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居酒屋オヤジとワガママ客の弥次喜多的うまいもん日記

ナガイチエ プロフィール

フリーライター。釣り、酒、旨いものとカラス好き。
1年の半分くらいずつ札幌と小樽に在住。

8月<オークボくん商品開発する>

8月のワタクシはそわそわマン。
頭の中で、ピチピチちゃぷちゃぷと鮭がはねるのです。
そう、2年間1本も釣れず、オークボくんとその仲間たちに、

「え、また手ぶらですか」
「今年も釣れなかったんだ」
「おいしいイクラが食べたかったナ~」

などと迫害を受け、じっと耐え忍んできたこの2年間・・・うう。
今年こそ3年目の正直です。爆釣の予感がします。

「というわけだからさ、私は明日っから道東方面に鮭釣りに行くから。オークボくんはこれでなんか作っておいてよ!じゃね。バイバ~イ」

畑で採れた「青ナンバン」と「ニンニク」。収穫したのは良かったのですが、翌日から鮭釣りに出かけることにしたので、自分で料理できません。なのでオークボくんに押し付けることにしたのです。

「バイバイって・・・え~っ!? ナガイさんコレどーすんですか!」

「そーね。なんかビン詰めにして売れるもん作ってよ。ラベルは私が作ってやるからさ」

「・・・・」

ハニワのような表情のオークボくんを残し、いそいそと旅立つワタクシ。
しばしグッバイすすきの。グッバイオークボくん。あとは夜露死苦~。


んで、帰ってきたらこんなもんができていました。

青ナン大量

「食べる青ナンバン」大型タッパーにごっそり。

これが、食べてみるとばかウマで、オークボくんもハニワ顔から自信満々の顔に変わっています。

「すごい旨いじゃん! 売れるよコレ。なに入っているの?」

「え~と、もらった青ナンバンでしょ。もらったニンニクでしょ。もらった山椒の実でしょ・・・」

そう、メインの具はすべてもらいもの。原価率めちゃ低っ。でもさらに、

「フライドオニオンに、ゴマにタバスコにオイスターソースに・・・」

合わせると10数種類の材料が混ざり合って、みごとに調和されていたのです。やるもんじゃないかオークボくん。

で、さっそくビン詰めしてみました。

青ナン大ビン詰め

オークボ印の「食べる青ナンバン」。辛そうなオークボくんの顔がキュート。そのまま食べても旨いが、めしのっけでも冷奴のっけでも抜群。試作段階で非売品。

「これなら、どんな食材にも合いそうだね。麺類にもぴったりかも」

「バッチリですよ。そんなこと言うかと思ってコレ作ってみました」

青ナンチーノ

ペペロンチーノならぬ、オークボスペシャル「青ナンチーノ」。青ナンバンのピリ辛と、山椒、ニンニクの香りがパスタにからみつく。オイルたっぷりだが、生トマトのさわやかさでさっぱりと食することができる。

「ホントだ。おいしいね~!」

と、ヒトがすなおに喜んでいる横でオークボくんがボソッと、

「コレね~、鮭にも合うと思うんスよね・・・。あれ、ナガイさん、そういえば~、今回どうだったんでスか?手ぶらスか~~?」

「手ぶらスよ~~(怒)」

7月<酒飲みたちの修学旅行>

♪は~るばる~来たぜ 函館へ~~
 んさ~かまく波を乗り越えて~~

道南の知内は、演歌の巨匠サブちゃんのふるさとであり、道の駅「しりうち」の豪華トイレには、当然サブちゃんのど演歌が流れています。

いつも心配になるのですが、「小」は良いとして、問題は「大」ですね。
トイレにかけ込んで、いざ「大」となった場合、その瞬間に

「親ッの~血を引くぅ 兄弟よりっいぃむぉ~~~!」

と、こぶしききまくりのど演歌が耳に入ってきたらどうなのでしょう。
思わずおケツにもこぶしがききまくって、想像を絶する力が入り、流血、失神。・・・なんてことになった人はいないのでしょうか。心配です。

それはさておき、函館です。

この日、函館にはオークボ夫妻とオークボくんの店に集う酒飲みたちが続々と集結しており、あるものは鉄道の写真を撮りまくり、あるものは五稜郭タワーへ登り、坂本竜馬記念館へ入場し、ベイアリアを散策し、港で釣りをし、手をつないでラブラブし、函館競馬場で馬券を買ったりしていたのです。

てんでばらばらに見えますが、夜は一致団結して「車寿し」へ行くことが決まっていました。

車寿しは、私がこよなく愛する函館のお寿司屋さんで、ここの大将はまことに気風が良くて男気があり、オリックス贔屓で、おまけにイチローの親戚です。
この大将が日ハム~オリックス戦で札幌ドームに来た夜、オークボくんの店に立ち寄ったのがきっかけでご縁ができたのです。

大将の口から、
「食べなさい」
「飲みなさい」
「乱れなさ~い」
などと言われると、ついつい食べすぎて飲みすぎて乱れすぎてしまう、そんなカリスマ的魅力の持ち主であります。

狂ったオークボくん

乱れすぎているオークボくん

さて、すすきののオークボ一家が大挙して押し寄せるという情報をつかんだ車寿しの大将は、そっこーシャッターを下ろし、店を閉めることにしました。

というのはウソで、素晴らしいお造りを盛って待っていてくれたのです。

お造り

背筋をピンと伸ばした大きなボタンエビにみんなうっとり。ほかにもウニどどん。アワビどどん。赤貝どどん。クジラベーコン最高。アブラボウズの肝も絶品。

大将いえい

感謝を込めて「大将いえ~い!」

刺し身、寿司をたらふく食べ、酒もがっつり飲み上げ、私はひとつ気になっていたシツモンをオークボくんにしました。

「ちょっと、オークボくん。アンタ今日、馬券買ったんだよね?」

「ええ、まあ・・・」

「勝ったらここ全部ごちそうするって言ってたよね?」

「イヤ、それはナガイさんが勝手に・・・」

「私が預けた軍資金はどうしたの?」

「ぐ、軍資金ったって、たったの1000円じゃないすか・・」

「その1000円のゆくえはどうなったの?」

「あの・・・ハイこれ」

馬券














←ハズレ馬券(((怒)))

あ~あ、やっぱオークボくんだよな。
料理の才能はばっちりだけど、博打の才能ゼロパーセント。
酒飲みの修学旅行は割り勘で幕を下ろしたのでありました。

オークボくん後姿

その後、少しでも博打の才能が上がるようにと日高で「百万馬券」のTシャツを購入、オークボくんにプレゼントした。すると、馬券2000円買って2000円勝ったそうである。Tシャツ効果ゼロ・・・。

6月<タケノコに汗する>

誰もいない草原の上で荒い息を吐きながら、男はしとどに濡れた薄布に手をかけた。
ためらいもなく薄布を体から引き剥がすと、照りつける陽光の中に白い柔肌があられもない姿で浮き上がる。

「もうこんなにびしょびしょに濡れちゃって・・・」


ハイ、びしょびしょに濡れてんのは、タケノコ採りから帰ってきたオークボくんです。

びしょびしょ男

どこまでも続く緑の草原と青い空。吹き渡る風。そんな中に立つ、青いパンツのぬらりひょん。したたりおちる汗が暑苦しい。

がばっと脱いだシャツをぎゅっと絞ったら、オークボくんの汗がボタボタボタボタ~ッと落ちて、地面に吸い込まれて行きました。この汗は、すべて昨夜がぶ飲みしたビールです。吸い込んだ地面、大迷惑。

