、たこ焼きさんウインナー。「中身のタコにぶつからないようにウインナーを刺すのが難しかった」(オークボくん談)。右はウサちゃんリンゴならぬ、ウサちゃん板わさ。ピンクのしっぽ付きで耳の裏にワサビてんこ盛り。手前はハンバーグならぬ、しゃもじにのせた焼き味噌。小鉢はアイスクリームじゃなくってナスの揚げびたし。

プリンのかわりの茶碗蒸し。後ろはメンコやパッチ、紙風船、おはじきなどの昔なつかしおもちゃのおまけ。

おもちゃで楽しそうに遊ぶおやじ様。
「ウマッ」
「いえ、シカです」
・・・わかっとるわい、そんなもん。だってオークボくん、さっきこれは「シカ」のハンバーグですって言ったでしょ。漢字に翻訳すると最初のセリフは
「旨っ」でしょ。せっかくホメたのに。
「馬っ」だったら馬と鹿で、お馬鹿すぎでしょ~!
2008年、初回の料理は「鹿ハンバーグ」であります。前回12月に予告した「じゃばら」は、ソースに使われています。
なぜに鹿かといえば、オークボくんが鹿ハンターから大量の鹿もも肉をもらったからです。で、なぜにハンバーグかといえば、私がハンバーグを好きだからです。
ハンバーグはもともとくず肉をおいしく食べるために作られた料理。脂ジュージューの高級肉なんか必要ないのです。鹿もも肉最高です。
そして、ひき肉にしてはいけません。包丁でたたいて細かくします。そーすると適度なツブツブ感が残って、かんだ時に「あ~、ニクをかみ締めている~」という幸せが味わえるのです。
そんな幸せを「ウマッ」のひと言に凝縮して表現したのに、「シカです」とは、なんという貧困なおやじギャグ的返答でしょう。思考が脳みそまで到達せず、背骨あたりで止まった返答としか思えません。
と、ここまでオークボくんをこきおろしているのは、なんかクヤシいからです。クヤシいけど、今回のハンバーグはとってもウマかったのです。
ひとつくらい失敗してくれたら「まあまあ良く頑張ったじゃないか」とすなおに思えるのに・・・。ナガイ、ひねくれてます。
さて、調子に乗ったオークボくんは2種類のソースを考案しました。
ひと皿目はじゃばらポン酢ソース。生皮のすりおろし+乾燥皮のトッピング。野性味のある鹿肉の良さを、じゃばら独特の香りがうまく引き立てています。
ふた皿目は赤ワインじゃばらソース。あっさり和風のポン酢に対して、バターでディープ感を出していますが、じゃばらの酸味のおかげで軽やかな仕上がりです。
このような鹿肉とじゃばらのコラボは、もしかして全国初ではないでしょうか。オークボくんえらいっ!こきおろしてすまんかった!

鹿ハンバーグ・じゃばらポン酢ソース・2種類の皮トッピング・大根おろし乗せ

炭火の上でじゃばらの皮をカリカリに乾燥中。

鹿ハンバーグ・赤ワインじゃばらソース

赤ワインソースのハンバーグを試食して喜ぶ常連客2人と半分。

じゃばら果汁を加えて作ったトーフ。果汁を加えすぎたらしく、やや酸味が強い。何も知らずに食べたら賞味期限切れですっぱくなったと思われる恐れあり。
(2008/1/28追記)

