乗ったことあります?
博物館とかに展示されているものではなくて本物。
更に飛んだ事あります?
僕はあります。
それも無料で。
札幌に帰ってきた1999年、北大で形成外科の研修を始めだした頃、当事の医局長から奥尻島への出張を依頼されました。
診療所の医者が足りない為に、現地から応援依頼が来たとの事。
とりあえず1週間(後にどんどん延長されて結局3週間)。
ええ、是非とも行かせて頂きますとも!
カミサンに話したら、「私も行く!」との反応。
親子3人(当事)で奥尻出張となりました。
日常の業務は、喘息の処方やら、ウオノメ・タコ削り(漁師さんの島だから通常では考えられないところにマメがある!)、血圧測って、聴診器あてて、「おばあちゃん大丈夫?」って手を握りながらお話しするのが大部分でした。
そんな中、島では年に1度有るか無いかという交通事故が発生しました。
診療所で撮影したCTを見たところ側頭葉の脳挫傷が示唆されます。
これは大変、もしこのまま脳が腫れ続けたらアッと今に脳死です。
で、院長に進言しました。
「院長先生、ココの施設では対応できるレベルを超えてます。」
2ヶ月前までは脳外科医でしたから、判断に躊躇はありません。
「そうか、わかった!函館に送ろう!」
院長と事務長が相談しながらマニュアルを開いて相談しています。
あとから聞いた話ですが、救急患者搬送を目的としてヘリを要請する場合、順番が決まっているそうです。
順番は忘れましたが、自衛隊、海上保安庁、道警の順番だったかな?
で、なんだかんだでヘリ確保。
救急車で滑走路の直ぐ横まで入り込んで待機。
遠くからパラパラとヘリの音が近づいてきます。
(BGM:ワルキューレの騎行)
ヘリポートに着地して、隊員が腰を屈めて小走りに近づいてきました。
「患者さんはこちらですか?」
「はい」
「現在はどのような状態ですか?」
「Vitalは今のところ安定していますが、意識は戻っていません。」
「わかりました。至急函館に向け出発しましょう。」
患者さんを乗せたストレッチャーに手を添えて、自分も腰を屈めながらヘリに乗り込みます。
パイロットと同じインカムを装着して、いざTake Off!
『もしかして、今の俺、かなりカッコ良くない?』
なんて思った瞬間、インカムでパイロットが話しかけてきました。
「先生、低高度で行きますか?高高度にしますか?」
低く行けば気圧の変化はありませんが時間が掛かり、揺れます。
高く行けば速く揺れずに移動できますが、気圧が低くなります。
「高く行ってください!」
「ラジャー!」
『本物の"ラジャー"初めて聞いたぁ!』
約30分の飛行で無事函館空港に接近。
今度はレシーバーから女性管制官の声が入ってきました。
「●ルートより○番ポートに侵入してください」
『へぇ。日本語なんだぁ。』
「加藤ちゃん(仮名)、静かに頼むよぉ!」
「了解!」
『かっけぇーーーーーーーー!』
ヘリが着陸するまでの間、他の民間機は上空待機です。
出発ロビーの窓から大勢の人がこちらのヘリを見守っています。
そこへ、白衣をたなびかせながら患者と一緒にヘリから降りてくる俺!
『ねぇねぇ!今の俺、最高にカッコ良いっしょ!』
ヘリポート脇に待機していた救急車に乗り込み、そのまま病院へ。
函館の病院で現地のDr.に申し送り、お役御免となりました。
その日の夜は久々に焼き鳥で一杯。
決して乗り心地がいいわけでなく、機内サービスがあったわけでなく、綺麗なCAがいるわけも無く、うるさいし、狭いし、椅子硬いし。
けど、たった30分のヘリコプター体験は今までに感じたことの無かったワクワク感を与えてくれました。
患者を無事に送り届ける事が出来た達成感と、ヘリの振動が残っていたのかワクワク・フワフワした感覚は過去最高のオツマミとなったのです。
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