フランスとスペインの国境になっているピレネー山脈の麓に位置するルルド村に湧き出る泉の水は医学的に治すのが不可能とされた多くの患者を救い、今でも年間500万人の観光客が訪れ続けているそうです。
事の始まりは1858年2月11日にルルド村に住む貧しい家の少女ベルナデッドが洞窟の傍を流れる川で薪にする流木を集めていた際に、洞窟の中から聖母マリアと思わしき女性が現れ、「泉の水を飲み、その水で洗いなさい」と告げたそうです。言われた場所を掘るとそこから水が湧き出し泉となり、川の傍に住む眼病を患った青年が言われたとおりにしたところ数日後にはもとのように視力が回復したのを始まりに、どうしても治らない腕の痛みを訴えていた老女が泉の水に腕をつけることで嘘のように痛みが消えてしまうなど、それこそ「奇跡」といわれるような現象が何件も現れ、それ以来「万病を治す奇跡の水」として当時の医師をはじめ多くの科学者が認めるほどのものにまで発展したそうです。
さらにベルナデッドは35歳の若さで結核のため他界してしまいますが、死後30年経った1909年9月22日の日に司教立会いの下ベルナデッドが埋葬された墓を掘り返したところ、彼女の遺体が全く腐敗していない事が判明したそうです。その16年後に再確認したときも腐敗の痕跡を見出す事ができず、それ以来彼女の遺体は奇跡としてヌヴェールのサン・ジタール教会に安置され、一般にも公開されるようになりました。
これには後日談があり、医学の発展に伴い奇跡とされる現象は年々減少の一途をたどり、今では5000万人に1人くらいの割合になっているようで、また国の教会が管理している為に泉にたどり着くのに3年先まで予約がいっぱいの状態で、末期の患者さんは泉の効能の恩恵にあずかりたくても、その前にお亡くなりになるケースがほとんどだそうです。また、全く腐敗していないとされていたベルナデッドの遺体ですがその後徐々に腐敗が進行し、今では精巧に作られた蝋のマスクを被せてあるそうです。
このような「奇跡の水」というものが果たして本当に存在するのでしょうか。個人的な意見ですが、医者という立場から「奇跡」を受け入れる事はできません。
ルルドの水に関しても最近の調査でゲルマニウムを豊富に含むことが判明しており、これは現在がんの治療などに広く使われている治療法の一つです。また「プラセボ効果」という言葉がありますが、強く「効く」と思い込みこれが実際に効果を出すのもよく知られた事実です。
現在市場ではたくさんの健康食品や健康飲料が売られています。中には癌さえも治してしまうよな物がちょっと奮発すれば買えてしまう御時世です。中には本当に良い物もあるかと思いますが、見極めるのは至難の技です。医者という仕事を生業としている自分でも自信がありません。
お願いします。近所のおばちゃんに勧められたからといって処方されたお薬を自己中断し、健康食品に頼る事だけはおやめ下さい。洒落にならないのです。
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