11月に書いた凍った大根で漬けたニシン漬け。どーなるコトかと思ったけれど、かなりウマくなりました。
♪るんた るんた るんたたた~
♪るんた るんたた るんたった~っと
てかてかに凍った路地をラテンのリズムで進むワシ。
目的地はオークボくんの居酒屋。
この日、12月の最終水曜日。翌日はコラナビの今年最終締切日。
爆裂に忙しい忘年会シーズンを乗り切ったオークボくんが、このコラムのためのオイシ~イ料理を作って待っているのです。足取りがラテンになるのもしかたがありません。
12月の素材は、私がこよなく愛する柑橘「じゃばら」であります。名前は「邪を払う」に由来しており、まことに縁起良し。
ユズやカボスに似た使い方をしますが、ゴツゴツとした皮に独特の強い香りがあり、ほかのどんな柑橘にも似ていないという不思議なものです。
産地は和歌山県の北山村。日本中、いえ、全世界中ここだけでしか栽培されていない幻の果実なのです。いったいどのような料理になるのか、も~ワクワクです。
「いらっしゃいませ~~!」
扉を開けたとたん、オークボママの明るい笑顔が出迎えてくれました。
が、次に目に入ったのは宴会の準備で追われているオークボくんの、津軽海峡冬景色のような暗いまなざしでした。イヤなムード・・・。
イヤなムードは明るい態度で撃破しなくてはなりません。
扉から♪るんた♪の足取りでカウンターに陣取り、料理の出来具合を聞こうとクチを開きました。そのとたん。
「ナガイひゃ~ん、ごみんなはい~!」とオークボくんが泣くのです。
うそ泣きです。しかも、ひゃ~んとかごみんって何語でしょうか。
料理はまったく出来ていませんでした。いまだ、オークボくんは忘年会シーズンを乗り切っていなかったのでした。
私の心に輝くラテンの太陽がさっと陰り、脳裏には果てしなく続くオホーツクの流氷に閉じ込められたガリンコ号が浮かんできました。
ま、しょうがねえよな。オークボくんだし。
というわけで、じゃばら料理は1月にご紹介いたします。合わせて先月漬けた、しばれ大根ニシン漬けの出来具合についてもリポートいたします。
本年のご愛読に感謝。良いお年を!

これが「じゃばら」。ポン酢に良し、ハチミツお湯割り良し、焼酎に良し、カクテルに良しの、まことに優れものであります。

じゃばらを手に微笑むオークボママ。後ろにいるのはじゃばらのパワーをもってしても邪悪が払えないメガネ魔人。
11月もまもなく終わり。札幌はビシビシ寒波が押し寄せておりますが、みなさま風邪などめされておりませんか?
なんてごあいさつしてる場合じゃねーんですわ。
干してあった大根が凍ってしまいました。
あわてて函館の巨匠、オガタさんに電話すると、「オレ、しばれさせたことねえからなあ・・・ま、だいじょぶでねえか」とのこと。「しばれる」とは北海道弁の「凍る」ということであります。
ま、だいじょぶでねえかと言われても、オガタさん凍らせたことないんでしょ。私はオガタさんの漬け物の常識世界から一歩も二歩も足を踏み外してしまったんでしょ。ねえ、そーなんでしょ~~!!
と、叫びたいキモチをグッとこらえ、平常心を唱えながら大根の件をオークボくんに連絡。
「ぎょえ~~~~っ! まじっスか!!」
電話の向こうで叫んでいます。数分前の私と同じ反応です。
ぱりぱりの食感が素晴らしい巨大キャベツ「大球」。函館直送の史上最強のみがきニシン。自家栽培の赤トウガラシ。毎朝神棚に供える霊験あらたかな塩。色鮮やかなニンジン。
超豪華キャスト勢ぞろいの中、主役ともいえる大根さまがしばれてしまったのであります。これは、パソコンがフリーズしてしまった時よりもオソロシイ現象といえるのではないでしょうか。
しかし、今から新たに大根を干しなおしている時間もカネもありません。私たちは、しばれ大根にいちるの望みを託し、ニシン漬けを続行することにしたのです。
■漬け込み当日。積雪6センチ。晴れ。ココロはうす曇。
一度凍った大根は切るとやや透明感があり、みずみずしい感じがします。シワシワに干さなきゃならない大根が、はたしてみずみずしくて良いものでしょうか。
凍った大根と、ニシン漬けの出来具合についてさまざまな人に意見を求めましたが、最多回答例は「凍ったニシン漬けはシャリシャリしておいしいが、凍った大根で漬けたニシン漬けは食べたことがない」でした。
いまや私とオークボくんは、北海道人未踏の漬け物を製作しようとしているのかもしれません。
約1時間半かけて材料をすべて樽に漬け込み、仕込みは完了しました。あとは12月30日の樽出しを待つのみです。
神よホトケよ死んだばあちゃんよ。こんなときだけすまんけど、おいしいニシン漬けになりますように!

