カウンセリングを受けに来られた患者さんからしばしば聞かれるセリフがあります。
「病院がいっぱいあり過ぎて、どこが良いのか分からない。」
「ネットで調べても,雑誌の広告を見ても良い事しか書いていない。」
「あんまり安いとかえって不安。」
全くもって自分もそう思います。
現在札幌市だけで『美容外科』を標榜するクリニックは約20件。
それぞれのクリニックで特異性を出し、切磋琢磨しているのが現状ですが
中には収益を上げる事を目的として、やってはいけない事をやっている所も未だに有るようです。
或る患者さんから聞いた話①
顔にあるホクロの事で某クリニックに相談に行ったそうです。
診察室に入った瞬間、
「これは悪性のホクロです。至急除去しないと命にかかわります。」
と真面目な顔で言われ、動揺もあり切除をお願いしたそうです。
手術はレーザーを用いて5分ほどで終了。
施術料金として請求された金額は、80万円!!!!!
クレームを付けようにも既に手術は終了しており、今さら支払いを拒絶する事も出来ません。泣く泣くローンでの支払い契約を半ば無理やり取らされたそうです。
一般的に皮膚癌など悪性腫瘍に対し、レーザーを用いる事はありません。
目的とする腫瘍から3~5㎜離した処でメスを用いて慎重に切除します。
また、料金に関しましても保険診療の適応となりますので、切除後に皮膚移植や皮弁術を用いたとしても患者さんに請求される金額が10万円を超える事は無いでしょう。
或る患者さんから聞いた話②
眼瞼下垂の相談で、某クリニックに相談に行ったそうです。
テレビや新聞などで保険診療の対応である事を知った上での受診でした。
診察の結果は、当然のごとく「眼瞼下垂」
手術にかかる費用は30万円!!!!!
「保険で手術できると聞いたのですが」
と、伝えたところ
「保険でやったらガタガタにされますよ。」
とのお返事。
やはり女性の心理として『綺麗に仕上げてもらいたい』との気持ちから請求通りの金額を支払われたそうです。
「眼瞼下垂」という診断がついた段階で、治療は保険診療の範疇に含まれます。
両目に対して施術したとしても請求できる金額は5万円程度にとどまります。
この他に検査料や処置料、処方箋発行料などが加算されたとしても倍以上になる事はあり得ません。
また、常識ある外科医であれば保険だからと言って手を抜くような事はしません。
むしろ保険診療の範囲内で最大限の技術を用い、他院と差別化する事の方が何よりも重要なのです。
信用を得るのは非常に大変ですが、失うのは一瞬です。
「あそこの病院に行ったらガタガタにされたよ。」なんて噂が広がろうものなら、尾ヒレ羽ヒレがついて史上最悪のクリニックに仕立て上げられるのは時間の問題です。
保険診療の範囲内か、自費診療に組み込まれるか、
それはマイナスに陥ったものをゼロに戻すか、ゼロからプラスに立ち上げるかの違いとお考えください。
どちらにしろUPさせなくてはならないわけですから、手なんか抜きたくっても抜けません。保険だからと言って雑に済ませる事はあり得ないのです。
自分の技術に自信がないのか、お金儲けが優先なのか
ましてや自らを優位に立たせるために、他院の評判を落とすような事を平気で言ってのける人間の常識が疑われます。
かと思うとこんなケースもありました。
ウチのクリニックに来た患者さん
「先生、あたし眼瞼下垂なんです。」
「夕方になると瞼が重くて開かなくなるんです」
「頭痛や肩こりがひどいんです。」
「額にしわが寄るんです。」
確かに瞼に力がなく、黒目は半分程度しか見えていません。
眉毛を抑えると更に眼は開かなくなります。
「先生、眼瞼下垂の手術をしたら二重になるんですよね。」
「二重の幅は希望を出せるんですか?」
「どうせならパッチリした二重になりたいんですけど。」
おやおや?
なんか話の方向がおかしくなってきました。
話を聞いているうちに、ある一つの事に気がつきました。
診察室に入った時は半分程度しか開いていなかった瞼が、気がつくと8割方開いています。
それでいて眉毛も上がらなくなってきました。
さすがにピン!と来た。
詐病だ。
喋っているうちに演技する事を忘れてきたんだ。
保険で二重にしてもらうために、眼瞼下垂のフリをしていたわけだ。
インターネットとかで勉強したんだろうなぁ...、
症状を説明するのがやたら上手だったもんなぁ...、
確かに保険だったら、料金は半分以下で済むもんなぁ...、
しか~~~し!
病気でもない物を保険で対応するわけにはいきません。
眼瞼下垂でない人にこの手術をすれば、当然眼は閉じづらくなります。
やんわりとお断りさせていただきました。
どの業界でも共通するとは思いますが、いろんな人がいます。
(ばか)正直な人とずる賢い人
弱い人と強い人
お金のためなら平気で嘘をつける人
騙す事を厭わない人
騙されても文句を言えない人
陰で笑う人がいれば泣く人もいる
もちろん現在に至るまで携わった全ての人に感謝されているという事は無いでしょう。
中には納得がいかず胸の中のモヤモヤを奥にしまい込んでいる人もいるでしょう。
100%患者さんのご期待に応えるのは不可能です。
だからこそ、術前術後のカウンセリングには誠意が必要です。
このクリニックは親父の代から始まってもうすぐ49年になります。
開院当初から誠意をもった診療で対応し続けていたからこそ、この数字を刻む事が出来たのだと自負しております。

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第92回 誠意
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歴史を感じさせる素敵な写真ですね。
この歴史の中には、どれだけ沢山の患者さんが救われたことでしょうか・・・
今は情報も簡単に確保できるようになりましたから、安易にカウンセリングを考えている患者さんも多いのかもしれません。
でも先生の病院はお父さんの代からの歴史があるんですね。
とっても素敵なことです。
これからも先生頑張って歴史を引き継いで頑張ってくださいね。