ICUと一般病棟に違いは治療密度は勿論ですが、何といっても面会制限の解除です。ICUでは極近しい人間のみが白衣に着替え、マスクと帽子を着用し、短い制限時間の中で面会を済ませなくてはなりません。
これが一般病棟になると、面会時間中であれば最初から最後まで一緒にいる事ができるのです。
彼女の入った個室は連日のように多くのお友達が面会に来られ、部屋の壁はみるみる彼女の写真で埋め尽くされていきました。自分がとうとう見ることのできなかった彼女の元気に笑っている顔をはじめて見ることができたのです。
勿論その間にも心停止は何度もありました。しかし、病棟の看護婦はじめ担当ではない先輩・後輩のDr.が真っ先に対応してくれたので大事には至らず済みました。
「武藤、今夜は俺が見といてやるから今日は帰れ。」
「武藤、最近アカンボの顔見て無いだろ。今夜は帰っていいよ。」
「先輩、何か有ったらすぐに呼びますから、本当に今夜は帰って下さい」
ありがたい、ありがたい。
けど、せっかくのご好意なのですが、甘えた時に限って何かあるんです。
ここまで来たら、最後までやらせていただきますって!
明日が彼女の誕生日。病棟の看護婦さんも色々と考えているようです。
自分としてはやはり、シャンパンを抜いてあげようと思っていました。せっかく大人になったんですもの。お酒の一杯や二杯くらい飲まなきゃね。しかし、その計画を敏感に察知している人物が約一名いました。
泣く子も黙る病棟婦長です。
「武藤先生、まさか病棟でお酒飲んだりしないわよね。」
ドッキーーーーーン!鋭い!計画はお見通しか?やはり無理なのか?
「先生、あたしね、明日3時から4時まで会議でいないのよ。あたしが居ないからって変な事しないでね。」
婦長…、やっぱりあんたはいい人だ。
立場上、病棟でお酒を飲む事を容認する訳には行かないモンね。3時から4時の間なら婦長には迷惑掛けずに済むんだね。
はい、全ては私めの一存で決めたこと。私の責任で酒席を設けさせていただきます。婦長は知らない事でございます。
だから自分の居ない時間を教えてくれたんだもんね。
いよいよ明日は作戦決行だ!
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