巨大キャベツに入刀するオークボくん夫妻。

樽に入り、ニシン漬けを踏むオークボママ。左にいるのは凍った大根の呪いを受けた恐怖のネコ男。

樽に入り、ニシン漬けを踏むオークボくん。ちょっとしゃがんだところで写真を撮ったら、樽から生える人間盆栽に見える。ブキミ。
「オレの言うとおりに漬ければまつがいねえ。すっぱぐなんねえよ。絶対うまぐ漬かる!」
バリバリの函館弁で私を激励しているのは、函館は五稜郭の料理屋「おでん冨茂登」の店主オガタさんであります。
ここの「ニシン漬け」は最高にうまい。毎年11月の決まった日に漬け込み、12月の決まった日に樽をあけて客にふるまいます。
こずるい私はその漬け込みを手伝い、あわよくば報酬として出来あがったニシン漬けを札幌と大阪へ送ってもらおうと画策。函館までのこのことやってきたのです。
が、オガタさんの器は私が考えていたよりもずっと大きかった。
おばあちゃんの代から伝わる漬け方をすべて私に伝授し、君も自分で漬けてみなさいと激励してくれるのです。
ちょっと当初の計画とちゃうかも・・・と思いつつ、函館の魚屋で身欠きニシンを調達。札幌の自宅でニシン漬けを作ることになりました。
場所はかわってオークボくんの居酒屋。
「オレは漬けませんよ!」
オークボくんがほえています。
めんどくさいというのと、漬け物にはまるのがコワいという心理状況のようです。
「いーよ別に、私漬けるから。絶対うまく漬かるから安く卸してやるよ」
「あ、いっすネそれ。買いますよ」
良い考えです。オークボくんは安くて美味しいニシン漬けを手に入れ、私のふところには飲み代が転がり込む。とても良い考えです。
「オガタさんが言ってたんだよ。漬け物は手間がかかるけど、仕入れ値の4倍か5倍はきちんと儲かるってね」
「オレ、漬けます」
私の飲み代計画がだいなし・・・。(後編に続く)

大根を干し、ニシン漬けに使う巨大キャベツ「大球」を抱えるオークボくん。コレひとつで普通のキャベツ5玉分くらい。
という、まことに素敵なタイトルをつけましたが、まだ1本も釣れていないので今回は休載させていただきます。
「バコッ!!」
あ、なぐった。編集長のワタナベが私をなぐった~~~!!
チクショウめ!釣れないもんはしょうがねえだろっ、てやんでえ~!
・・・ヤサぐれるのはこのへんにしておいて、鮭です。
マジで1本も釣れてません。
9月末より私のココロはサーモンピンク一色。
脳内メーカーやったら、きっと
鮭鮭鮭
鮭鮭鮭鮭鮭
鮭鮭鮭鮭鮭鮭鮭
鮭鮭鮭酒鮭鮭鮭
鮭鮭鮭酒酒酒鮭鮭鮭
鮭鮭鮭酒鮭鮭鮭
鮭鮭鮭鮭鮭鮭鮭
鮭鮭鮭鮭鮭
と、なったことでありましょう。あ~鮭って打つの疲れた。
この1カ月、5回チャレンジして全敗。
オークボくんの店へ行くたびに「あれ、手ぶらですか?」
とイジメを受け、ミジメ気分もパワー全開です。
となりで釣れているおっさんに、何度「1本くれませんでしょうか」
と、卑屈に頼もうと思ったことか・・・あああ。
秋鮭は、シーズンが終盤に近づくほど身から脂が抜け、ぱさぱさしてきます。そこを何とかひとつ、美味しい料理に仕立てたいと、こういうねらいでタイトルをつけたわけです。
さらには、スーパーの店頭と違い、釣った鮭には当たり前ですが内臓がきっちり入っています。鮭の心臓や胃袋を食べたことがあるでしょうか。
美味しいんです!コリコリしてて、これはいったい何の素晴らしい肉であろうかというくらい美味しい。でも処理がとてもたいへんです。しかも1本の鮭にそれぞれひとつずつしかありません。
1本しか釣れなかったら、自分でこっそり食べてしまい、オークボくんには「心臓と胃袋のない鮭が釣れた!」と言おうと思っていましたが、まったく無駄な皮算用でありました。