山菜の師匠について、タケノコジャングルの深部まで行ったオークボくんですが、欲深くびっしりとタケノコが詰められた袋をぶら下げながら帰ってきたその姿は、まるでだらけたオランウータン。
袋の中を見ると、太いものも細いものも玉石混合といった感じで、手当たり次第にワシづかみした様子がありありとうかがえます。

タケノコ採りは昨年に続いて2年目ですが、「仕入れ」と称するオークボくんの採取根性には頭が下がる重いです。いや、思いです。

翌日お店では、さっそく焼きタケノコなどがメニューに上りましたが、やっぱアホの料理人らしく、こんなのも・・・↓。

ラーメン屋のつまみ

「ラーメン屋のつまみ」と名づけられたおつまみセット。煮豚に煮卵に煮タケノコ。タケノコはきっとシナチクのイメージ。お客さんから「肝心のラーメンはないの?」と聞かれ「そういえばできますね」などと本末転倒な会話がもれ聞こえていた。

ちょうちょのパスタ

このかわいらしいのは、東京の食材屋で見つけたちょうちょのパスタ。「これでなんか作ってよ!」と脅しておいたら・・・

タケノコと蝶々のパスタ

こんなかわいい1品もできました。しっかりタケノコも入ってるし。


5月<ホッケ釣り>

「内臓~、内臓ちょうだ~~い!!」

大量に釣れたホッケを岩場でさばいていると、オークボ家の次男であるコーキが、ホッケの内臓を求めて近寄ってきました。まわりに群がるカモメやカラスに与えて楽しむためです。

転がっていた板切れをまな板代わりに、まだピチピチあばれているホッケをむんずとつかんで頭を落とすと、スルッと内臓が出てきます。生きが良いから内臓もピチピチ。

最初は「なんか残酷~」とかつぶやいていたコーキですが、ものの数分でホッケの解体に慣れ、内臓を求めてさまようゾンビのようなたくましいコドモへと変身をとげました。恐るべしオークボキッズ。

「ねえ~、内臓ちょうだ~い」

しつこく内臓を要求するコーキにオークボくんのDNAを感じながら、切り込みを入れたホッケを渡したところ、まるで雑巾を絞るかのごとく両手で首をねじ切り、内臓を取り出して大喜びしています。ああ、ホッケ・・哀れなり。

オークボキッズ

デブなホッケを釣り上げて誇らしげなオークボキッズ。内臓を求めるコドモに変身する前。

オークボママ

オークボママも次々とホッケをゲット。竿の扱いに不慣れなため、釣り上げたホッケをつかみそこね、ぶらさがった魚が人工衛星のごとく体のまわりをくるくる回っていた。超キュート。

オークボくん

大きなホッケの口に、小さなホッケを突っ込んで喜ぶオークボくん。ホッケのあきらめたような目つきが哀れなり。

この日は天気良く、風もなく、驚くほどホッケが釣れ釣れで、オークボ一家合わせて、1~2時間で100尾くらい釣れたと思われます。海の中はきっとホッケだらけ。オークボくんのクーラーボックスの中もホッケだらけ・・・。

「ちょっとオークボくん。こんなに釣ってど~すんのよ」

「そっスよね~。実はボクね、今日ホッケ釣るのすっかり忘れててね」

「それがどしたの?」

「昨日、ホッケ買っちゃったのです」

うわーんと岸壁に泣き伏すオークボくん。いいぞっ!ナイスだオークボくん!

翌日、店では春のホッケ祭りが開催されたもようです。

炭台の上に開いて干されたホッケ。

フライ

大量にできたホッケフライ。小ぶりながら鮮度良く旨い。

煮物

ホッケ大漁の前日に買ったホッケ。で作ったお通し。

4月<鱒フェスティバル>

「あ~釣りしてぇ。山菜採りてぇ!」とオークボくんがぼやいています。

4月は私にとって、マスやホッケ釣り、そして山菜採りのはじまりの季節です。でもオークボくんは自分の店の6周年記念フェアで、と~っても忙しい季節だったのです。
んな時に遊びに行けるわけないでしょ。あんたは働きなさいよ!

と、オークボくんを温かくはげましておいて、私と革マルギャルのミキティは釣りにでかけたのです。
ホッケをたくさん釣り上げたら、さばくのは面倒だから、6周年フェアで忙しいオークボくんとこに持ってって、ぜ~んぶやらせようという鬼畜な心意気であります。

ちなみにミキティは釣りほぼ初心者です。それでもホッケくらいは釣れるでしょう、などと先輩気分でいましたら、いきなりコレ↓。

写真マス

ビギナーズ超ラック?! ミキティが釣り上げた70センチの巨大アメマス。こんなんオレだって釣ったことねえよ。すごい引きでなかなか水面にあがってこない。格闘10分ほどでようやくタモに収まる。このサイズはなかなか釣れない。私の最高記録で50センチ足らず・・・。

さてこのアメマスですが、食べて美味しいとはなかなか言われない、ひじょうに淡白な白身の魚です。こいつを釣り上げたオヤジたちは、わーわー喜んで、メジャーで大きさを測って、やったネと満足したらドボンと海へ返すのが一般的です。だから増える。

このような、価値低めに見られている魚を美味しく調理することこそ、アホ科の天才料理人オークボくんに課せられた使命ではないでしょうか。

さっそく釣り場から持ち込むむねをオークボママにメール。

返信→「今日はちょっとバタバタしてますが・・・」

やっぱ忙しいか。あたり前だよな~。6周年フェアだもんな~。
でも持って行きました。

写真料理

手前がアメマスのハーブ焼き。香草で香り高く焼き上げられているため、身が淡白なのがかえってプラスに感じられる。鮮度が良いのと、塩と香草でほどよく身が締められているため、歯ざわりも良い。
奥はアメマスの西京焼き。ハーブと同様、身の淡白さを濃厚な味噌に漬け込むことで補っている。こんがりと焼き色がついているあたりがいちばんうまい。

実はミキティが持ち込む1週間ほど前にも、40センチほどのアメマスをもって行ったのですが、オークボくんその時は昆布締めなどを作ったのです。が、これはやはりちょいと淡白さに負けた感あり。
今回はその経験を生かし、なおかつアメマスの良さを生かした料理となりました。おさすが。

ワシが作った皿プレゼント当選発表

先日、オークボくんの「居酒屋ほがら家」にて、オークボくんの手製の皿披露&皿プレゼント抽選会をしました。
厳正なるあみだクジと書き取りテストの結果、ミスターイトウ、ドクタームトー、そしてず~ず~しくもオークボくんの3名にわたくし手製の皿が当たりました。みなさまご応募ありがとうございました。

オークボくんの皿・刺し身盛り

これがオークボくん手製の「波」をイメージした皿。波の上に刺し身盛り。けっこうさまになってるじゃん!

