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酒の一滴は血の一滴

「アンチエイジング」

正確には“anti-ageing”と表現され、直訳すると「抗加齢」という意味になります。

現在、美容医療業界ではこの言葉が錦の御旗の如く扱われ、あらゆる所で見かけるようになりました。

「年齢を重ねても、いつも引き締まり小ジワの無いシミの無い若々しい肌」を提供するわけです。

これにはレーザー照射であったり、フォトフェイシャルといった物に代表される光治療であったり、ヒアルロン酸やコラーゲンの注射といったものが含まれます。

従来の美容外科手術と異なり、メスで切ることが無いため術後の通院の必要がなく、またキズ跡や合併症が残る心配がありません。施術直後からお化粧をして差し支えないのです。
まさに新時代の技術と言えましょう。

ただし、ここに落とし穴があります。

Low Risk Low Return / High Risk High Return

Riskの少ない施術は、その分効果も限られています。ですから回数を掛ける必要がでてきます。

雑誌の広告にあるようなBefore-Afterの写真のように明らかな効果がでるまでに何回の施術が必要でしょう。一回の料金が安くてもその回数が増える事によってコストは膨れ上がって行きます。

結局手術1回分を超える料金を払って、そこそこの効果が得られないことも充分ありえるわけです。また、美容外科学会では開催されるごとに新しい美容医療器械が展示され、その器械に関する発表がそのメーカーのお抱えであるかの様なDr.によって行なわれます。

どのくらいのエネルギーを、どのくらいの間隔で、どのくらいの回数施術してシミの改善率が従来の物よりアップしました!とか、発表されても果たしてそれは患者さんの満足を得られるものなのか、費用対効果が満たされる結果なのか、いつも疑問です。

さらに湧き上がるもう一つの疑問

anti-ageing/抗加齢といいますが、年齢を重ねることに抗う事ができるのでしょうか。

年齢を重ねつつ生活する事と死ぬ事は全ての人間に平等に与えられた権利です。何人たりとも抗う事はできないのではないでしょうか。

まだ40代であるにも関わらず、50歳をとうに超えた様な肌の人がいれば当然本来の年齢に戻してあげましょう。しかし60代でありながら30代の肌を望まれるのは神に対する冒とくです。

どの年齢の人でも、その年齢の中で輝いている人は魅力的です。また男性であれば深いシワをたたえ、ヒゲには白いものが混じり、年齢に見合った重みのある人は素直にカッコイイと思います。

若造には真似のできない雰囲気を醸し出し、目標とされる年寄り。

表面を取り繕うだけではなく、中から湧き上がるものをしっかりと受け止める。

歳を取る事に抗うのではなく、格好良く歳を取る。格好良く老ける。Smartに。Coolに。

これが本当にお洒落な歳の取り方だと思います。Anti-ageingというのはむしろ格好悪いのかもしれません。


(2007年06月21日)

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