鮭の仕掛けに食いついてきたヒラメ。外道ながらもヒラメはうれしい。これは幸先が良いワイと思っていたのだが・・・。

鮭のかわりに採ってきたラクヨウ。オークボくんにくれてやった。

鮭のかわりに採ってきたクリ。今回のテーマを鮭じゃなくてクリにしようとオークボくんに持ちかけたら「絶対にイヤっす」と大拒絶された。それほど剥くのがたいへん。拾うのは簡単なのに・・・。
大阪梅田の喫茶店でこの原稿を書いています。
向かいでメール打ってる女子のストラップにゆれるトラ。カウンターの向こうで冷コー作ってるマスターの後ろにはトラのサインボール。あっちのブルーの髪をした、ものすごく太ったおばちゃんのラメ入りTシャツはトラ柄。そしてすぐ隣りには阪神デパートが・・・。
タイガースファンのただ中で、ひとりファイターズを応援する原稿を書いていると、なんだかコソコソした気分になってまいります。
がしかし!パ・リーグ連覇を目前にして私もオークボ君も、ただ手をこまねいているわけにはまいりません。
「オークボ君!作ろうよ、ファイターズ応援料理!!」
「いっすネ!」
この連載開始後、初めてスムーズに意志疎通がなされた気がします。さほどにファイターズは道民の心をひとつにまとめてくれているということですネ。
「まず、アレだね。ファイターズのロゴをイメージしたハムエッグ作ろう。黄身をボールに見立てて、白身を星のように焼き上げる...」
「ちょっと待ってくださいよナガイさん。どやって星みたいにするんすか。まさか包丁で切れっていうんじゃないでしょうね」
<中略>
さてステンレスの星形の型ができあがってきました。複雑な形を板金屋さんが張りきって作ってくれたのです。この型にかかった費用は大枚1万7千円。が、結論から言うとタマゴはまったくうまく焼けませんでした。ガ~ン・・・。
星形の細い部分が先にすぐ焼け焦げ、黄身はプルプルの生のまま。しかも型にタマゴがくっついてはがれないという状況です。
型を冷凍庫で凍らせてから焼くとか、温泉タマゴ状態にしてから焼くとか、焼けたタマゴを上から押し切ったらどうかとか、常連客がいろいろなアイデアを出してくれましたがすべてダメ。
「もういいよ・・・。この型なんか・・・使わなくていいよっ!ウワ~~~ン(泣)」と、
ミジメに泣き崩れる私にオークボ君は、
「あ、そうすか。じゃ、なんか別の料理考えましょ!」と、簡単に・・・いとも簡単に・・・
バカ、オークボ君のバカ。バカバカバカバカバカ~~!
で、別の料理です。料理名が
●ソフトパン粉をこなごなにしたバジルソースサンドのミラノ風ハムカツ~トマトソースにて●
長いよオークボ君・・・。
ん? 手書きの解説書が付いています。どらどら。
解説・ソフトバンク(パン粉)を粉砕して、2度3度(サンド)日本一に、ばっちり(バッジル)と日本ハムファイターズが勝つ(カツ)と、的(ト、マト)を制する→せ~す(ソ~ス)る。
地球が吹っ飛ぶような駄洒落のオンパレードです。バッジルとト、マトはかなり苦しくないかオークボ君・・・。
しかし、ファイターズだって、苦しみを乗り越えてここまで戦って来たんだもんね。
許す。苦しい駄洒落、許す。
寛容な気分で酒を飲んでいたら、「もう1品」と皿が運ばれて来ました。
えっ?!こ、これ、これは、ロゴの形のハムエッグじゃん!!!
「どしたの?ねえ、これ、どしたの?あの型で、うまく行ったの??白身がこんなにキレイに焼けて・・・ん、白身じゃない・・・?」
はんぺんでした。
型ではんぺんを慎重に押し切りし、温泉タマゴの黄身だけを上にのっけたのです。素材こそ変わりましたが、イメージはぴったりです。
オークボ君がニコニコ笑っています。
私はウカツにも、ちょっと感激してしまいました。頑張ってくれたんだねオークボ君。
バカって言ってごめんネ。