3月<オークボくんコラボする>

「え、オークボくん紋別行くの? おみやげ買ってきてよ! お・み・や・げ!!」

「ナニ言ってんスかナガイさん。遊びで行くんじゃないんですよ。ほーじなんですから。急がしいんですよ!」

「なにさ、ケチ。おみやげなんて5秒で買えるじゃんよ! オークボ(敬称略)のけち。ケチケチケチ~!!」

と、カウンターでクダを巻いたら、本当におみやげを買ってきてくれました。紋別のかまぼこ。

紋別といえば「カニ」かと思っていましたが、出塚水産というところのかまぼこは、地元でもネット販売でも有名で評判が良いそう。
出された板カマを食しますと、よくある「プリプリ」タイプではなく、どちらかといえば「シコシコ」としたかみ心地。魚の良さを生かした私好みのものでした。

ちょうど同じ時期、私は函館方面へ遠征しており、私好みの道の駅「とようら」で、採りたての新鮮な葉ワサビを購入。オークボくんへのおみやげにしたのです。

そして紋別のかまぼこと、とようらの葉ワサビが、オークボくんによってコラボされたのがコレ↓

陶芸コラボ

下のハンバーグのような物体が紋別ととようらのコラボ「葉ワサビの揚げかまぼこ」。出塚水産のかまぼこになる前の「すり身」に、葉ワサビのしょう油漬けをまぜて揚げたもの。シコシコの中に葉ワサビのシャリシャリ感があり、ツンとくる辛さとしょっぱさがすり身の味も引き立てている。肴にぴったりで酒すすむ。

おりしも、先月の陶芸品が焼きあがってきたところで、この黒い皿はわたくし、ナガイの手作りであります。

陶芸イカ刺し

ちなみに同じ皿にイカ刺しを盛ったのがコレ。

陶芸タコ刺し

小鉢と小皿も製作。小鉢が葉ワサビのしょうゆ漬け。小皿はタコ刺し。

皿

タコ刺しなどをたいらげると、底からこのような絵柄が現れる。

自作の皿で食べると、ひと味もふた味も違う気がするのはナゼなのでしょう。ただのイカ刺しが、ただのタコ刺しがとても旨かったのであります。

そこでプレゼント この皿、読者1名にさしあげたいと思います。え、いらねえって? そんな冷たいこといわずにさ。応募は「ほしい」とコメント欄へ。当選とお渡し方法は、来月掲載のこのコーナーでお知らせいたします。

来月はオークボくん自作の皿をお披露目の予定です。

2月<オークボくん器を作る>

食べ物は、適切な器があってこそうまいし嬉しい。そう思う。

とあるタクシーの運ちゃんが、「孫のところへ行く」というばあちゃんを乗せ、うろ覚えの住所に迷ったあげく、めでたく送り届けたという。
降りるときにばあちゃんが、「手を出せ」というからチップでもくれるのかと思ったら、持っていた重箱から手作りのおはぎを1個、ぺたりとのせてくれたそう。

この場合「おはぎ」が食べ物で、器が「手」ということになるのだが、仕事中の運ちゃんの「手」は、主にハンドルを握る比率が高く、たっぷりとあんこがついちゃった左手の平は、運ちゃんのテンションを思い切り下げてしまったという。

これがオークボくんの店であったらどーゆうことになるか。

左手の平にイカ刺し。右手にはし。

これだとしょう油が付けられないから、となりのお客さんの左手の平を借りてしょう油を入れ、皆で協力しながら刺し身と手の平をつつきあう。
・・・意外と和気あいあいとするかもしれないな。

しかし、イカ刺しならまだいいけど、熱々の天ぷらはどうするのか。天つゆなどはどうするのか。

「・・・ナガイさん。なんかまた意味わかんないこと考えてませんか」

ふと気づくとオークボくんが、注文したヤリイカの刺し身を差し出している。ちゃんと皿にのっている。やはりイカ刺しは手よりも皿盛りが似合っている。

さらに言えば、オークボくんが切った刺し身なら、オークボくんが自分で作った皿にのっているほうがさらにしっくりくるのではないか。

「決めた。オークボくん、皿作りに行くよ!」

「ええ?!」

オークボくん下向き

札幌山の手にある陶芸教室「倫土(ろんど)」へ押しかけたオークボくん。キクチ先生(手前の手)の指導の下、真剣に土をいじくる。「皿にこう波が押し寄せる感じで・・・」などワケのわかんないことを口走りつつも、なんだか形になってくる。

オークボくんばってん

「波が~、波が~・・・」。ヘンなポーズで波間に迷走するオークボくん。だいじょぶか。これに刺し身を盛ったら、具が全部おぼれてしまうんじゃないのか?

写真オークボママ

ヘンなオークボくんとは対照的に、マイペースでおちょこを製作するアジアンビューティー。



うまく行けば、来月は焼きあがった皿に合わせて刺し身を盛ってもらいましょう。うまく行けばね。

1月<自然薯>

その日、私は某体育館の卓球場にいたのであります。

「ナガイさ~ん! もっと前傾姿勢でかまえて~!」

ほかにもたくさん人がいるのに、先生は私の固まったようなポーズが気になるらしく、先ほどから卓球の基本である前傾姿勢を求めてくるのです。

わかってんだよ。やればできるんだよ。でもさっきから屁が出そうなの。

まだタマを打ち合っていないため、卓球場はとても静かなのであります。ここで私の屁が飛び出してしまったならば、大晦日の除夜の鐘よりもスルドク響き渡るに違いありません。

「ス~~」くらいのすかし屁ができればベストですが、抑圧された私の中のガス生命体は爆発寸前なのです。前傾姿勢むり。

「それじゃ皆さん、台に着いて~、フォア打ち始めてくださ~い!」

先生あきらめてくれました。やっと打ち合いです。屁をしても音にまぎれるでしょう。あ~良かった~・・・って安心したその瞬間、

「ぷぷぅ~~~~~っ」

ハイ。出てしまいました。まわりの笑顔がココロに痛いです。

さて、なぜに屁が制御不可能にまでなってしまったのか。それは前夜オークボくんちで食べたものが原因なのであります。

自然薯(じねんじょ)というイモであります。このイモは強力な屁の素です。

オークボくんがイモを持っている写真

これが自然薯。写真は栽培ものでまっすぐだが、天然ものは土中の石などをよけて伸びるため、すごくクネクネしている。掘り出すのが非常に困難なため高値。1本へーきで4~5000円する。

この自然薯は私の友人ナカタさんからもらったもので、とろろめしにするとうまいということで作り方を教わり、オークボくんに料理してもらうことにしました。

作り方をとっても簡単に言うと、

自然薯すりおろす → サバのだし汁とまぜ合わせる → 麦めしにかけて小ネギを散らす。以上おわり。

と、5秒くらいで説明できるのですが、2項目目の「まぜ合わせる」がクセモノであって、全力で30分以上すりまぜなければならない上に、失敗すると分離してどーにもならなくなってしまうという労力と緊張感をともなう料理なのでありました。

すり鉢+おろし金写真

自然薯は包丁で毛をこそげ、皮をむかずにすりおろす。長イモよりはるかに強いねばりがあり、すりばちの底で「ボヨヨ~ン」としている。

すり鉢+すりこぎだけ写真

すりおろしたボヨヨンを、なめらかになるまでスリコギでひたすらする。ボヨヨンがスリコギにまつわりついてなかなかすれてくれない。ボヨヨンが憎い。

すり鉢+お玉

ボヨヨンに新鮮な生サバから取っただし汁を合わせていく。いっぺんに合わせると分離するので、はしからちょろちょろ流し入れながら全力でスリコギをまわす。ボヨヨンはだんだんフワフワになってくる。

すり鉢+割り箸

だしを取ったあとのサバの切り身を1~2切れ入れ、すりつぶしてまぜ入れる。

とろろめし

めしにかけて完成。今まで必死にすりまぜていたのがウソのような、美しく輝く自然薯の水面。サバだしの良い香りがココロと胃袋をわしづかみ。

食べるオークボくん

「これ、なんぼでもイケるわ!」と、とろろめしをすすり込むオークボくん。ふふふ。明日、屁たれ大魔王になることも知らずに。



必死ですりまぜること約40分。でも、食べ終わるのに10分もかかりませんでした。めしが入っているとはいえ、ほとんどかまずにつるつるとノドに入っていくのです。あっという間にすり鉢は空っぽであります。
いやいやたいへんだったけど旨かったね~などと皆で言いあっている時、茶碗の底を見つめていたオークボくんが言いました。

