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酒の一滴は血の一滴

手術はリズムだ!

スーパーローテイト中、整形外科の上司の放った言葉です。

名言至極

手術は小さい物であれば執刀医と機械出しの看護婦さんの2人、大掛かりな手術になると執刀医の他に第1助手、第2助手、機械出し、外回り、麻酔科医の6~7人で行なわれます。このチームの息が合うと、手術は非常にスムースに進み、疲れません。まさにオーケストラで、執刀医はさしずめコンダクターと言ったところでしょうか。

コンダクターが上手く指揮を取らないと、演奏(手術)はグチャグチャです。通常よりも倍の時間がかかり、終わったあとはぐったり疲れます。
第一助手は執刀医のリズムが常に安定するように気を使わなくてはなりません。彼が今何を考えているのか、どうして欲しいのか、次は何をしようとしているのか、敏感に感じ取って先回りした操作を行なうのです。それでも順調に事が進まず、執刀医がイライラしだしたら...。

執刀医よりも先に怒るんです。

大抵の犠牲者は第2助手か機械出しの看護婦さん。
「違うだろ!」
「モスキートペアン!早く!」
「そこ、ちゃんと血拭いて!」
「吸引!」
「しっかり押さえて!」
大抵、彼らはそんなに悪くありません。けど、怒ろうとしていた矢先に違う人間が怒っちゃうとむしろ冷静になっちゃうんですよね。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくていいから...」
なんて言葉が執刀医から出れば大成功。リズムは戻ります。

全てのDr.にこの手段が通じる訳ではありません。中にはどうしても執刀医と自分との波長が合わず、サポートすべき立場の第一助手が執刀医をイライラさせてしまう事もあります。そんな時には甘んじて"怒りの波動砲"を真っ向から受け止めなくてはなりません。
「とにかく早く手術を終わらせなくっちゃ」
そんな事を考えながら、ひたすら耐えるのです。
手術を受けられている患者さんの為にも、逆切れしてはいけません。

術後、可哀想な犠牲者には後からいくらでもフォローができます。
「さっきは怒鳴って済まんかった、ごめんな。」
「先生、わかってますよ。むしろナイスタイミングでした。」
「あ、やっぱりわかってた?」
「先生よりもあたし達の方が付き合い長いんですよ。解りますって!」
「今夜呑みに行こ。ビール奢るわ。」
「やったぁ!ラッキー!他の子も誘っていい?」
「二人までな。じゃ、8時につぼ八で。」
「え~~~!?つぼ八ぃ?」
「あ、○○チャン(お気に入りの看護婦)も誘ってね。」
「狙いはそっちかよ!」

"阿吽の呼吸"や"アイコンタクト"を共有できる仲間がいれば、これに勝る財産はありません。酒の席で日ごろの鬱憤を聞き、忠告を真摯に受け止め、看護婦サイドからの情報収集に努め、次の手術の時には全員が120%の力で演奏ができるように根回し。
決して不純な動機で看護婦さんを呑みに誘っている訳では無いのです。

ま、正直100%ではありませんでしたが...(独身の頃の話ですよ!)。


(2008年02月14日)

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