長い名前のハムカツ。ソフトパン粉の上のサインボールは田中幸雄。

ソフトパン粉をこなごなにしているオークボ君。

これが痛恨の型。けっこう分厚いので、はんぺんを抜くのにも苦労した模様

型で焼いてみたタマゴ。無残。

はんぺんのハムエッグ。ふかん図。

横から見るとこんな分厚い。
「ナガイさん、今日キュウリの肉巻き、3本しか作らなかったから、注文しないでくださいよ!」
......居酒屋の店主が、これがはたして客にむかって言うセリフでしょうか。
テメエふざけんなっ!と、手にしたジョッキをカウンターにたたきつけ、るようなことはせず、冷静にオークボ君のセリフを検証したところ、2本セットで出される肉巻きを奇数で仕込んでいるアホさに感動を覚えました。
さておき、完成したキュウリメニューです。

●2品目・キュウリチャンプルー●
ゴーヤのかわりにキュウリという安直な発想に思えますが、サッパリとして意外なうまさ。思いつき大賞授与。

●3品目・冷や汁そーめん●
宮崎県の郷土料理をヒントに創作。ダシのきいた味噌仕立ての冷たい汁に、キュウリ、シソ、ミョウガなどの薬味をまぜてあります。猛暑にぴったりで賞授与。

●4品目・キュウリとウナギの煮こごり●
食べる前は「これウナギが主役じゃん」と、ばかにしていましたが口にすると...。
ふわふわのウナギ、とろける煮こごりの中から、ぱりぱりのキュウリが「間違いなくオレが主役」と主張を始め、驚かされました。アンタが大賞授与。

●5品目・キュウリの冷やし茶漬け●
細めのキュウリをタレで甘辛く煮付け、めしにのせ、ダシをかけて食します。奈良漬けのような味わいとパリッパリの食感が、めしダシともに良く合い、酒の締めに最高であります。定番メニュー化を強く希望。