「そ~か、自然薯は食べるものじゃなくて、飲み物だったんだ!」

・・・いや、飲み物じゃないと思いますけど。

12月<オークボママの絶品デザート>

店が忙しくなると、オークボくんは横走りに走ります。

これはカウンターと厨房が横に細長いために起こる現象で、敵に襲われたカニが慌ててザカザカッと横走っている感じに似ています。
カウンターの中で刺し身をひく、続けて他の人にぶつからないように厨房に走りこみ、焼きそばペペロンチーノを炒める。
こんな時のオークボくんによく観測される行動です。

中途半端に忙しい時は、横走る途中でくるっと背中を向け、ビールサーバーから生ビールを(自分のために)くんだりすることもあります。

そんなオークボくんが、なかなかビールにありつけない、半端じゃない季節がやってきました。毎年の忘年会シーズンであります。

2年前の12月は忘年会に追われて、コラナビ料理をすっぽかし、昨年は某有名バーのバーテンダーさんたちにピンチヒッターに出てもらい。
さて、今年の12月はどーすんじゃい? とたずねたところ、

「また有名バーにやってもらいましょ~よ!」と、ニコニコしています。

ああ・・・やすきに流れるこの姿勢。
でも、しょ~がないよね。オークボくんだし。

と、そんなあきらめムードを浄化するがごとく、熱帯夜にひとすじの涼風が吹き渡るがごとく、天女が降臨するがごとく! オークボママが、

「私がやりましょう」と、申し出てくれたのです。

オークボくんの店には「ママの気まぐれデザート」というメニューがあり、季節のフルーツなどを使ったデザートは、下は1歳9ヶ月、上は88歳のご常連までと幅広い人気なのです。

も、決定。12月はママのデザートに決定。
で、素材は「じゃばら」に決定。

じゃばらを漢字で書くと「邪払」。和歌山県の北山村でしか採れない不思議な柑橘で、皮に独特の香りがあります。

これがじゃばら。昔からじゃばらを食べると風邪をひかないと言われていたそうで、最近では花粉症や便秘、美容にも効果があると注目されている。文字通り、邪を払ってくれる優れもの。



さて、オークボママのじゃばらデザートは店で不定期に開催される「女子会」でお披露目することになりました。ママの力作をごらんあれ!

あそうそう。女子会は年齢は不問ですが、名の通り女子しか参加できません。とーぜんオークボくんは部外者です。のけもんです。や~いざまみろ。

カクテル

女子会の最初の一杯に登場。オークボママ特製じゃばらカクテル。じゃばら果汁に砂糖を加えたウオツカベース。甘酸っぱい優しい口当たり。バックに見えるのは函館名物「イカール星人のさきイカ」。

乾杯

じゃばらカクテルで乾杯する女子会の女子たち。後方に指をくわえてのぞき見するオークボくんが写りこんでいる。

ケーキ

右がオークボママの力作「じゃばらの生キャラメル」。口に入れるとじゃばらの香りがふわ~っと広がる。激うま。はっきり言って花畑の負け。左はじゃばらのパウンドケーキ。素朴なケーキにじゃばらの風味がアクセントをつけて絶妙。

11月<幻のハゼ料理>

「ナガイさ~ん、ハゼ釣りに行きましょうよ!」

「・・・・・」

「ナニだまってるんすか~? ハゼ行きましょうよ~、ハゼ、ハゼ!!」

ああ、う五る月さ蠅い。

大事な客が、今年も鮭が釣れなくて悲しんでいる時に、なぐさめもせず、ハゼハゼと連呼するオークボくんが心から憎い。

なぜにオークボくんがハゼにこだわっているかといえば、故郷、宮城の正月の味であるらしいのです。
オークボくんの父がハゼを釣ってきて焼き干しにし、それで出汁を取って雑煮を作っていたらしいのです。

らしいらしいと、なぜに推測文が続くかといえば、ハゼ出汁を使っていたのはオークボくんが生まれる前の話で、その後はホンダシなどに取って代わられており、当のオークボくんは一度もハゼ出汁の雑煮を味わったことがないのです。

それがひょんなことで父からハゼ出汁の話を聞き、料理人であるオークボくんのココロがゆさぶられてしまったのです。
いまだ味わったことのない故郷の味を再現したい。その一心でオークボくんはハゼハゼとうるさいのであります。

そんなわけでハゼ釣り行きました。

ちょっと弱気な笑顔のオークボくん

なかなか釣れない。ちょっと弱気な笑顔のオークボくん。

哀愁ただよう背中

まだまだ釣れない。哀愁ただよう背中。

となりで小サバを釣るオークボママ

となりで小サバを釣るオークボママ。絶好調。

近くの船に乗り組んでしまったオークボくん

ぜんぜん釣れない。近くの船に乗り組んでしまったオークボくん。

ふとあたりを見渡すと、たくさんいる釣り人たちのほとんどはチカや小サバを釣っています。ハゼ狙いはオークボくんだけのようです。はたしてハゼは釣れるのでしょうか。

オークボママとオークボキッズが釣り上げたチカと小サバ

オークボママとオークボキッズが釣り上げたチカと小サバ。ハゼはいまだ釣れず。



やった!やった!とハゼが釣れたのは、夕暮れ近く、そろそろ撤収の準備をしましょうという頃であります。

ようやく釣れたハゼ

ようやく釣れたハゼ。小魚1匹で大喜びするワシらを他の釣り人はけげんな目で見つめていた。



で、結局釣果は小サバごっそりとチカごっそりと巨大ヒトデ1枚、小カニ1匹。手のひらカレイ1枚。ハゼ1匹。
ハゼをどうするかオークボくんにたずねたところ、力強く、

「干しますよ!」

とのことでした・・・。

ハゼ料理、期待していましたが、この1匹を私が食べてしまったら、地球最後の日までぶつくさ言われそうなので遠慮することにいたしました。
おそらくいま、オークボくんの店のどこか奥深くには、干したハゼが隠されていることでしょう。

ハゼのわりにみりん干しにした小チカ

みりん干しにした小チカ。炭火であぶって食べる。

小サバのから揚げ

小サバのから揚げ。

小サバ丸ごと1本みそ煮

小サバ丸ごと1本みそ煮。ハゼはどこに隠したんだよ。


10月<三題ばなし>

「いや~、肉、肉、肉だったらど~しよ~」

「・・・てか。肉、肉、魚だったりして?」

「・・・・・肉、魚、ポッキーもありか?」

オークボくんがビールをウピウピ飲みながら、楽しそうです。

落語に「三題噺」ってのがあり、噺家さんが客からその場で三つのお題をもらい、そのお題を折り込んで即興で落語を演じるものであります。

これをオークボくんにお料理でやってもらいましょ。というのが今月のテーマで、きっと困るであろう、悩むであろうと楽しみだったのですが、当のオークボくんは「三題料理」と聞いて、なんだか喜んでしまったのです。

よく考えてみると「即興」とか、「その場しのぎ」とか、「何が起こるかわかんない」とかって、オークボくんの得意とするもんではなかったか。
私は今回のテーマ設定を、大きく間違ってしまったのではないか。

