一日の仕事が終わり、気の合う仲間と帰りに一杯。
最高のリラックスタイムでございます。
脳外科の時は一日24時間体制で呑みに行く事も儘ならない毎日でしたが、救命救急の時は完全2交代制。勤務終了後に呼び出されることは殆んど無く、先輩・後輩、看護婦さん達と連れ立って呑みに行くのが日課でした。
日勤帯の時は良いんです。帰りは21時とか22時ですから。問題は夜勤明け。朝9時に勤務終了。既に太陽は高く上り、一般の方々は仕事に取り掛かろうとしている時間帯。そんな時間にやっている居酒屋なんかあるわけも無く、けど一杯呑みたい時、どうする?
正解は、ファミレス。
周りのお客さんがモーニングセットやコーヒーを注文する中、ドヤドヤと5~6人の男女が集団で入店。よれよれのシャツ、髪の毛ボサボサ、眼の下にはクマ、女の子はスッピン。
注文は「生中ジョッキ5つとぉ、ポパイのサラダとぉ、唐揚げとぉ、フライドポテトとぉ、あ、ソーセージ盛り合わせも!」
思いっきり居酒屋メニュー。みんな当然徹夜明け。疲れてもいる。
そんな中で呑むビールは夜に呑むよりピッチ早いかも。
話す内容は最初のうちは同僚や後輩の勤務中の不適切と思われる言動の指摘や、救命処置中に実際に行なわれた手技のコツ。
10分もすれば酔いが回り始めて、彼氏彼女の話や最近の車の事。
「すみませ~ん!中ジョッキ5つ追加!あと、バニラアイス3つ!」
「酒飲みながらアイス食うなよ!」
「食べたいんだから別にいいでしょ!」
「だからって一人で3つ食うことねぇじゃねぇか!」
「うるっさいわねぇ、前の彼と一緒!」
「そんなこったから別れるんだよ!」
「あたしから別れてやったのよ!」
「もしも~し、他の客さんも居るんですよぉ~」
医者・看護婦に関係なく、男と女というよりはむしろ同僚で戦友。
仕事を離れればお互いに遠慮はありません。
「何か、日本酒呑みたくね?」
「お前んち、ぽん酒ある?」
「じゃ、ウチで続きやるか?」
「じゃ、俺つまみ買っていくわ。夜勤無いし」
「あたしも行きたい~。けど先生の部屋って汚いんだよなぁ…」
「ご来店、お断りさせていただきます。」
「ちょっと待て!行った事あるのか!」
11時頃にはほぼ全員がペロッペロの酔っ払い。店を出る時の太陽の眩しいこと。その日も引き続き夜勤の人間は自宅に帰り、シャワーを浴び、「いいとも」のオープニングと共に床に付くのです。
いつも使っていたのは小田急線 愛甲石田駅前の“Jonathan”でした。
なぜかって?
ここの館内電話の音が救命蘇生室のホットラインと一緒なんです。
初めて来た奴はいい気持ちになってきた頃に電話の音を聞いただけでビクッと酔いが吹き飛びます。それを見て周囲の人間が「バーカ、バーカ!」と爆笑。こんな他愛も無い事が楽しい時代でありました。
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