●6品目・巨大キュウリの肉詰め揚げ●
採り忘れるとすぐ巨大化してしまうキュウリの救済料理です。輪切りにし、中をくりぬいて具を詰めててんぷらにします。ちなみに手前が普通サイズのキュウリ。ビッグで賞授与。
と、ここまで読んでいただいて「アレ?」と思われた方、記憶力抜群です。
前編でオークボ君にリクエストしたキュウリメニューは全5品でありましたが、完成したメニューは全6品。
前述の肉巻き3本、奇数で仕込んだことも合わせ考えると、本人数字に弱いのが如実に表れていると言えましょう。
でも、ここまでノリ良くキュウリに取り組んでくれたオークボ君、すばらしい!
この努力に応えるべく、来年はもっとたくさん種を植え、400本の収穫を目指すことにいたしましょう。
待っとれよ。むひひ。
ことの始まりは4月も終わりのわが畑にて。
20粒のキュウリの種を植えました。
むちゃくちゃな暑さも手伝って、キュウリたちはすくすくと育ち、ばさばさ葉を揺らしながら実を付けはじめました。
キュウリひと株から平均して10~12本のキュウリが採れるとして、この夏、わが畑のキュウリは最大240本が収穫される見込みとなります.........食いきれんわ。
「だからさオークボ君、採りたて新鮮のキュウリをタダで持ってくるからさ、キュウリが主役の料理を作ってよ」
「いいっスね! 採りたてのキュウリに味噌つけてかじるのサイコーっす」
......味噌かじり、却下します。
「えっ、ダメすか? 旨いのに......」と泣きまねするオークボ君。
確かに味噌かじり旨いス。サイコーっす。
でも、料理人としてのオークボ君に私が求めているのは、そんな安直な発想ではないのです。
自称ビンボー人のオークボ君にとって、仕入れ値タダで、たくさん手に入る新鮮キュウリは貴重な素材。ひとつのチャンスと言えましょう。
生でかじられたり、薄切りでサラダに添えられたり、漬け物盛り合わせに3~4切れ参加したりと、わき役的運命をしょって立つキュウリ。
彼らを主役としてひのき舞台に上げ、ドカンと真夏の太陽を浴びせかけるような、そんな独創性のある料理を生み出してこそ、真の料理人と言えるのではないでしょうか。
全国の料理人とキュウリ諸君! 団結ガンバロー!!
「今回もよくワケわかんないっスね。でも、ナガイさんが演説している間に1品作ってみました。どうすかコレ?」
●1品目・キュウリの黒豚肉巻き●
見た目はアスパラベーコン串です。生キュウリを梅とシソと黒豚バラ肉で巻き、塩をふって炭火で焼く。
加熱しても思いのほかポリッとした歯触りが残り、ジューシーであります。キュウリのみずみずしさが黒豚の脂とまざり合い、さっぱりとした味わいになっています。
「旨いよ!」
「でしょ? こーいうのは成り行きでパッと作った方がうまく行くんですよ」
「よ~し、この調子で全5品作ろう。似たような料理はダメだからね」
「えっ、5品も?!」
オークボ君が絶句してます。まさか240本のキュウリをすべて肉で巻くつもりだったのでしょうか。甘いとしか言いようがありません。
この最初の1品目の試作が行われたのが、1か月半ほど前のこと。
現在オークボ君の居酒屋の壁には「キュウリが主役メニュー」が堂々と張り出されていますが、それには1か月半に渡るオークボ君の汗と涙の、キュウリとの格闘があったのでした。
(後編に続く)

巨大キュウリを振りかざし、闘志を見せるオークボ君

1品目の肉巻き。お客さんにもなかなか好評

収穫を待つキュウリたち
「いや~!いいっすネ!面白いっすネ!」
1枚目の大成功に気を良くしたオークボ君が喜んでいます。
ここはすすきの。オークボ君の居酒屋で、お好み焼き賞味会の真っ最中であります。
何故こんなことをしているかは前回の記述を読んでいただくとして、問題はオークボ君がのんきに喜んでいることでありましょう。
当賞味会は夕刻5時半に始まり、1枚目のカニたっぷりお好み焼きを焼き上げ、賞味し、そろそろ6時半にさしかかります。居酒屋としてはかき入れ時。焼き鳥を焼いたり、刺し身を引いたり、焼酎をつぎまくったりする時間です。ところが客はお好み焼きのホットプレートを囲んでいる男女4人のみ。
「いや~!ヒマで良かったっす!」
板場から出てきて、にこにこカニお好み焼きをパクつくオークボ君。
お店…だいじょぶでしょうか。
さておき、2枚目です。
2枚目の具は、ホッキ、ホタテ、イカ、甘エビ、グリーンアスパラ。
これを、まずバターでジャジャと炒めキャベツたっぷりのタネをかぶせます。表面がカリッと焼けたところで、しょう油投入。潮の香り漂うバターしょう油味です。
ホッキのバターしょう油炒め。
ホタテのバターしょう油炒め。
このようにピンでも立派にイケる具材が、タネを仲人にスクラムを組み、お好み焼きの中で押し合いへし合いしているというワケです。タッチダウンされそうな味わいです。
さて、本日のトリの3枚目。
具材は生ラム、もやし、ギョウジャニンニク。
そうです。ブタ玉ならぬ、ラム玉。もろジンギスカンであります。
ソースはすすきのの老舗料理屋さんが経営する、ジンギスカン店のタレを提供していただきました。
ジワジワ香ばしく焼けるジンタレが、生ラム、粉、キャベツなど全ての具をまとめ上げ、ここに来て初めて、粉モン文化と北海道が互角にわたり合い、真の友情を結んだような気がしました。
涙来る旨さです。フュージョンです。