などと考えていてもしょもないので、お題の食材を持ち寄る3人を濃い目に設定、選抜することにしました。
持ってくる食材は当日まで秘密であります。

そして当日。

ナカオ

トップバッターはスローな語り口がキュートな、ホーチのナカオ。自分の大好きな虎杖浜の新物明太子を持参。好みを最優先とし、作る側のことをいっさい考えていない姿勢に共感。

ナガムツ

次に現れたのは「ほがら家寄席」でもおなじみのナガムツ師匠。マタの間にどどんと赤カブを生やして登場。デカすぎるイチモツ。

カワトー

予定時刻を遅刻してカワトー(仮名)も登場。持参したのはスパム。「ボクこれ食べたことないんスよ」と、味もわからないものをオークボくんに押し付ける姿勢に共感。遅刻したのはスロットで大当たりしていたため。もったいなくも途中で台を捨ててきたという。

三つの食材

明太子、巨大赤カブ、スパムで記念撮影。

オークボくん見る

しばしボーゼンとするオークボくん。

オークボくんさわる

おそるおそるさわってみる。
「何すか~これは~???」

ひとつひとつ食材を手に取ってながめるうちに、オークボくんはがっくりとまな板に手をついてうつむいてしまったのです。

オレたちの勝利か!? と色めき立つ食材選抜チーム。ところが・・・

三題サンド

「手抜きじゃないっスよ!」と何度も叫びながら出てきた1品目「赤カブサンド」。赤カブのスライスに明太子とスパムをはさんだだけ。ええ?これのどこが手抜きしてないんじゃい!!と言うも、試食するとスパムと明太子が赤カブのやさしい甘味を引き立てていておいしい。
レモンとかオリーブオイルとかを合わせてみたが、何も加えないほうがおいしいと直球勝負に出た。ホーチのナカオが「・・・赤カブ参上」と古代ギャグをかます。

三題ポトフ

「赤カブとスパムのポト風 明太バターかけ」。キモチ悪いピンクのスープにカブとスパムが浮かぶ。その上に加熱した明太をトッピング。全員おそるおそる食すも「おいしい!」と大絶賛。
「いや~、やさしい味の赤カブがあってラッキーでしたよ」と喜ぶオークボくんを横目でにらみ、ナガムツ師匠は「ちくしょう・・もっとぎとぎとしたものを持ってくればよかった・・・」とくやしがる。

三題のり巻き

「おまけで~す」と出てきた、三つの食材にトマトなどを加えたのり巻き。オークボくん余裕。



やっぱりオークボくんは即興に強かった。
なんか弱みはないもんか・・・。

9月<今年最後のハタケシメジ>

ハタケシメジは私のキノコランキングの中でも、星組トップクラス級においしいと思われ、香りの良さに加え、火を通して一見クタッとしていてもサリサリとした歯ざわりが心地よい素晴らしいキノコであります。

というのは天然もののお話で、近年栽培に成功し、スーパーに出回っているものは、なかなかそこまでの味わいは醸しておらず、あまり買う気にもなれず。

毎年見つけた時だけニコニコ喜んで、みそ汁、バターソテー、キノコめしなどなど、ありがたく味わわせていただく、ちょ~季節限定の味覚なのであります。

天然のハタケシメジ

これが天然のハタケシメジ。激ウマ。猛毒ベニテングダケと同じくらいの時期に出現する。



生育条件の整った同じ場所にしか出現しないため、採った時には土や菌をその場で丁寧に落とし、根こそぎ採るのは言語道断と少し残し、帰り際には「また来年ヨロシクね。愛してるよ」と甘い言葉をかけて去るのです。

さほどに大事にしていた、私だけのハタケシメジの場所が、来年からアスファルトの下敷きになってしまうようなのです。
草をこぎ分けて入って行くと、あちこちに無粋な杭が打ち込まれています。ここに新しい道路を造成するかんね、というしるしなのであります。

うう、悲しい。

ガバとシメジの株を抱きしめ、ひとしきり嘆いたあと、なんだかムラムラと腹が立ってきました。この怒りをいったい誰にぶつけたら良いのでしょう。
市ですか。道ですか。民主党ですか。

やっぱオークボくんでしょう。

いざ今生の別れとばかりに、ひとつ残らずシメジを切り取り、その夜遅く鼻息も荒くオークボくんの店に持ち込みました。
市とか道とか民主党のかわりに、オークボくんに八つ当たりしてウサ晴らししてやろうと思ったのです。

ところがオークボくん、すでにビールで酔っ払っていました。

ハタケシメジをくわえて酔っ払っているオークボくん

ハタケシメジをくわえて酔っ払っているオークボくん。目ぇ~デカっ!



「え~、これハタケシメジすか~!? 最近気になってたんすよ~」

ぽわ~んとしたフワフワな声で、すか~とか、んすよ~とか言われると、人間怒りを持続できないもんであります。せっかく朝から八つ当たりを楽しみに働いていたのに・・・がっくし。

酔っ払いながらもハタケシメジで作った1品

酔っ払いながらもハタケシメジで作った1品。「ハタケシメジとホタテ貝柱の函館仕立て」。←なんだよこの函館仕立てって、と思ったことでしょう。これは後から「料理の名前なんにする?」とオークボくんにメールしたら、シルバーウイークに函館山の頂上にいたオークボくんが返信してきた料理名なのです。素材や料理法にはなんら関係はありません。アホだね。

8月<金沢からの挑戦>

とある真夏の昼下がり、オークボくんから電話がかかってきました。

「ナガイさ~ん。さっき金沢からヘンな野菜が店に届いたんスけど~、こんな野菜みたことないっスよ。ど~すんですかコレ???」

むふふふふ。困ってる。困ってるよ、オークボくんが。

金沢に住む大酒飲みの友人カネミツ夫妻は、このオークボくんのコラムの愛読者で、先日、生のオークボくんをひと目見ようとはるばる金沢からすすきのまでやってきたのです。

その折に、金沢には伝統的な郷土野菜の「加賀野菜」なるものがあり、北海道ではめったに手に入らないので、オークボくんに送りつけて困らせるとたいそう楽しいではないか、となったわけです。

そのカネミツ夫妻が送りつけてきた加賀野菜とは、

加賀野菜

小さくてコロンとしているのが「へた紫ナス」。左の三日月型が「千石豆」。どーんと太いヤツが見た目通りの「加賀太キュウリ」。後ろのハデなのが「金時草(きんじそう)」



「豆は・・・まあ茹でれば食べられますよね。でもこの、へた何とかとか、太何とかとか、緑と紫のこの葉っぱなんか、ボクはいったいどーすりゃい~のデ~ス?!」

ああ、気分いい。久々にオークボくんがウソ泣きしております。
しかし、私もはたと困りました。確かにどーすりゃいいのか全~然わかりません。

そこで、店のあかりを消し、オークボくんと交霊会を行うことにしました。加賀野菜の霊を降ろして、料理法をたずねてみようということです。

降りてきました。

加賀野菜の精霊カネミツ

交霊会にやって来た加賀野菜の精霊カネミツ。オークボくんの耳元で料理法をささやいている。「・・太キュウリはあんかけや酢味噌・・金時草はおひたしや酢の物・・へた紫ナスは金沢人はソーメンと煮ることが多いぞよ~~」



さあ、精霊の力も借りて、オークボくんはどのように難関を突破したでありましょう。

加賀太キュウリとシジミの冷たいスープ

加賀太キュウリとシジミの冷たいスープ。おっと、精霊のアドバイスをまったく無視したひと皿目。冬瓜のように半透明に煮た太キュウリが美しい。スープの淡い緑色は、皮をペーストにしてこしてから出汁と合わせた。暑い日にぴったりのひんやり感。

金時草のおむすび

金時草のおむすび。塩水に漬けた葉でジャコめしを巻いたもの。独特の青臭さとモロヘイヤのようなぬめりがあり、わりとクセになるかも。濃い緑と赤紫の葉と白いめしのコントラストが目にしみる。またもや精霊のアドバイスは無視。あくまで金沢の挑戦に打ち勝つ姿勢か? 

