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酒の一滴は血の一滴

第88回 僕が脳外を辞めたわけ ①

医師国家試験に合格し、母校の脳神経外科学教室に入局。
最初の2年間はスーパーローテイトとして麻酔科、放射線診療科、救命救急センター、整形外科、小児外科を研修した後に脳神経外科のシニアレジデント(後期研修医)に昇格。これに併せ名札の所属も"研修医"から"脳神経外科"に変わりました。

既に教室としては"お客さん"ではありません。
重要な戦力として扱われ、責任もぐっと重くなります。

通常は3~4人のチームで一人の患者さんを担当するのですが、シニアレジデントはまさに中間管理職。
Topの先生に付いてこちらも勉強しながら後輩を指導しなくてはなりません。
どの先生にも得意分野があるので良い所を盗ませてもらいながら自分なりにアレンジを加え、オリジナルの治療技術を高めるわけです。
これに後輩(時に学生)への指導を並行して行うわけですが、これがまた重要。
指導を怠ると「武藤!あいつに何教えてんだ!」と怒られる羽目になります。

自分の勉強でさえ儘ならない中、後輩の指導が結構負担となるのはある意味事実なのですが、その後輩が成長してくれるとこれもまた戦力になり、自分をサポートしてくれる頼もしき戦友となってくれるので辞めるわけにはいきません。

また逆に後輩から教えてもらえる事も少なくなく、実際に臨床の現場で気管支鏡や腹部エコー、心電図の特殊波形を教えてもらったのは自分より3年も下の後輩でした。
「脳外の医者には必要ない。」などと指導される事を拒否する輩もおりましたが、実際に必要となった時に専門の先生に依頼を出して、機材を調達して、実際に行うとなると相当な手間と時間を要します。
これに対して自分で済ませてしまう事が出来れば、専門の先生の手を煩わせず、更には余計な時間と労力、そして他科受診の際に発生するコストを抑制できるのです。

「See One、Do One、Teach One!」
(1回見たら、2回目は自分でやって、3回目から指導に入れ!)

勉強しなくてはならない事柄が山ほどある中、出来る事が一つ増える度

♪パラパパッパッパ~ン!
武藤はレベルが上がった
HPが5増えた
MPが3増えた
気管支鏡を覚えた

まさにドラゴンクエストでレベルが上がった時のファンファーレが頭の中で鳴り響くのです。

過去のコラムでも何度も触れておりますが、チーフを務めていた最盛期なんかは月に20日は病院泊まり。残り10日も帰宅するのは午前様。
辛かったですよ。
慢性的に眠いし、お腹は減ってるし、ストレスとプレッシャーは重いし。
新人研修医が彼女と別れるのは大抵この時期w
けど、嫌じゃなかった。
「帰りたい」とは考えても「辞めたい」とは思わない
周りのDr.が先輩後輩含めみんな同じ生活をしていたから。
時には教授までもが夜中11頃に病棟に現れちゃう。
「オゥ、武藤、まだ居たのか。」
「あぁ、この患者さんか、5年前に入院した時のCTと比べてみろ。」
「○○さんの今日のCTはどうだった?」
「さっさと帰りなさいよ。」
さんざん課題出しといて、帰れるかっつーの!
けど、このやり取りが楽しくて残ってたりするんだけどね。
学生や後輩を引き連れて真夜中の病棟回診。
当直室でのクイズ大会(もちろん脳外に関する)。
先輩へ担当患者の今後の診療方針に関する相談。
なんか合宿生活みたいな感じ。
夜の9時とか10時に帰ると罪悪感さえ感じます。
そろそろ帰ろうかと通りすがりに救命センターの蘇生室を覗いた瞬間、目に映ったシーンは思いっきり心肺蘇生の真っ最中。
ソロ~っと後ずさりして逃げようとしたものの、看護婦と目が合って手招きされちゃったもんだから、止むを得ずジャケットを脱いで臨時参戦。
「お~、サンキュ!こっちの患者任せていいか?」
いきなり司令塔ですかい?
心マしながら「あ~、また帰れねぇ。」と思いながらもニヤける自分。

そんな自分が何で脳外を辞めたか、

それは次回。


(2009年10月08日)

コメント(2)

次回に続くわけですね・・・
経験値上がり、MP増えて、呪文は何使いますか?(笑)
麻酔系だったらラリホ―使いますかね(爆笑)

夜結局帰るに帰れない・・・
辛いですね。罪悪感もあるから自分との戦いですね。
そんな時はルーラ覚えて、自宅まで飛んでいくしかないかもしれません。
…と冗談はここまでにして、次回も楽しみにしております。

函館の看護師さん

医者なんだから“ベホイミ”に決まってるじゃないですかw

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