ぷりぷりのホタテ他、イカエビアスパラたちをバターで炒める

キャベツ、もやし、ギョウジャニンニクがまぜられたタネに生ラムをかぶせる。
なまらムードい~んでないかい
大阪といえば、日本が誇る「粉もん文化」のマチ。そして北海道は新鮮な魚介にはじまる「食材天国」であります。
これらの土地をひんぱんに行き来する私は、常日頃からこのふたつの良さを融合、いわゆるフュージョンさせた味を考えてきましたが、やはりここは「お好み焼き」。これしかないであろうとの結論に達し、大阪からすすきののオークボ君に電話をかけました。
「モシモシ。ってことで粉は大阪で買っていくからさ、北海道のスバラシイ食材を使ったお好み焼き作ってよ」
「ナガイさん…また、わけわかんないタイトル付けましたね~。簡単にいえば海鮮お好み焼きでしょ!」
「違うよ!!…」
ヒトがせっかく何日もかけて練り上げた企画を「海鮮」のひとことで片付けるオークボ君が憎い。が、大きな声で「否」と返事はしたものの、実は頭の中ではホタテ、イカ、エビ、ホッキなどの海鮮しか考えていなかったのであります。
でもここで負けるわけにはいきません。「違うよ!!…」の「…」の間に私は懸命に考え、言葉をしぼり出しました。
「アスパラ…とか……ラム肉…とかさ~、あるっしょ、北海道らしい食材がっ!」
「ふ~ん、なるほど。それなら面白いかも」
ということで6月の某日、オークボ君の店でお好み焼きの賞味会を催しました。素材に吟味を重ね、制作したお好み焼きは3種類。
1枚目は「毛ガニ」。毛ガニ丸ごと1杯の身をほじり、キャベツとタネにまぜ合わせ、焼き込む。むちゃくちゃゴージャスであります。
「ジュワ~~~~~」
「おお、旨そう旨そう!」
声を上げ、ホットプレートの上を見つめてよだれをたらしているのは、当サイトの編集長にしてノーギャラ大魔王のワタナベであります。カニをほじっている間は、いっさいつまみ食い禁止の掟であったため、ビールだけガブガブ飲んで、おあずけ興奮状態になっているのです。
さて、待つこと15分。両面こんがりジュワ~状態になり、表面にソースを塗る場面になりました。毛ガニの味を引き立たせるため、ソースのかわりに「ポン酢」登場であります。ポン酢かける。
「ジュワ~~~~~」
「おおお、旨そう旨そう!」
マヨネーズ係突入、青のり投入、カツオブシ投入。素早く切り分ける。
最後に、ここがミソ。カニ味噌をトッピングします。
「おおおお~、旨い旨い」
焼けたカニの香ばしさに加え、丸ごと1杯の高級感。キャベツの甘味、ポン酢のさわやかさ。
1枚目、パーフェクトです。
(2枚目は次回に続きます)