へた紫ナスのとりめん

へた紫ナスのとりめん。負けたワケじゃないですよ。ソーメンじゃないですからネ。とりめんですからネ、というオークボくん必死の抵抗がうかがえる1品。焼いたへた紫ナスのおひたしにとりめんを巻き入れ、茹でた千石豆を添えた。



大胆不敵に加賀野菜を送りつけてきたカネミツ夫妻、かたやアホ科の天才料理人オークボくん。
みなさんはどちらに軍配をあげますか?

7月<ナスの思い出>

「ちょっとオークボくん。ナスが来たよ~!」

写真オークボくん1

「おお、すげー立派なナス!」

写真オークボくん2

「それではワタクシ、1曲歌わせていただきます」

写真オークボくん3

♪ナスが来~れば 思い出す~♪

先日、大阪で良くしていただいている料理屋さん「おばんざい きむら」から、ちょ~立派なナスが届いたのであります。
ピカピカつやつやぷっくり黒光りした、極上の水ナスです。

「♪ナスが来~れば 思い出す~~♪」

・・・もういいからね、オークボくん。

きむらさんでは、数々の美味しいものを味わわせていただいたのですが、このお店で生まれて初めて食べたもののひとつが水ナスでありました。

北海道ではあまりなじみのない種類のナスですが、これが生食でたいへんおいしいもので、丸ごと塩もみして皮に塩をなじませ、手で割ったものを食べたのです。
水気たっぷりの実に淡いリンゴのような香りと味わいがあり、今まで炒めたり焼いたりみそ汁に入れていたナスのイメージがガラリとかわったことを思い出します。

「♪ナスが来~れば 思い出す~~~♪」

「コラ、やめんかい。今月はこの水ナスで料理作ってもらうからね」

「わかりましたっ! 塩もみでいいすかネ?」

いいすかネ?ってオークボくん・・・それはきむらさんで食べて美味しかったってお話した食べ方でしょ。
丸ごとまねっこの料理したって面白くないでしょ~。自分で考えなさい。

と叱咤激励したら、なんだかオークボくんぱちりとスイッチが入ってしまったようで、次から次から料理のアイデアがわいてしまったのでした。

水ナス

「ナガイさん、水貝って知ってます~?」とオークボくん。知ってるともさ。アワビを塩水で食べるやつだろ? 水ナスにアワビを合わせるなんてゴージャスだね~、と喜んでいたら、塩水には氷とナスしか浮かんでいない。ポカンとしてオークボくんの顔を見たら「水ナスです」って、おい、そのまんまやろ! しかしこれがさっぱりして旨かった。

水ナスの刺し身

「水ナスの刺し身でございます」。上の料理の発展系。塩水に10分ほど漬けた水ナスを裂いて、山ワサビとしょうゆで食べる。これも瑞々しさが生かされていて旨い。2個目にはしをのばしたら、オークボくんに「ダメ! 残りは次の料理に使うんだから、写真撮ったらさっさと返してくださいよ」と止められた。ケチ!

生ハム巻き

「生ハム巻きでございます」。←この敬語、なんかコワいよオークボくん。上の料理で私から取り返した水ナスに、仁木町産のサクランボで作ったジャムをのせ、生ハムで巻いたもの。サクランボのやわらかな甘みと生ハムの塩気が水ナスを引き立てている。

水ナスの田楽

水ナスの田楽。ウニをのせ、ミソだれを塗ってさっとあぶったもの。種を明かせばこのミソだれ、大阪のきむらさんから「かもナス用にどうぞ」と一緒に送っていただいたもの。オークボくん、ちゃっかり失敬して一品作ってます。


あぶりサンマと水ナスのサラダ

あぶりサンマと水ナスのサラダ。脂ののったサンマとジューシーな水ナスの相性ばっちり。しかし、どんだけ料理作るつもりなの~~?!

オークボくん、料理5品でようやくスイッチオフとなりました。
ナスの思い出がまた増えました。

「♪ナスが来~れば~」

いや、歌わなくていいから。

「も~1曲っ! ♪ナス ナス ナス ナス ココ~ナ~ッス♪」

い~かげんにせいっ!!

6月<オークボくんタケノコを採る>

「それでは道内のお天気です。今日は全道的に雨。ところによって雷が発生するでしょう。午後からは晴れるところもありますが・・・・・」

某日。朝5時の天気予報は、あまりに友好的とはいえないものでした。

この日、オークボくんは生まれて初めてタケノコを採りに行く予定であります。
去年までは行こうって誘っても、即「ムリ」とか「イヤです」とか断っていたオークボくんが、「行きます」と前向きになった、その決行当日に全道的な「雨」。人徳です。

よく雨後のタケノコといいますが、雨降りの後、たっぷり水分を吸って育ったタケノコはとてもやわらかくて美味このうえないものです。しかし、雨中のタケノコはいかがなものでありましょう。

たっぷり水分を吸うのにかわりはないと思われますが、ヒトの方もたっぷりと水分を吸い、ずぶ濡れになるのは間違いのないことと思われます。

でも行きました。

タケノコ山に出現した邪悪な妖精・オークボックル

タケノコ山に出現した邪悪な妖精・オークボックル。大きなフキを傘がわりにさすもずぶ濡れ。手にタケノコを握り締めてまわりを威嚇している。

北海道の笹竹は、ヒトの背丈より高い笹のジャングル内に生えます。
笹をかきわけながら2~3メートルも前進すると、となりにいるはずの人の姿はすぐに見えなくなり、自分がどちらの方向からやってきたのかすら分からなくなるのです。

遭難を心配したオークボママは、賢明にもオークボくんの首に鈴を付けたのですが、アホのオークボくんは恥ずかしいからと取ってしまいました。

笹の葉の海の底へじっとしゃがみ込み、タケノコを探している間は無音です。四方八方へ目を配り、見つけたとなると、そのタケノコめがけてガサガサとやぶをこぎ分けて進むのです。

とその時、私のすぐ横を「ザザザザザッ」とケモノのような勢いで、しゃがみながら進んで行ったものがいます。

「オークボくん?」

「ハイ~?」

やぶの向こうから気の抜けた返事が返ってきました。
そして「ぱきゅっ!」とタケノコを折り取る音。

初めての経験なのに、只者ではない身のこなし。
これは後日聞いたらラグビーで人の下をかいくぐって鍛えた技だということでした。人生なにが役に立つかわからないものです。

太いタケノコ

ラグビー移動法を駆使して、けっこうな上物をたくさん採ったオークボくん。右側のタケノコは直径が26ミリもあった。

クリームチーズ

味噌漬けにしたタケノコをクリームチーズで和えた一品。味噌もチーズも発酵食品だけに、ばっちりの相性。酒が進む。

タケノコスペシャル

「タケノコスペシャルです!」と得意気に持ってきた、タケノコと黒豚の柳川風。このほか地竹焼き、地竹と桜えびの掻き揚げ、地竹とホッキの炊き込みご飯などがメニューに登場。自前の素材への愛と気合がこもっておりました。


5月<ヤチづくし>

オークボくんの店には「皆勤賞」というヘンな風習があって、一週間休まずに来店した客は、なんでも好きな料理を作ってもらうことができるのです。
私も一度、気がついたら皆勤賞を授与されたことがあり、たちと生のりのギョウザを作ってもらいました。そのもようはバックナンバー08年3月にくわしく掲載しております。

でもさ、同じ店に一週間も通うのってど~よ?

