痛みを伴う病気は色々あります。
例えばくも膜下出血の場合は
「バットで頭を殴られたよう」(殴られた事あるんかい!?)
例えば心筋梗塞発作の場合は
「心臓を鷲摑みされたよう」(摑まれた事あるんかい!?)
例えば胸部大動脈瘤解離の場合は
「背中に焼け火箸を刺されたよう」(刺された事あるんかい!?)
思わず突っ込みたくなるような表現ですが、それだけ通常では考えられないような物凄い痛みであることが伺えます。
今挙げたのは一瞬で命を失ってしまうような重病ですが、このほかにも3大疼痛疾病と言われる物があります。
「膵炎」、「胆石」、「尿管結石」
また、痛風やリウマチなども強い痛みを伴いますし、肋骨骨折や鎖骨骨折、ぎっくり腰もかなり痛い。足の小指をタンスの角にぶつけるのもかなり痛い。爪の中に棘が(以下略)
つい先日、何回目かの尿管結石をやってしまいました。
早朝より背中に鈍痛が出始め、徐々に増強。我慢できなくなって来る頃にはその痛みは脇腹から下腹部にかけて拡がっています。
尿を作っている腎臓の中で尿酸が結晶化し、これが尿管内に落ちると狭い所で引っかかります。詰まったところより下に尿が流れないにも関わらず腎臓はお構いなしに尿を作り続けるので、尿の渋滞が発生し尿管が膨れ上がり、腎臓も腫れ始めるのです。これが痛い。
わかりやすく表現すると、エイリアンかスピーシーズが背中から飛び出して来るんじゃないかと思うくらい、パンって背中が破裂するんじゃないかと思うくらい痛い。
あまりに痛みに吐き気が出現し、目の前が暗くなり、呼吸も浅く速くなります。
石が膀胱まで落ちてしまえば途端にスーっと楽になるのですが、途中何回も流れては引っかかり、流れては引っかかりしながら落ちていくので、楽になった数分後には地獄の苦しみがまた始まる、の繰り返し。
元気のあるうちは水の入ったペットボトルを抱えて、飲みながら階段を降り続け、石を少しでも早く下に落とそうとするのですが、痛みがピークに達すると動く事も儘なりません。
救急病院に飛び込み、痛み止めを使っても抑えられず、とうとう麻薬性の鎮痛剤を使用するに至った事もありました。
初めてこの発作に見舞われたのは医学部6年生の初夏。最初は我慢していたものの、とうとう身体を起こす事も出来なくなり友達にSOSを送りました。玄関の鍵を開けたところまでは憶えているのですが、その後の記憶が曖昧。遠い記憶の中でその友達が飛び込んできて、救命センターと電話のやり取りをし、救急車を依頼しているのを薄らボンヤリ記憶しています。
「武藤!今救急車呼んだからな!もうちょっと頑張れよ!」
遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた頃、幸か不幸か痛みがス~っと消えてきました。石が落ちきったようです。
『アリャ、楽になっちゃった。』
しかし既に救急隊員はストレッチャーを持って玄関先まで来ており、
「もう大丈夫です。」とは言えない状態。
とりあえず、まだ痛いフリをして救急車に乗り込み、センター到着。
後ろのドアが開いた瞬間、そこにはよ~~~~く知っている先輩達。
「武藤!石だって?」
「子宮外妊娠じゃねぇの?」
「いや、癌だよ、癌。」
懇意にしている先輩方なだけに、問診にも容赦がありません。
レントゲン上で石は確認されなかったのですが尿検査で血尿3+、背部叩打痛3+、これだけで尿管結石と診断が付きました。
「ま、石も落ちちゃったようだからもう大丈夫だろ。薬はいらねぇだろ。ビールの2,3本も呑んどけや、あ、マイクは渡すなよ。」
一見無茶苦茶言っているようですが、実はこれ非常に合理的かつ的確な指導です。適度のアルコールは新陳代謝を活発にし、更にビールは利尿作用を高めるので腎臓の中に残っている石の欠片を小さいうちに押し流す作用を期待できます。またマイクを持たせないというのは、興奮して汗をかくことで脱水となり、血液中の尿酸濃度を高め、再結晶化を促進する恐れがあります。
「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」ではありませんが、もちろんその日の夜は駆けつけてくれた友人に労をねぎらう意味も含め、馴染みの居酒屋でビールを3本呑ませて頂きました。もちろん、医師の指示ですから。
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