「ちょっとオークボ君、イカ持ってきたから料理してよ」
「ナニ言ってんですかナガイさん。イカなんか毎日料理してますよ。そこのネタケースにいつも入ってるでしょ!」
「むふふ。ただのイカじゃないよ。見よ。和歌山沖で釣ったアオリイカじゃ」
大阪の釣り友だちの新築祝いに道産子のカニを送ったら、お返しに和歌山っ子のイカがはるばる北海道まで送られてきました。アオリイカといえば、肉厚で食感良く、濃厚美味なことで知られ、キング・オブ・イカと呼ぶ人もいるほどです。
「うわ、デカイ! これどうやって食べるんだ?」と、食材辞典を取り出すオークボ君。
ツツイカ目、ヤリイカ科、アオリイカ属。本州各地で釣れ、大きいものは3キロ以上にも成長します。
ヤリイカ科というからには、いつもと同じようにさばけば良いはず。オークボ君、まず巨大イカの足をはずした。胴体に手を入れて内蔵を取り除く。そして、手を入れたまま真っ正面に構えて、
「バチコ~イ!」
「アホかっ! 野球のミットじゃないわい!」
「だってナガイさん、手がすっぽり入るイカなんて初めてなんだも~ん」と、泣きまねするオークボ君。正真正銘のアホ目アホ科アホ属。
耳をはずし、サクにおろしたら、これひとつでヤリイカ10杯分ほどの量になりました。イカようにでもしてくださいと横たわるアオリイカを、オークボ君はイカにしてお料理したのかは、イカをごらんください。
●アオリイカづくしお献立●
「やるじゃん!オークボ君!」
「まあ、ざっとこんなもんスよ。ぐびぐび」
まだ開店して間もない時刻だというのに、オークボ君は調子にのってビールを飲んでいます。
「あ~あ、またママに怒られたって知らないよ」
「景気付けっすよ。だいじょぶだいじょぶ。ま、イッカ~なんちて~」
イカげんにしなさい!(つづく)


「聞いてよオークボ君。久々に原稿頼まれたんだけどサ、ノーギャラなんだよ~」
「ふ~ん。ところでナガイさん、今年はいつ山菜採りに行くンすか?」
「ワタナベっていうクサレ縁の男から頼まれたから、断れなくてさ~」
「ギョウジャニンニク、そろそろでしょ! わくわくっすネ」
さきほどから全然ハナシがかみ合っていません。
居酒屋のカウンターをはさんで、オークボ君は店主。私は飲みにきているお客さまであります。普通、店主は刺身など引きながら、酔客のグチをフンフンと聞いてくれるもんではないでしょうか。
でもオークボ君は聞くどころじゃありません。頭の中には春の山菜が咲き乱れているようなのです。
「だってナガイさん、もう引き受けたんでしょ。そんなのブツクサ言ったってしょうがないじゃないですか」
フン…、そんなもん自分でもわかってますよだ。 でもね、ものごとが成り立つまでの過程についてのハナシをね、そーゆーハナシを私は今ここでオークボ君に語りたいんです!
「ほらほら、コレ、新メニューっす。春ガツオのギョウジャニンニクそ~す」
●作り方●
ギョウジャニンニク茹でる刻む。
マヨネーズ、しょうゆ、ポン酢(少々)、刻みギョウジャまぜる。
春ガツオ厚めにスライスし、まぜたソースかける。
「んっ?イケるわ!でもコレ栽培もんでしょ。匂いが弱いよネ」
「だからさっきから言ってるでしょ。あとはナガイさんが山行って採ってきてくれればパーフェクトなんです」
「あ、そなの?よっしゃまかしとけ~!!」
さきほどまでのブツクサはどこへやら、私は上機嫌で酒を飲みながら、自分のギョウジャニンニクポイントへと想いをめぐらすのでありました。でもなんかオークボ君にウマくあやつられている気がするけど。
しかし、この前向きでほがらかなパワー、おもろい料理のアイデアは、いつかどこかで誰かの役に立つかもしれない…。決めた。このコラムはオークボ君をネタに、四季折々のオヤジ好きするメニューをご紹介する~そんな場所に育てて行きたいと思います。
ノーギャラだけど楽しくなってきました。(6月へつづく)