こう普通のヒトは考えることでしょう。私もなんとなくそう思います。
それを4週連続で達成した普通じゃないヒトが今回の主役、ヤチさんです。

ヤチさんとオーハシさん

←これがヤチさん(巨顔の方)と、1~3週の料理をともに考えてくれたという盟友オーハシさん(赤い方)。

ヤチさんが2週目を達成したと聞いたときには、ヒソカに「あいつはただ者じゃない」と思いましたが、3週目いき、4週目達成のときにはただ者どころか、ただのアホなのだと確信にいたったわけです。

ただのアホならこわくないので、相談を持ちかけることにしました。

「おいゴラ~、ちょっとヤチさん、4週目の料理だけどさ~、コラナビとコラボしなさいよ!」

「・・・ハイ」

即OK。良い男です。

ちなみにヤチさんが1~3週達成でオーダーした料理は、

パエリア
1週目パエリア
ビーフシチュー
2週目ビーフシチュー
ギョウザ
3週目ギョウザ

「ねえオークボくん。これさ~、このラインナップで4週目ってサ、いったい何がい~のよ!」

「そっすネ~、季節的には山菜いきたいトコすけどネ」

「山菜ね・・・。ヤチさんが喜ぶような山菜ね。そ~ね~・・・」

ヤチブキ

ヤチブキに決めました。
ヤチブキ:和名エゾリュウキンカ。キンポウゲ目、キンポウゲ科、リュウキンカ属。水辺や湿地を好む。
オークボくん:学術名ニッポニア・オークボラロ・ピテクス。ヒト目、アホ科、天才料理人属。ジョッキビールを好む。

好きな料理をオーダーできる最後の4週目に、単なるギャグで勝手に料理を決められるヤチさん。あわれなり。
しかし内容はかなりゴージャスなものとなりました。
以下ヤチブキコース、ごらんあれ。

刺し身

ヤチブキ刺し身。さっとゆでてスライスしただけ。香り良く、さわやかなライトグリーンが美しい。

ヤチブキベーコン

ヤチブキベーコン。ベーコンで巻き、炭火で香ばしくあぶったもの。シャリシャリ感ばつぐん。

ヤチブキと黒ガレイの煮こごり

ヤチブキと黒ガレイの煮こごり。カレイの味とヤチブキがぴったりの相性。ぷるぷる感もたまりません。

ヤチブキのペンネ風

ヤチブキのペンネ風。クキの空洞のなかにタラなどのすり身を詰め、トマトソースで和えたもの。この発想、やっぱアホ科の料理人じゃないと出ないだろな~。イタリアンなひと皿。

地竹と黒豚の炊き込みご飯

地竹と黒豚の炊き込みご飯で締めとなりました。ヤチブキ以外も食べられて良かったね、ヤチさん。

4月<ギョウジャ三部作完結編>

春はあけぼの
やうやう雪のとけたる山際 少しあかりて
緑濃くなりたるギョウジャニンニクの
太く採りごろになりたる

<現代語訳>
春はやっぱギョウジャニンニクでしょ~。
やっと山の雪もとけて、山菜シーズン本番よ? 4時過ぎたらだんだん空も明るくなってくんだからさ、早起きのジジイどもに先越される前に、さっさと支度して採りに行かなくっちゃ。いやも~朝からめっちゃコーフンするわ。



そんなわけで、この頃は朝3時にはぱっちり目を見開いて、ひとり悶絶コーフンしているナガイです。
さほどギョウジャニンニクの魅力は強く、においは臭く。春よ春よと私の海馬をくすぐるのです。


「ね~オークボくん。去年も4月のテーマ、ギョウジャだったよね」

「そっスね。たしかギョウジャニンニクぴざっス」

「その前の年の5月もギョウジャだっけ?」

「そっスね。春ガツオのギョウジャニンニクそ~すっス」

「・・・やるよ、今年も!!」

「え!またスか!?」

「またもキン●マもないっ! 春はギョウジャに決まっとるんじゃ!!」

と、オークボくんにゴリ押ししたら、数日後になんかスゴいもんができあがってきました。コレです↓

オークボくん特製、ギョジャベーゼソース

オークボくん特製、ギョジャベーゼソース。ギョウジャニンニクとカシューナッツ、オリーブオイルを合わせたペースト。きょーれつな香りと美しい緑色がチャームポイント。これをタッパに入れてバスや地下鉄の中で開けるとテロと思われ、逮捕される可能性大。

ギョジャベーゼソースとギョウジャの葉入りパスタ桜皿盛り

ギョジャベーゼソースとギョウジャの葉入りパスタ桜皿盛り。普通のニンニクにやや青臭さと、山菜独特のほろ苦さが加わった香りと味わい。ギョウジャニンニクがもろイタリアンテイストになっておるのに驚き。

オークボくんちのメニューにあった「フライドポテトのアンチョビバターソース」に、さらにギョジャベーゼソースを加えた「くさいドポテト」

オークボくんちのメニューにあった「フライドポテトのアンチョビバターソース」に、さらにギョジャベーゼソースを加えた「くさいドポテト」。アンチョビとギョウジャの香りがスクラムを組んで鼻腔に抜ける。快感。



ギョウジャニンニクといえば、ジンギスカン、しょう油漬け、おひたしなどが定番ですが、今回めでたくイタリア方面にも進出を決め、ギョウジャの今後の可能性に一石を投じたと言えましょう。チャオチャオ。

3月<さよなら三月またきて四角>

【2月某日】大阪、阪急宝塚線終着駅、宝塚。

宝塚大劇場へ続く小道でつい口ずさむこの歌。

♪すみれのは~な~ 咲く~ころ~~

はたまた、心の内で熱く叫ぶこのセリフ。

「オスカ~ル!」
「アンドレ~!」

「オスカ~ル!」
「アンドレ~!」

ふと目に付く素敵な和菓子屋の「塚乙女まんじゅう」

「ねえ、おばちゃん、これ中身なに?」

「カスタードクリーム」

「餡どれ?」


「アンドレ~!!」


さて、本編です。

乙女まんじゅう屋の近くの店先で「呼吸チョコ」なるものを見つけ、しげしげと眺めてみたのです。関西ではちょ~メジャーなチョコとウワサは聞いていましたが、見たのは初めて。

アーモンドをチョコでくるみ、ココアパウダーがまぶしてあります。ひと袋に約30個入り。30秒ほど見つめましたが袋が動く気配はありません。自発呼吸なし。
味見するとたいへん美味しいのですが、呼吸がラクになる気配なし。酸素発生率ゼロ。

「じゃ、なんで呼吸なんじゃい!!」と店員さんをどつく前に袋の裏書読んで良かった。~作りたての風味が息づいているから~なんだそうです。
しかも、全国菓子大博覧会栄誉金賞も受賞しているツワモノであります。ひと袋購入。

