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酒の一滴は血の一滴

第70回 医療情報最前線 レポート

4月10日、業者さんが二人して来院されました。
予定より若干早く来られたので、こちらはまだ患者さんを診察中。

「あ、先生、おはようございます。箱開けちゃってますね。」

ゴソゴソと何やらセッティングしている音の中、こちらも予定されていた患者さんの診察終了。

「あら、思ったより小さいね。」

「そうなんですよ。これなら邪魔にならないでしょ。」

「音は?」

「静かですよ。」

「ふ~ん...」

「先生、欲しくなってきたでしょ。」

「まだ箱開けたばっかじゃん!」

「あはは、そうでした。で、モニターさんは?」

「今着替えてるみたい。」

馬鹿話をしながら待っていると短パンに着替えたモニターさん登場。
まずは施術前のウェストサイズを測ります。

「はい、じゃあこちらに横になってください。」

「先生、この機械なんですけど、起動めちゃくちゃシンプルですから。」

「あーして、こーして、こっちのボタン押して、カーソルここに合わせて、こー来たらこーして、はい完了。」

「じゃ早速始めますね。」

フィーーーーーーン、
エステ室内に静かに広がるモーター音。
うん、確かに静かだ。

女性のスタッフ(彼女も昔からの顔馴染み)が機械のプローブ片手にモニターさんのお腹をマッサージし続けています。

「痛くないでしょ。」

「はい、全然。」

「これって超音波のキャビテーションで脂肪細胞膜を破壊してるんでしょ?
溶けて出てきた細胞内容物はどうなってんの?」

「血中に取り込まれたあと肝臓や腎臓で代謝されて排泄されます。」

「血中コレステロールとかTGとかやっぱり上がるんでしょ。」

「そうですね、ただ一時的ですから施術後に水分を多めに取って頂いて、有酸素運動負荷をかければ2~3日で戻ります。」

「細胞膜を破壊してるんだから、細胞数自体減っているよね。
だったらサイズ復帰はしないの?」

「う~ん、残存した脂肪細胞が肥大化する場合もあるのでそこは保証できません。」

「だよね、でもそれって脂肪吸引も同じでしょ。」

「そうなんです。結局はこれを機会に生活改善を促してあげないと無意味なんですよ。」

「そこだよねぇ、手術してハイお終いって訳じゃないんだけど、なかなか分かってもらえないんだよねぇ。」

「先生のとこなんか良い方ですよ。さっきの患者さんもすっごくカウセ長かったじゃないですか。僕たち色んなクリニックさんに出入りしてますけど、こんなに長くやってるのって先生のとこぐらいですよ。」

「だってさ、俺バカだから2,3分で要領良く説明できないんだもん。」

「またまたぁ、先生が喋るの好きなだけなんでしょ!」

「まぁ、そういう話もある。」

馬鹿話を交えながら15分で施術終了。
早速ウェストのサイズを測ってみると、

「おっ!?」

「あら!?」

「ね?」

わずか15分の間にウェストが4cmも減っちゃった。
施術中の痛みなし、気分不快なし、安全性に関しても問題なさそう。
あとは効果持続期間だね。

「S君、この機械って幾ら?」

「そうですねぇ、今は円がまた下がってきてますから○○万円前後ってところですね。」

「で、1回の施術料金の相場は?」

「まだこの機械ほとんど出回っていないので相場も何もないんですが、だいたい◎万円ってとこじゃないですかね。」

「って言う事は、○△回くらいやらないと原価消却できないわけね。」

「そういう計算になります。」

「どうかなぁ、札幌は景気悪いからなぁ。ランニングコストは?」

「ほとんどかかりませんよ。この消耗品くらいです。」

「でもメンテは必要でしょ?」

「そりゃま機械ですから。必要な時には代替機をお出しする事も可能です。」

「た~、抜け目ないね。」

「そりゃ先生のとこに来るくらいですから、その辺はバッチリ抑えときました。」

「3年くらい無償でレンタルさせてよ。」

「先生とのお付き合いですから個人的にそうしたいのはやまやまですが、無理です(笑)」

「やっぱり(笑)」

「ま、先生、じっくり考えてくださいよ。急いでませんから。」

「2年後にこの機械が生き残っていたらね。」

「あはは、それで良いです。」

かくして笑顔の下に隠された熾烈な攻防は幕を閉じました。
当たればクリニックの看板となるくらいの面白い機械です。
しかし、ここはじっくりと、いやらしく、横目でチラ見しながら検討する事としましょう。


(2009年04月16日)

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