【2月某日】札幌、すすきの、オークボくんの居酒屋。

「ねえねえ、オークボくん!バレンタインデーにさ、チョコ何個もらった?」

「ゼロす」

「・・・ママからは?」

「たい焼きもらいました」

データをまとめると、オークボくん、義理チョコ0。妻から1(たい焼き)という結果となりました。

ちなみにコラナビ編集長のワタナベは義理チョコ1、妻から1(普通のチョコ)、大阪のJ氏は義理3、妻から0。函館のI田氏は義理6、妻から1(義理チョコ買うついでに購入)という調査結果が出ています。オークボくん最下位です。

そこで私は、くだんの呼吸チョコをオークボくんにあげることにしました。バリッとふくろを開け、ひと粒。

これが呼吸チョコ

これが呼吸チョコ。アーモンドそのまま大でライターより小さい。



そして、迷惑そうにひと粒受け取るオークボくんに
「ホワイトデーのお返しはクッキーにしてよ! 甘くなくて酒のつまみになるようなやつね」と、バシッと果たし状をたたきつけたのでした。

で、3月某日に出されたお返しがコレ↓。
無礼に礼をもって返された、もんくもグーの音も出ないゴージャスなひと皿です。
オークボくんありがとう。負けた。今月もくやしい。

料理写真

めしにネギトロのっけ、キュウリにイクラのっけ、長イモ酢に山ワサのっけ、鳥くわ焼きなどさまざまな酒肴がすべて四角にあしらわれてひと皿に並べられ、おまけに金粉までトッピングされている。なぜ四角なのかとたずねたら、「ボクの中で、クッキーは四角なんです」とのことだった。



余った金粉をひたいに付け、毛ガニをもってかわいこぶるオークボくん

余った金粉をひたいに付け、毛ガニをもってかわいこぶるオークボくん。

2月<オークボくんがこわい>

テケてんてんて~ん♪

「オークボくん、オークボくん、こんどさ、ここでさ、落語会やろうよ」

「え~、ナガイさんなに言ってんですか。イヤですよ。なんでわざわざうちで、そんな落ちこぼれの会をやんなきゃならないんですか。暗いですよ。どよ~んですよ」

「あんた......そりゃ落伍者の会だよ。たしかに暗いね。あたしが言ってんのは寄席のことだよ」

「そっちのがもっとイヤですよ。うちの鍋フェアはもうとっくに終わってんですよ。この暖冬に、もう誰も食べてくれませんよ」

「......そりゃ寄せ鍋のことかい? 違うよ。お笑いだよ。お笑いを一席の、落・語・だよ!!」

「んあ? あ~、いっすネ~。やりましょう!」


2月某日、オークボくんの店内に作った高座で噺を披露していただいたのは、このコラム11月の「長い焼き鳥」に食い付いていたナガムツ師匠であります。演目は、

「饅頭こわい」
「味噌倉」

どちらも食べ物がいろいろ登場するお話で、このふたつのお話とコラボして、オークボくんに料理を作ってもらおうということになりました。んで、打ち合わせの日......。

「んふっ、むふふふふふふっ」

オークボくんがブキミに笑っています。すごいブキミ。

「ナガイさん、饅頭こわいですけどね、饅頭じゃなくてシュウマイにしました」

「なんで?」

「ナガムツ師匠のお話が終わるでしょ。その時、蒸したてのシュウマイをど~んと皿に盛って出す。そん中に、ホントにこわいシュウマイをまぜておくんです」

「ホントにこわいって??」

「んふっ。中にカラシをたっぷりと」

で、当日......↓

辛いワタナベ 辛いヒロミちゃん
「から~~~~っ!!」。こわいシュウマイに当たってしまったコラナビ編集長のワタナベと、ヒロミ嬢。さすがオークボくん、自称天才料理人だけあるね。客イジメも天才的腕前。激写したのはアキモト宴会主任カメラマン。

シュウマイ

一席目「シュウマイこわい」のために作ったエビシュウマイと黒豚シュウマイとこわいシュウマイの盛り合わせ。こわいヤツ以外はふわふわ熱々でとっても旨い!

その他の料理
二席目「味噌倉」に出てきた料理の数々。鯛の姿造り、鳥ザンギ、旨煮、おから、ニシン漬け。最後にお話のかなめとなった味噌田楽も登場。オークボくんのなみなみならぬ気合が感じられる。

ナガムツ師匠

熱演で観客のココロをワシづかみにしたナガムツ師匠。ぜひまたやってくださいと、観客からラブコール多数寄せられてます。

イシカワ切り絵

寄席の最後には、KIRIGAMISTの千陽(ちあき)さんが、華麗なる切り紙パフォーマンスを披露。コラナビ技術長のイシカワは横顔を切ってもらって幸せいっぱい。

てな模様で、落語&料理のコラボは大盛況のうちに幕を閉じたのであります。
後日、オークボくんの店のメニューに黒豚シュウマイがデビューしてましたが、コワいやつがまざってそうで恐ろしくて注文できまへん。あ~、オークボくんってこわい。

寄席全景

1月<ハンバーグ?>

アイデアというものは、どこからころがり出すかわからないもので、私は先日、坂道をスキップしながら鼻歌を歌っているときに出てきたのでした。


♪たらったらったらった ウサギのダンス~
♪たらったらったらった らったらったらったら~


ん?! そ~だ、
タラにしよ~っと、今月のオークボくんの料理。


「ってことでさオークボくん、タラ使ってなんか作ってちょ~だい」


「ナガイさん、それアイデアってより、ただタラッタラ歌ってただけなんでしょ。タラでなに作るんですか。どーせまた、まかせる!とか言うつもりなんでしょ!」


「うむ、むむむ......。そんなことない。考えてるよすご~く......ホレ...その...あの...
え~っと、そう!あれ!ハンバーグ!!」


苦しまぎれにひねり出したハンバーグ、てっきり却下されると思っていましたが、そのときオークボくんの目がキラリと光ったのであります。北極の氷のエッジが太陽光にきらめいたような、そんな一瞬の輝きです。やな予感。


「もう出来ましたから。頭の中で」


オークボくんが、こんな強気の発言をした一週間後。


「なにコレ。白いよ?」


「ふふふ、今回は白がコンセプトですから」


出てきたハンバーグの形をしたものは、焼き色こそついていますが、なんか白ちゃけており、ソースもホワイトソースです。
でもま、タラって白身だからねと気を取り直し、はしを入れてみました。ずぶずぶ。


「ずぶって......、なにコレ。やわいよ?」


はしで食べるってよりは、もんじゃ焼きのヘラがほしくなるようなやわらかさです。
ねっとりしてます。


「ふふふ、わざとトロけるように作ったんですよ。料理名も付けました」


「どんな?」


「北国の雪どけハンバーグ」


も少し牛乳でのばせばクリームシチューになりそうな味わいと舌ざわり。
タラの他にまざっているのは、おから、たち、くず粉、牛乳、玉ネギ、長ネギとのこと。これじゃトロけるはずだよ。
ちょっとさ~、頭が温暖化してるよオークボくん。

北国の雪どけハンバーグ

北国の雪どけハンバーグ。オークボくんいわく「中に見えるネギの青いトコは、雪の下に隠れるフキノトウのイメージ」。本当にトロけさすつもりで作ったのか、疑惑の残る一品。

試食の翌日、コロッケにアレンジして店のメニューにのせたオークボくん

試食の翌日、コロッケにアレンジして店のメニューにのせたオークボくん。目つきがあやしい。

鱈とおからのクリーミーコロッケ・500円

鱈とおからのクリーミーコロッケ・500円。クリーミーなどと英語でごまかす当たりがワザ。